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情報デザイン実践力をつけよう

情報デザインは流行り言葉のようになるのかもしれない。文部科学省系の専修学校教育振興会のJ検(情報処理活用能力検定)の中にも「情報デザイン試験」というのが始まった。コミュニケーション能力を体系化して身につけるためという。情報デザインを掲げる美術系デザイン系の学校も増え、実際にはかなりバラバラな内容の授業が行われているために、情報デザイン試験自体は実ビジネスの問題ではないのだが、うまくするとこの試験をきっかけに情報デザイン論が横断的に行われるかもしれない。

紙の印刷物のデザインにおいても、その印刷物が果たすべき役割を考えてデザインが行われるので、読み手とのコミュニケーションを想定する能力が求められる。そこが自分の作品を世に呈示するだけの芸術と、デザインの異なるところだ。しかし印刷物が納品されてしまうと、その後どのように配布され、人々がどこでどう見て、どう反応するかという様子がデザイン側には伝わりにくい。

Webであるならば、ページ内の要素オブジェクトの配置や文言の変更によって、見る人の反応がどう変わったかを把握することができる。大量印刷物では印刷コストがかかるので、ある意味ではイチかバチのデザインの決め付を最初に行わなければならないが、Webならば何パターンか作成してしまって、受け手の反応を見ながら絞り込んでいくことができる。つまりWebの方が印刷物よりも情報デザインの教材としてふさわしいし、当然制作側の競争も情報デザインの能力に比重がかかっていくだろう。

Webにおける情報デザインの要素を大雑把にわけると、そのWebを使う目的であるところのビジネスの文脈(コンテクスト)に沿っているかどうか、ターゲットとなる利用者に向けての表現・ユーザインタフェースが適切であるかどうか、コンテンツがビジネスの文脈と利用者の関心とをつなぎ合わせるものであるかどうか、などだろう。こういった視点で総合的にデジタルメディアのディレクション能力を高めるための資格試験がどこかにあったことをご存知だろうか?

クロスメディア研究会会報212号より)

2007/03/25 00:00:00


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