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未来志向の企業風土

印刷産業は景気に左右されない安定した業種であると言われた時代もあったが、「失われた10年」の後は転落の時代を迎えた会社も後を絶たず、景気に左右されずに地盤沈下する業種となってしまった。そんな中で希望をもって事業に励むには、金銭に換えがたい価値を企業側が社員に呈示できなければならない。企業環境は10年単位でかなり変化するし、30年経つと予想もしないほど変わるものである。こういったところを耐え抜く企業風土がないと永続的な経営はあり得ない。

金銭に換えがたいものとはどのようなものだろうか? テレビの黎明期には未経験の若い人が苦労して後の文化人となったように多くの人材を輩した。
出版社・編集者の世界も似ていて、本好きが高じて出版社に入り、編集者の経験を経て作家になった人は多い。その作品の読者の中からまた出版界を支える人材が出るように、人材の再生産がうまく行われると、その産業も発展するようになる。

今の日本のテレビ界は逆の状態で、広告収入に支えられた高額な給与はもらっても制作に汗はかかず外注任せで、大半が垂れ流し、使い捨て、時間消化メディアである。そうだとするとテレビ界の今後の衰退は明らかである。

ロボット産業の開発者の多くは、子供の頃に鉄腕アトムに憧れていたわけで、鉄腕アトムのような深みのあるコンテンツはその産業の中で好循環し、人材の再生産だけではなく、実際にヒューマノイドを作ってみようというような派生効果もあった。

企業においても創業者のキャラクターが企業文化を創り、それが次世代の人を育むという循環が見られる。ビル・ゲイツは「指先で世界の情報を操る」という一貫したポリシーで30余年企業経営してきた。場当たり的なポリシーで揺れ動いていた多くの会社は、30年というレンジで見るとほとんど生き残れなかった。

IT業界には意欲のある人材が多くいるはずだが、事業に関わりながら人材の再生産ができていくような会社は少ない。若い会社の場合は特別にカリスマ性のある天才創業者でもいない限り、その意思を継いで後に続く人を再生産することはできない。人が生涯を懸けるにふさわしいような高い理念や大きな夢につながる企業文化が最終的な「勝ち」につながっていく。



6月29日(金)開催のJAGAT大会では、JAGATの40周年ということも踏まえて、今回も触れた「長寿・持続・継続・進化」というキーワードにこだわりながら、「印刷産業の継続と進化のために「今」考えておくべきこと」をテーマに講演会を行います。
そして、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人の代表取締役社長を長く務めておられた新将命氏に特別講演をお願いしています。ぜひ、ご参加をお待ち申し上げております。


→詳細はこちら JAGAT大会2007 6月29日(金) 椿山荘(東京・目白)


【JAGAT大会2007・特別連載1】変えていいことと変えてはいけないことの選別――長寿企業としての経営戦略

【JAGAT大会2007・特別連載2】企業の永続的発展の要件

【JAGAT大会2007・特別連載4】三つの変革期と創業期

【JAGAT大会2007・特別連載5】未来を描くための「再定義」


経営情報配信サービス『Techno Focus(テクノフォーカス)』No.#1497-2007/6/11号より要約。

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(2007年6月)

2007/06/13 00:00:00


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