◆南 清彦
「広告関係の仕事がしたい」。大学生時代の私は、ただ漠然とそのことを考えていました。そう思ったきっかけが、サークルで開催したイベントのポスター制作。自分の作ったポスターで人が集まったということにすごく感動したのを覚えています。作り上げた原稿が媒体をとおして多くの人に見てもらえる感動は、広告に携わっている人なら一度は経験したことがありますよね。そうして私はこの業界へ足を踏み入れるようになりました。
ただ、当時手書きで書いたポスターをカラーコピーで生産していた私にとって、後に知ることになるDTPの世界は衝撃でした。
当時の私はパソコンもロクに扱えなかったので、IllustratorやPhotoshopなどのソフトを扱う技術を習得するのは容易ではありませんでした。まずはCMYKとRGBのカラースペースを理解することから始まり、半年ぐらいかけてやっとそれなりの作品が作れるようになったものです。そして、そのころ所属していたサークルは、いろいろなイベントを行っていたので、コンスタントにポスター制作などを手掛けるようになりました。
現在の会社に入社したのはそれから4年後、今から約3年半前のことです。前職で社内広告の制作に携わっていたものの、媒体広告の制作が未経験に近かった私はデータの作り方もままならず、先輩から指示された仕事をこなすことで精いっぱいでした。
その後、仕事をどんどん覚えていくにつれ、データ入稿後の印刷工程など知らないことの多さに気づかされました。パート社員から正社員に登用が決まったこともあり、その多くの知らないことを埋めるべくDTPエキスパート認証試験の受験を決意しました。
しかし、関わったことのなかった分野の勉強は大変でした。専門用語が並ぶ参考書を通勤の電車で必死に読み、直前の模擬試験にも参加しました。そのかいあって、本番の筆記試験では時間内にすべての問題を解くことができ、手ごたえはばっちり。課題には思いのほか悪戦苦闘しましたが、仕事の合間を縫って何とか仕上げ、見事合格!試験に費やした時間はかなりのものでしたが、その分多くの知識として吸収できたと思います。
今現在では制作で培った経験とDTPエキスパート認証試験で得た知識を生かし、ディレクション業務を主に行っています。クライアントからの要望や意図を理解し、確実に印刷物でアウトプットするにはディレクションの役割がとても大事だと思います。その分、責任感を感じますしやりがいもあります。まだまだ経験不足なところはありますが、試験で得た知識が大きな自信となっています。ただ、今の知識で満足していてはいけないとは感じています。この業界は日進月歩なので、時代の流れに合わせた知識を更新していかないと、あっと言う間に時代遅れになってしまいますよね。
私がこれから目指すところは「提案営業」のできる人間になることです。これからの印刷業界はクライアントからの受注をただ受けるだけでなく、お客様に必要なことを見つけ、提案していくことが必要だと思うからです。現在では、インターネットや携帯電話といったメディアが広告産業で規模を拡大していて、印刷業界で生き残るには新たな価値を創造することが求められます。クライアントが「何かしたい」と思った時に、期待感をもってもらえるような提案ができるように、いろいろなモノを見て、知っていくつもりです。
私の在職しているケーエスアイは、2007年の11月で創業60周年を迎えます。創業以来、常に「お客様第一主義」で印刷メディアを提案して参りました。今までお付き合いいただいているクライアントはもちろん、これから開拓するクライアントとも大きな信頼関係を築けるよう、より多くの知識を吸収して後輩たちにも伝えていきたいと思います。
(『プリンターズサークル』2007年9月号より)
2007/09/22 00:00:00