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経営の現状を把握することの重要性

先日開催されたビジネスサミット2007の財部誠一氏の講演会を聴講した。中小・中堅企業向けのイベントであるため、ご覧になられた方も多いかと思う。この講演の中で、経営者のリーダーに求められる条件において、自社の現状を正確に把握することの重要性を強調されていた。現場レベルに至るまで、自社の状況を正確に把握することが、的確な次の一手を打つことに繋がる、という主張であり、基本的な事柄ではあるが大変感銘を受けた。

■何が原因なのか、何が起きているか
 講演会の事例紹介の中で、松下電器の話があった。この話は、比較的知られているので、どこかで聞いたことがあるかもしれない。松下のWEBでも紹介されている。中村邦夫氏(同社現会長)は、2001年度には約4,200億円の赤字という、創業以来最悪の決算から構造改革を断行した。「破壊と創造」に取り組み、数年の間に、勝ち組企業へと大きく飛躍させたのである。それまで同社製品の売れ行きの落ち込みは大きく、社長就任直後における事業部長経営層のヒアリングでは、原因が分からなかった。

■現場に行く
 そこで営業出身の同氏は何をしたかというと、量販店に自ら客として製品の販売の末端での状況を見に行ったというのである。そこでは売り子に尋ねると、何と松下製の製品が最後に紹介されるという具合だったそうである。何故か。他社製は顧客の使い勝手や目的に合わせた製品になっており、売りやすいからだそうで、その頃の松下製品は、技術は高いのだが、顧客にとっては使い勝手が悪く、余計な機能が多く、しかも高額、と言う理由であった。それまでの松下は、自らの技術に誇りを持ち、「良いものは必ず売れる」という哲学であった。これ自体は、素晴らしいものであり、メーカとして生きていくに当り、当然の目的であり目標である。しかしバランス的に、その技術オリエンテッドである反面、顧客の求める真のニーズに、気がつかなかった、と言うものである。

■正確な現状把握
 松下はその後、営業部門の集約など、マーケティング機能の柔軟な編成による、マーケティング力の強化を図り、業績回復に至るのである。ここでは、自社の現状を正確に把握することの重要性が示唆される。改善は、現状を正確に把握することで、50%は完了したと、思っても良いのではないか。正確に把握してこそ、打たれる改善策は的確なものであり、人によって改善策の手法は違っても、的を得ているため必ず効果は現れる。

  ■まず部門別の利益管理から
 中小・中堅企業の経営管理では、規模がそれほど大きくなく機動性が高いため、上記のような営業面での現場や製造面での現場で行われている実態は、比較的捉え易いと思われる。しかし、今必要なのは、各部門や工程における利益貢献度を数値できめ細かく捉えることである。これがまず始めの一歩であると思われる。印刷物の製造の各工程が、どの程度利益に貢献し、どの程度コストが掛かっているかを把握することであろう。その際、社内に標準値があると、シミュレーションの機能が獲得できる。自社の環境や能力から見積った、社内標準を整備することで、事前にこの程度の貢献利益が出る「はずだ」、と見積れる。実際の利益貢献度が、標準で見積った値を下回ったときに、工程別にその状況が把握できるからである。

(2007年10月)

2007/10/24 00:00:00


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