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Web2.0時代に求められるヒューマンスキル

Web2.0とは何かとか、では3.0は、といった抽象的で漠然とした議論はあまり意味がないが、その要素となっている一つ一つの事柄は現在進行形のもので、それらの全体としてはデジタルメディアの考え方や作り方がある方向に進んでいるのがわかる。オブジェクト指向でプログラミングレベルのモジュール化が進んだだけでなく、マッシュアップによってサービスレベルでもモジュールの組み合わせが容易になった。

Web2.0は流行りもののように思われる人もいるが、あってもなくてもどうでもよいような無料のサービスにしか使われないのではなく、今まで高度な案件は1社で丸抱えで高額の受注をしていたような内容もこういった技術が採用されつつある。インターネットに関連したシステム開発に関しては、従来のビジネス構造を破壊するような技術で、これでネットの有用性は一段と高まるだろうと考えられている。

つまりプログラミングの生産性だけでなく、インターネットを使ったサービス開発の生産性に焦点が移っていく。これはサービス競争の激化をもたらすだろう。よりよいサービスを企画して、それを競合相手よりも速く立ち上げなければならない。新しいIT要素の取り組みには「学習」という投資も避けられないために、魅力的に思えるアフィリエイトが後から登場してもサイトを組みかえるのは億劫なものだ。似たサービスなら先手必勝になるのは道理だ。

ネットワークの性質として元来から広域分散システムに取り組まなければならないので、xml、java、ajax‥といった技術の標準化に関する活動は、モノによっては現実が追いつかないくらいに、かなりハイテンポで行われてきた。しかし新たなプロジェクトを進めるには技術の標準だけではスムースにいかない。プロジェクトを起こすたびに新たな技術要素が入るために、以前にもましてプロジェクトが思い道理にならないこともある。

さらにネットによるサービスの総合化、例えばECであってもカタログと注文だけでなく、CGMや顧客サポート、購買履歴・会計サポート、決済・エスクローなど、ひとつのプロジェクトに必要なコラボレーションの範囲が広くなる傾向にある。だからといって関わる人のミーティングの数を増やすわけにはいかないので、対面の打合わせの機会を増やさずに、プロジェクトがスムースに進むような新しい仕事の取り組み方法が必要になる。

プロジェクトに関わる人間の意識やスキルの側から問題を考えたものに、Project management Institute という団体が、Project Management Professional(PMP)という国際資格制度を行っているが、Web2.0時代のヒューマンスキルはもっと着目されるべきだろう。

クロスメディア研究会会報214号より)

2007/04/10 00:00:00


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