◆末廣 祐美
私がこの世界に足を踏み入れたのは10年くらい前になります。偶然就職したのが印刷会社でした。制作として採用されましたが……未経験、知識も技術もゼロ。今思えばなぜ採用されたのか? 最初は未熟な自分との戦いでした。周りと比べては落ち込み、道を間違えたとも思っていました。
そんなある日、普段厳しい営業の方が、「おまえが作った(某店の)チラシなんだけど……新聞に折り込みしたら、3カ月分のお客さんが1日で来て大変だったって言われたよ。チラシ持って店に来た人もいたらしいぞ」と、私の顔を見るなり笑顔で話し掛けてきたのです。
「自分が作ったモノを喜んでくれる人がいる。そしてそれを見て、お店に足を運んでくれた人がいる」
初めて「うれしい」と思いました。「道は間違っていなかった……。もう少しがんばってみよう!」そう決意し、さらなる飛躍を求め、今の会社に入社して4年半がたちます。
当社の社員数は20名。そのうち私が所属する制作部は3名です。Macintoshを使った制作はもちろん、WindowsDTPにも力を入れていて、それぞれ2台ずつ所有し、3名で6台のパソコンを動かしています。Macintoshの前に座り、Illustratorを使用しているかと思えば、Windowsを起動し、データで入稿してきたWordやExcelを編集する……。少数精鋭とはよく言ったもので、すべてをこなすオールマイティでなければならず、仕事条件に応じて、常に効率良く作業できる判断力と、頭を切り替える柔軟な適応力が求められます。
仕事を進める上で心掛けていることは、自分なりにその仕事に対するチェック項目を決め、漏れがないか確認することと、窓口である営業や工務の方となるべく会話をし、コミュニケーションを図ることです。作業後に気づいた注意点や疑問点に関しては、付箋で細かくメモを付けるようにしています。当社には「どんな小さな疑問でも声に出して言葉にしよう」という合い言葉があります。「まぁ いっか」という甘い判断がミスにつながり、その結果、余計な仕事を増やします。個人の技術も大切ですが、根本は会社全体の連携であり、コミュニケーションだと考えます。どうしても、個人作業になりがちな同じ部署内においては、声を掛け、サポートすることも心掛けています。
私が「DTPエキスパート認証試験」を知るきっかけになったのは、大阪府グラフィックサービス協同組合(OGS)主催の「DTPエキスパート講座」を1年間、第1期生として受講することになったからです。会社の方からも「勉強になるし、ぜひ行って来なさい」と後押しを受けました。久しぶりの座学ということもあり、じっとしているのは辛かったですが、当社からは3名受講しており、私だけが脱落するわけにもいかず……(それは皆同じだったようで)その結果、私たちは3名とも皆勤賞を頂きました。休まず続けられたことは自信にもなり、今度は資格取得に挑戦してみようと思いました。
幸い、社内に既に資格を取得している方がいたので、受験するには恵まれた環境だったと言えます。過去問題集を貸してくださったり、時には(行き詰まって)投げやりな私を励ましてくださったり……とその方には本当に助けていただきました。
勉強法としては、過去問題集を何回も何回も繰り返し解くというシンプルなもので、3カ月前から毎日欠かさず最低2時間、問題を暗記するくらい続けました。後は、普段の仕事でも常に試験を意識しました。われながら必死でがんばりましたので、合格の二文字を頂いた時は「神様っているんだ」と思ったものです。
最初は、自信もなく逃げたかったこの世界。でも今は制作という仕事が大好きで、それに携わる自分を心から誇りに思っています。DTPエキスパートはあくまで通過点。これからも目標は常に高く、向上する気持ちを忘れないようにしたい。
まずは、「この人がいるから(邦文社に)任せても大丈夫」と言われるくらい、社内外での信頼を勝ち得たいです。
(『プリンターズサークル』2007年8月号より)
2007/08/19 00:00:00