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メディア制作の人材シフトを考える(前編)

10年前なら、出版されたコンテンツをデジタルメディアに再録する考え方が支配的であって、メディア制作に関しても出版・印刷のDTP制作を心得た人がWebなどの制作に携わるケースが主流であったが、今日の若者はDTPを知らないでWeb制作をしているようになった。専門学校でもDTPの生徒よりもWeb制作の生徒の方が多く集まるし、また就職に関してもWeb関連の業種の方が引き合いが多いように変化してきている。

印刷物制作はグーテンベルグ以来500年、木版なら1000年以上の歴史があり、編集・レイアウト・組版の作法やスタイルは洋の東西を問わずに出来上がっているので、プロとして仕事をするには敷居が高かった。しかしWebでの制作は、幸か不幸かhtmlの表現記述機能が低いこともあって、素人でも覚えやすいのが今までであった。

Webが事務文書的な表現で済んでいた時代は過ぎ去って、Webでの情報伝達が紙以上の利便性をもった今日では、今まで紙で実現していたコミュニケーションを次第にWebが肩代わりできるようにならなければならない。つまりWebでの人材育成はこれから出版、印刷のそれと肩を並べるほどのものが期待されることになろう。

ただしWeb制作は紙と同じようなメディア設計をするのではなく、紙以上にユーザインタフェースなどの利便性の設計も必要になり、またマルチメディアやIT関係の知識も必要になるので、人材育成は複雑になる。今日では高校、専門学校、大学などいろいろなところで情報・メディア・デジタルコンテンツの学科が立ち上がっている。その現状について簡単なアンケート調査を行った。

<情報・メディア関連人材に関するアンケート調査報告(前編)>

調査の内訳

調査の対象は大きく「国公私立大学」と「専門・高専・短大」2つに分類した。(私塾や会社が経営するスクールなども含む)。また、大きく2つに分類したのは、4年制と2年制の年数に差があり、一律には計り知ることができないことや学習内容も異なり、入学目的なども異なると思われたことがその理由である。

▼表1:調査概要内訳(調査期間:2007年5月、6月)
表1:調査概要内訳

設問1 情報・メディア・デザイン関係の学科、講座(コース)の名称と開講期間、生徒数についてご記入願います。

【設問の意図】
どのような学科で履修される科目であるのか、またその生徒数を知ることを意図した。

【回答集計結果】

■学科の名称
○国公私立大学
「情報メディア学科」「デザイン学科」「コミュニケーションデザイン」「グラフィックデザイン」「情報デザイン」「ビジュアルアーツ」「ライフデザイン」「スペースデザイン」「プロダクトデザイン」「メディア造形」「情報工学科」「情報表現学科」「メディアコンテンツ学科」「教育課程表現情報処理コース」「デザイン情報学科」など。
○専門・高専・短大
「情報工学科コンピュータグラフィックス」「デジタルアート」「ビジュアルデザイン科」「デジタルクリエーター」「デジタル写真」「DTP技術」「DTP・Webデザイン」「広告看板科」「DTP・Webデザイン」「コンピュータ学科」「情報システム学科」「情報ビジネス」「デジタルクリエイト」「グラフィックデザイン」「情報デザイン」「デザインアート」「コンピュータグラフックス」など。

▼図1:開講期間について

図1:開講期間について

「図1」が示すように開講期間については、1、2年以内とする答えが多く、合わせて全体の56%になっている。これは、回答の3割が4年制の国公私立大学であったのに対し、7割が2年制専門学校からの回答であったことに起因する。

▼図2:一学年あたりの生徒数

図2:一学年あたりの生徒数

1学年当たりの生徒数は、図2のように、50人未満とする学校が55%と大半を占めており、比較的小規模で営まれている現状がうかがえる。授業の中で、パソコンなど設備を使用する場合には、台数に制限があるためとする声もあったが、小集団で個々の特性に目を配り、個性を伸ばす方針を採用するためとする意見もあった。

設問2 ご回答いただいた学科(専攻)の専任講師の方についてご紹介願います。

【設問の意図】
ここでは、どのような専門分野の先生が「情報・メディア・デザイン」を教えておられるのかを知り、求められる知識の分野を見いだすこととした。

【回答集計結果】
担当している専門分野の回答例は以下のとおりだが、回答の多くは、専門・高専・短大の先生であった。なお、専門・高専・短大では、別に仕事をもって、実際のビジネスと兼務で講師を勤めているケースも多い。

・アニメ ・CG ・デザイン ・グラフィックデザイン ・DTP
・印刷 ・ネットワーク ・Webプログラミング ・広告美術 ・画像処理
・Webデザイン ・情報セキュリティ ・造形 ・デジタル信号処理ほか

設問3 情報・メディア・デザイン関係の学科(専攻)の内容(カリキュラム)について、開講されています科目についてご回答願います。(該当するキーワードに○を付してください。複数回答可)

【設問の意図】
設問2と関連して、「情報・メディア・デザイン関係学科(専攻)」の開講科目について、修得知識の範囲を確認する意味でもさらに詳細をうかがった。

【回答集計結果】
回答は、選択式で、該当するキーワードの複数回答である。

1位 11% 「Web」
2位 10% 「CG」「HTML」
3位 9% 「画像処理」「プレゼンテーション」
4位 7% 「広告」
5位 6% 「アニメ」「コミュニケーション」
6位 5% 「知的財産権」「メディア論」
7位 4% 「マーケティング」
8位 3% 「ゲーム」「プロジェクト管理」
9位 2% 「セキュリティ」
10位 1% 「経営概論」「EC」「XML」「コンテンツ管理」

「Web」「CG」「画像処理」など、デジタルメディア制作に関わる科目が上位になった。

設問4 貴校の情報デザイン関係学科(専攻)と関連の深いと思われる資格・検定試験について該当するものに○を付してください。(複数回答可)

【設問の意図】
履修科目の修得により、どのような資格取得や検定試験の合格を目指せるのかを知るため。

【回答集計結果】
情報デザイン関係学科(専攻)と関連の深いと思われる資格・検定試験について該当するものを選択式で回答してもらった。上位では、メディア制作に関するものが多かった。

1位 12% DTP検定、CGクリエイター検定
2位 11% 色彩検定
3位 9% マルチメディア検定、画像処理検定
4位 7% Webクリエイター能力認定試験、DTPエキスパート認証試験、基本情報技術者試験
5位 6% システムアドミニストレータ試験
6位 5% 情報検定(J検)、ソフトウェア開発技術者試験
7位 4% Javaプログラミング能力認定試験
8位 2% MOS(Microsoft Office Specialist)
9位 1% インターネットユーザ能力認定試験

その他については、Illustratorクリエイター能力認定試験、Photoshopクリエイター能力認定試験、カラーコーディネーター検定試験などがあった。

またある調査によれば、国内の教育産業では中長期的な事業規模の拡大に限界を感じた企業などが、周辺業界と連携し「M&A」などの「業界再編」が活発となってきたという。その中で、企業向けの研修サービス市場とeラーニング市場が、人材育成投資予算の増加により大きく成長が期待できるという見方もある。その意味でも、こうした市場を共同で開拓していくパートナーとして着目してよいのではないだろうか。後編では簡単ではあるが、学校の現状課題についても質問しているので、今後のビジネスのためにも一つの参考になろうかと思われる。

なお、本報告記事の作成にあたり、アンケートにご協力いただいた方々に感謝の意を申し上げる。

2007/07/17 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会