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街ネタメディアから広がるビジネスチャンス

「みんなの経済新聞ネットワーク」は、従来のマスメディアと、ブログなどに代表されるパーソナルメディアの中間的な存在という意味で「ミドルメディア」と称され、各地で注目が集まっている。

クロスメディア研究会では、このネットワークのひとつ「天神経済新聞」を手がける九州インターメディア研究所(略称:KIML)の石井盛孝氏に、自らメディアを立ち上げた理由等について話をうかがった。


弱点克服のためにスタート

我々の会社では、デザイナーやプログラマーになりたかった人が多く、ソフトウェアや技術、マシンに興味がいきがちで、「何が街で流行しているか」とか、「どういうお店が今一番話題の中心になっている」とか、「福岡の景気の動向がどうなっているか」など、本来アカウントプランナーやマーケッターとして感覚的に持っていないといけない部分が薄い人が多かった。

そこで3年ほど前からマーケティング系の座学やワークショップなどの研修をおこなうようになったが、座学的な勉強にはやはり限界がある。もっと会社の体質に沿った方法としては、やはりメディアを持った方がいいだろうということで、相談した相手が「渋谷経済新聞」の西樹編集長であったこともあり、2005年8月に「天神経済新聞」を立ち上げた。もともと社員の研修のつもりだったため、この段階ではまだビジネスとして儲けることは全く考えていなかった。

ネタ集めには随分と苦労

基本はやはり足で記事を集めていく。例えば、工事現場があれば、看板にある連絡先を確認して、電話して何ができるのかを聞いて、そこに取材に行く。大きな会社で広報があるところは別だが、例えば飲食店などでは、オープン前はとても忙しいので取材のお願いに行っても初めはけんもほろろに扱われることがほとんどだった。

今でこそ「テンケイ」といえば知っている人も増えてきたのだが、3年前は、「何ねそれは」と言われたり、営業と間違えられて、「金はないばい」とか「どうせ後から請求が来るっちゃろう」と言われたりして、随分と苦労した。

今でも飲食店や街のファッション系のお店のネタをいただくときには3回位足を運ばないと記事にできない。大きな企業は取材を受けることに慣れているのだが、小売店の場合はオープン前で非常に忙しいことが多いので、取材をするのも大変である。また我々は、何か聞き間違いや数字の間違いがあってはいけないということで必ず取材先に原稿チェックをお願いしているが、チェックバックが戻ってこなくて記事化が翌日に持ち越される場合もある。

紙メディアも注目

我々はネット専門の新聞なのだが、それに対する紙の新聞の反応も、結構早かった。 まず、3年前の年末に毎日新聞社が取材にきた。この記者も「天神」で検索され、「テンケイ」を発見したという。取材では、「どういう目的でやっているのか?」などいろいろなことを聞かれた。

何せミニミニネット新聞なので内心冷やかしかとも思っていたが、福岡版の夕刊一面に載った。 朝日新聞の記者は渋谷経済新聞の取材をきっかけに福岡朝日新聞から取材依頼があり記事にしてもらった。こちらも夕刊ではあるが一面である。

ビジネスチャンスは広がった

地域情報を経済という観点で真面目に出しているサイトが他にはないので、天神エリアで行政の方が何かをやろうというときには、よく事業担当者が来るようになった。また現在、私はWE LOVE天神協議会で広報を担当し、街づくりガイドラインの策定で意見を求められたりもしている。

インターネットだけの会社であれば街づくりに意見を出すということは考えられなかった。メディアを持ったことで、さまざまな企業や団体、行政やエリアを越えた県外の方々とのネットワークが広がった。これが一番の財産である。

(『Jagat info』2007年9月号より一部抜粋)

2007/09/15 00:00:00


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