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生産部門の標準時間を介した、部門別利益管理への連携についての一考察

受注一品別に、生産工程で発生する原価(標準原価)を算出できることは、生産管理、経営管理において、非常に有用なことである。この標準原価設定においては、標準時間を考慮している。即ち標準原価は、ある作業に対して想定される標準時間と、時間単価によって求めることになるからである。ここに一つのPMPとの連携が考えられる。

■PMPにおける仕切価格の設定
 JAGATでは部門別利益管理(PMP)システムを、業界の標準利益管理として提唱している。部門別に利益を管理することで、利益の水漏れを「見える化」するものである。ここでは営業と製造部門の間に仕切価格を設定し、営業にとっては仕切価格で仕入れる(つまり仕入原価)、製造にとっては仕切価格で営業に売り渡す(つまり仕切売上)、ことになる。営業は、製造がどんな作り方、製造方法を採ろうとも仕切価格で仕入れることになるため、営業で獲得した利益が明確に見える。一方、製造側では営業の売り方に関わらず、仕切価格で売り渡すため、製造によるコスト低減努力で獲得した利益が明確に見える。

■標準原価の算出における標準時間
 JAGATでは生産工程で発生する標準原価を、一部または一品単位で算出する簡易なエクセルソフトを開発した。このソフトは、マスターデータとして、各種の固定費や変動費、機械のスペックや稼働率を予め設定しておくことで、受注の仕様(サイズ、色数、紙質、部数など)が入力されれば、刷版・印刷・製本加工、において発生する標準原価が、一部・一品当りで、、自動算出できるものである。パラメータの変更により実際に作業を行う前に、発生するであろう標準原価が評価できると言う「シミュレーション」ソフトである。エクセルと言う汎用ツールで制作されており、各社の実情に応じて、簡単にカスタマイズや変更・修正が可能になっている。
 このソフトで扱う標準原価の算出には、各作業における標準時間が算出できる構造になっている。例えば、印刷工程において、準備時間とは、「色換え時間」、「版換え時間」、「折機調整時間(オフ輪の場合)」、「運転準備時間」、などから構成される。さらに版換え時間は、「インキセット時間」、「ブラン洗い時間」、「版セット時間」、「版数」、から算出していく。

■PMPとの連携
 PMPでは、上記仕切価格を求める場合、仕切基準と標準作業別標準時間から算出する構造を持っている。ここで、仕切基準とは、各部門別に設定される、目標売上の時間単価(ここでの時間は直接作業時間)、つまり時間当たりの売値である。一方、標準作業別標準時間とは、自社で設定する標準作業(例えば、号機別準備)における、標準作業時間のことである。
 この仕切価格を設定する際に用いる標準作業別標準時間を、標準原価算出のシミュレーションから標準時間を算出することで連携が出来る。

 上記シミュレーションソフトを用いて、中堅印刷経営の経営層の方々、生産管理者、などの管理者を対象にセミナーを定期的に開催しております。「標準原価」の構造、「標準時間」算出のロジック、などを中心にご説明致します。是非、ご参加をお待ちしております。次回申込は、この用紙からJAGATにFAXして頂きたく存じます。
なお、本セミナーの詳しい内容は協会下記に問合せ下さい。また、部門別利益管理(PMP)システムの構築に関するお問い合わせも承ります。
問合せ先:JAGAT研究調査部 高坂 03-3384-3411

2007/02/15 00:00:00


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