JAGATでは色彩についてこだわっている。印刷業は文字組版と共に色彩のプロであるという自覚を持った業界だ。しかしそのような業界にもかかわらず、色の話題を取り上げると旧態依然とした色の話題が多い。「赤が浮く」という印刷の安定性のことや「顧客の好み」という定性的な苦情がその代表例だ。
しかし、世の中の進歩はデジタル時代になって加速し、色の世界も知らない間に大きく様変わりしてしまった。そんな色の世界をリードし続ける業界、新たに生まれ変わる業態、その辺の定義はどうでも良いが、新しい色の世界の中でもイニシアチブを持っていくことを目的として「色評価士」(DTPエキスパートの上位資格)資格制度などを計画中である。
そのような活動の一環としてこれまで唯一絶対としてきた「CIE的な三原色を見直す動き」には敏感にならざるをえない。これまでのリファイン技術であるCMSを突き詰めると共に新しいアプローチには積極的にかかわっているつもりである。
その手始めとしてPAGE2007において「脱三原色」と題して分光画像を取り上げたが、各方面から実に様々な反応を受けた。「ちんぷんかんぷん」「まだまだ」「期待している」などなど、それぞれの立場や知識で肯定的なものと批判的なものに真っ二つに分かれてくる。「ちんぷんかんぷん」は論外としても「なぜ必要か?」そして「なぜ印刷業界に」ということの啓蒙には是非とも注力していきたい。
脱三原色のアプローチの中で一番実用性が高く、一番安定した、いわゆる骨太なソリューションがスペクトル分布の形状自体を近似させる「分光色再現」である。これについての異論は少なくコンセンサスが得られた色再現ソリューションであった。唯一の問題はその実現性だったが、ついにソリューションが提供され始めた。PAGE2007ではその理論だけの紹介にとどまったが、その具体的な商品がNTTデータから発表 され、8月1日開催のテックセミナー「分光画像の現実的アプローチ」で紹介する。
今回テックセミナーで紹介するのは、発表された6バンドカメラと6バンドCGカラーシステムである。理想的には8バンドが良いのだろうが、実現性を考えると6と8では大違いで、6の方がハードルは遥かに低い。そして効果はそれほど変わらない(?)。 例えば従来の多バンドカメラは複数回露光するか、複雑な光学系を必要としていたが、NTTデータでは市販の一眼タイプのデジカメに特殊フィルタを装着することで二回露光にもかかわらず6バンドの分光画像を取り込むことを可能にしたのである。
今回は6バンドカメラの実機本体を持ち込み、実証実験を交えながらのデモもお見せする。また一方的な紹介だけではなく、後述する検証チームからはその具体的なメリットや要望について、より具体的にコメントをいただくつもりである。
もう一つのソリュ−ションは、多バンドCG画像システムである。従来のCG画像はデジカメ画像などと同様に色を3バンド(赤、緑、青)で表現するが、今回発表された「ColorDesigner」では、通常の倍の6バンドデータで色を表現することで、色の表現能力・計算精度の格段な向上を実現している。さらに画像を観察する際の照明光の色を考慮した信号処理を行うことで、目の前にある色見本・素材サンプルと同じ色の3DCGをモニタ上に忠実に再現することを可能にしたものである。
このソフトもセミナー会場に持ち込み実際にデモを交えた講演を予定している。例えば市販の蛍光灯もその分光特性は公開されており、その特性を踏まえることで「肌モノ」「肉」「野菜」等の既知の被写体なら分光特性は想像できる。このことだけでも色再現の問題、例えばメタメリズム等を軽減することには役立つはずだ。
本セミナーでは事前に検証チーム(電塾で一番の理論派である阿部氏、MD研究会の誇るICCプロファイラーの庄司氏、郡司他)がNTTデータの実験室に乗り込み、事前検証実験を行い、その結果を踏まえて現在実現可能なレベル、近未来への可能性も含めてアーカイブや医療関係への色彩ビジネスの展望まで模索する。 カメラマンサイドからは阿部充夫氏、製版・印刷サイドからは庄司正幸氏から示唆に富んだ指摘がいただけると確信する。阿部氏からは合わせて光源の話もしていただきたいと思っている。今後LEDまで撮影光源として使用される可能性も考えられ、カメラマンの立場から光源についての薀蓄を語っていただきたい(印刷業にも参考になるはずである)。
また巷では広色域印刷が話題になっているが多色による色再現とこの分光的なものをリンクすれば、単なる情緒的な色再現から一歩踏み出したビジネスが可能になる。この辺の可能性を含めて広色域印刷を再検討してみたい。また現時点で出来るビジネス、将来につながるビジネスにとどまらず、最近話題のレタッチャー(フォトデザイナー)にまで話を発展できればとも考えている。そんなことも考えて本セミナーを受講していただきたいと願っている次第である。
NTTデータのソリューションURL
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実世界の「色」をコンピュータ上で正確に再現(リリース)
・ColorDesigner
2007/07/25 00:00:00