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色の伝達をより効率的にする環境づくりとは

色は、視対象からの光が目に入り、大脳で生じる感覚である。視対象からの光の特性により色は変わる。しかし、視対象からの光の特性が同じでも、周囲の条件によって色は変わって見えてしまう。したがって、色を正しく伝えるためには、観察環境の標準化が必要になる。

色を正しく判断できる環境として最低限考慮すべき項目には、周囲の色、照明光の特性(分光エネルギー分布)、照度、ディスプレイ輝度がある。例えば、照明の変化により反射光の特性が変わった反射物よりも、自ら発光して光の特性が変わらないディスプレイの方が色が変わって見えるという。

色を正しく評価、判断するためには、周囲・照明光は無彩色であることが望ましい。照明光の分光特性を考えたとき、エネルギーの過不足がなく、分光エネルギー分布がフラットなものがよい。赤い照明下では、赤成分が多いものは明るく、赤のエネルギーが少ない照明下では、赤い部分が暗く見えてしまう。
したがって、照明光の分光特性が異なると、同じもの(自発光ディスプレイでも)であっても色の見えが変わったり、色材の違う校正刷りとDDCPとのカラーマッチングが保証されない等の問題が発生する。

また、印刷物(反射物)に対する主観的色評価テストでは、環境照度の違いにより色の見えがシフトしたり、違った色に見えているという。例えば、色修正作業の場合、指示者と異なる環境で作業していると間違った修正をしてしまう危険性が生じてしまう。

周辺照度とディスプレイ輝度の関係では、反射物側とディスプレイ側の照度に差があると両者の色の見えが一致しない。また、照度が高過ぎるとディスプレイの暗い色が見えにくくなり、ディスプレイ輝度に対して照度が高過ぎると、ディスプレイ上で白が再現できなくなる(灰色にしか見えない)。

凸版印刷では、視環境の研究やさまざまな実験結果から照明や周囲を考慮した環境をつくり、色見本を見ながらディスプレイ上で色修正したり、プリプレスの現場だけではなくクライアント側にも同様の部屋を用意して、色の伝達がより効率的になる環境づくりを実践している。

関連情報:
 モニター環境の見直しによるカラーマネジメント再構築

2007/01/31 00:00:00


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