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インクジェットプルーフシステムの技術

CTPを効率運用するためには、印刷条件を標準化して、校正用のデジタルプルーフやインクジェットプリンタの色管理をおこなうことが必要である。とくに、インクジェットプリンタは品質の向上とコスト面の優位性から色校正の役割を担うケースも多くなっている。
印刷機とプリンタのカラーマッチングは、印刷物のカラーチャート測色値やICCプロファイルを使用して、プリンタから出力される色が印刷物の色と近づくようにする。ICCプロファイルではなく独自のプロファイルによって、世界的に高いシェアと実績を上げるソリューションについて研究会でお話を伺った。



GMGのカラーマネジメントコンセプト

GMGは、1984年に設立されたドイツに本社があるカラーマネジメントを中心としたソフト開発の企業である。インクジェットプリンタを使用したプルーフのカラーマッチングについて、欧米を中心に高い評価を得ている。とくに、Proof Contestでは、近年ナンバーワンを取り続けている。GMGカラーテクノロジーズ株式会社は、2005年9月に日本の総代理店として販売を開始、PAGE2006を皮切りに日本語版を紹介している。

GMGが考えるカラーマネジメントは、RGBから始まってCMYK出力という当然の形もあるが、CMYKからCMYKという印刷方式の違いなどによる、1つのCMYKデータが必ずしも同じ色には再現できないという現実に対応したものである。さらに、その先に行くものとして現在は通常の印刷機だけでなく、デジタルプリント、オンデマンドプリント関連もある。さまざまなデバイスの違いに色を合わせなければならない部分を、トータルでマネジメントしようというのがGMG製品の考え方である。

カラーマネジメントを行うときは、単にRGBをデータベースにするだけではうまくいかない。その先にあるデバイスに合わせて色をマネジメントできて、初めてRGBをデータベースにする価値がある。したがって、カラープロファイル自動変換やデータベースも含め、アウトプットが何であるかをマネジメントする能力や技術を持つべきである。

独自のプロファイル運用

GMGのプロファイルは、ICCプロファイルを取り込むことはもちろんできるが、ICCプロファイル側ではGMGのプロファイルは扱うことはできない。
ICCプロファイルの考え方に関して技術的に見直してみると、まずCMYKのデータが来るとCIE L*a*b*という色に変え、色同士でカラーマッチングをして合わせる。合ったものをもう一度CMYKデータ変換する。簡単に言うと、4色であったものが3色になり墨版がもう1回作り直される。GMGは、計測するときCIE L*a*b*で行うが、データ上で見るときにはあくまでもCMYK〜CMYKでデータを継承しながら色を計算させている。

また、ガモットについての考え方では、プリンタが持っているフルの色領域を確認する。プリンタは、紙との相性の問題がある。GMGの場合、色領域を確認しておき、その中でノーマルガモットという、一番適切な吐出量を選び取る。紙によっては強すぎたり、多かったり、流れ出たりと、いろいろな問題があるので、調整して適正なところをノーマルガモットとして、1つの土俵を作っている。
その土俵の中で、カラーマッチングターゲットである印刷物と、プリンタ出力物にどのような色の差があるかを計算する。この土俵を作るところを維持管理しておけば、常にカラーチャートの部分、マッチングプロファイルは移動せずに済む。すなわち、ずれたら土俵だけを調整するということを行うのである。

カラーマネジメントの方法

エプソンプリンタとDTP70という自動測色計を用意する。GMGでは、この測色計とランダムチャートを用い、プリンタが持っている最大色領域を測定する。併せて、インクカバレッジチャートを出力し、インクの吐出量が適正かを判断する。
次に、インクカバレッジチャートで適切吐出量を調整し、適正な場所を選択する。この条件でもう一度チャートを出力する。これは1つの土俵を作り、土俵上で作ったチャートの状況を確認するためのものである。これで、フルガモットで条件を作ったときの標準になる土俵を作った。

最後に、ターゲットとなる印刷物をデータとして取り込む。最初に読み込まれたデータは、目標値としてL*a*b*の値が出力される。インデックスには、チャートにあるカラーチップ1つ1つの数字が、プリンタに吐出する量を表示する。 前述のノーマルガモットという土俵で出したプリントがある。これを1回読み込ませるが、目標値は印刷物、現在値はプリンタ出力物の数字であるため当然、色は合っていない。その色の差が僞という比較になる。これを計算させると、カラー値が変わってくる。これでインクの吐出量を計算して調整する。これが1回目のカラーマッチングであり、すべて自動で行っている。

この概念を2回〜3回繰り返すと、ある土俵の中でカラーマッチングの僞値が次第に小さくなっていく。数を重ねれば0になるということではないが、3回程度で当社が保証する僞0.7、最大4の範囲になり、追い込んでいく形で精度を上げる。これらは、人の技能や個人の能力は介在せず自動的に計算するため、安定した色が提供できる。

(続きはJagat Info 2007年3月号、詳細報告はテキスト&グラフィックス研究会会報 Text & Graphics No.253に掲載予定です)

(テキスト&グラフィックス研究会)

2007/03/16 00:00:00


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