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人はどのように色を感じるか(研究会速報)

視覚的効果とイメージ効果

印刷業界はじめ、いろいろな人が色に興味を持っている。単に赤や黄色だけなら、研究の対象にならない。これほど多く色を研究するということは、色はある効果を持っているということである。
現在では、とくに色をうまくコントロールしないと商品は売れない。自動車でも、昔に比べたら確実に色数を増やしている。色数を増やすことで購買力を上げ、色のコントロールに失敗したらNGである。

色の効果を考えたとき、色が見えるという視覚的な効果と色彩のイメージを重視した効果がある。色が目立つということでは、安全色というのがJISで決まっている。色を目立たせる、パッと見て気付くというところに効果を持つ場合である。
また、イメージ効果を重視している分野には、ファッションなどがある。ファッションの場合、デザインといっても、極端に言うと足は2本しかなく、腕も場所が決まっており、大きく違う形を作ることができない。しかし、色を変化させることによって効果を持ってくる。

昔、自動車や家電も色数は少なく、冷蔵庫は白しかなかったが、今ではGE(General Electric)など36色作っている。このようにイメージ効果をうまく使っている例もある。色というのは、さまざまな効果があるので、それらを考えていかなければならないだろう。

色に関する他の知覚への影響

一番よく知られていることは、距離感である。例えば、部屋を真っ暗にして、赤や青の光を単独でスクリーン等に映し出すと、この効果がよくわかる。人間は両眼で見て距離を認識する。スクリーンまでの距離について、すごい力で、「このスクリーンはどこにある」という認識をする。「スクリーン上に何かある」ということで、本来、色が持っている効果を抑え込んでしまう力がある。

また、色紙を使った実験では、赤系統の色は手前に、青系統の色は奥に感じる。このことから、進出色と後退色、すなわち赤は手前、青は奥というように、明らかに色によって距離感が違うということが言われている。
さらに、見かけ上の大きさも変わる。よく、「太っている人は、白い色は膨張色だから着てはいけない」などと言う。例えば、碁石の中には、白は大きく見えるので、わざと小さめに作るものがある。これも、確実に明るいほうが大きく見える。

これを使った例で興味深いものに、フランスの国旗がある。色の面積を30:33:37で分けている。現在は、海上用の国旗だけがこの比率を残していて、あとは等量にしているということである。

(2007年9月)

2007/10/24 00:00:00


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