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Mash up Maps!

地図をマッシュアップ

Web2.0でのマッシュアップとは、Web上に提供されている情報、サービス等を組み合わせて、新たなソフトウェアやサービスを作る出すことである。GoogleやYahoo、Microsoft等が公開しているAPIを素材に、特にオンライン地図上に何かしらの情報を加味して表示するサービスが数多く生み出された。
アメリカの事例では、交通情報、台風情報、ガソリンスタンドの価格情報から、UFO目撃情報といったユニークなものも提供されている。日本でも「はてなマップ(ベータ版)」が2005年7月に開発された。

マッシュアップ・サービスの傾向

リクルートとサン・マイクロシステムズ共催によるマッシュアップ・サービスの開発コンテスト、「Mash up Award 2nd」では、第1回よりも応募作品に占める割合は下がったとはいえ、地図APIとのマッシュアップ・サービスは相変わらず多かったようだ。また、最優秀作品をはじめとして、企業の業務支援ツール的な色合いの強いものが何点か入賞している。
主催者のリリース資料によると、今回、下記の傾向をもった作品が多数提出されたという。
・携帯電話、ゲーム端末などパソコン以外のデバイスに対応した作品
・GPSやPlaceEngineを利用した、現在地を軸にした作品
・ブログやSNS、動画共有サイトのAPIとマッシュアップした作品
・情報の関係性や構造を視覚的ユーザーインターフェースで表現する作品
・フロー型のデータをストックし、時系列で提示した作品
地図APIとのマッシュアップ・サービスに限ったことではないが、上位2つは地図のパーソナライズ化をさらに推し進め、モバイル主体、あるいは連動型のマッシュアップ地図の普及を予感させる。

脱Google

ただし、それらを商用化するためにはいくらかの課題もある。マッシュアップ「知図」は、前述のように無償公開された APIをベースにしたものが多い。開発コストの低減や開発期間短縮等のメリットはあるが、無償ゆえに、業務目的で利用する場合には、相応のリスクも想定しなければならない。さらに類似のサービスや成功事例を模倣したものも作られやすい。
しかし、マッシュアップ「知図」がビジネスと無縁というわけではない。地域や扱う情報と関連性の高い広告を地図と連動して出す、あるいはユーザーではなく、情報提供側から対価を得るなどのビジネスモデルが出始めている。また、ベースとなる地図データも、GoogleやYahooだけではない。地図出版を起点とした企業や不動産関係の企業が、自社で調査した地図データをマッシュアップする事例も増えてきた。

マッシュアップされた「知図」の商用化の可能性と、BtoBでの活用も合わせて、サービスを考える上での留意点、サービスの最新事例を中心に、その動向を紹介します。

関連イベント「地図から「知図」へ〜マッシュアップ・マップ最新動向〜」4月26日開催

2007/04/12 00:00:00


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