いろいろな生産手段がCIM化した今日では、オンデマンドで1点しかないオリジナルを作るような応用は数多くある。オリジナルとはいってもイージーオーダーで、まず雛形を選び、それにオプションを付けていくような形で自分仕様の発注ができる。これはバッグにどういったポケットやアクセサリを付けるかというものから、バスルームのコーディネイトのようなものまであり、それらがネットにつながってブラウザでシミュレーション画像を見ながら仕様を決められる。バッグの方はそのまま縫製のデータになってOneToOneの製造工程に結び付けられるであろう。
これらの多くは営業マンの削減にもなるが、発注者にとっては営業マンを煩わせない方法であることは、夜中でも休日でもシミュレーション・発注ができるという便利さでもある。ホテルや交通機関の予約がネット上にシフトしたのも、代理店の営業時間外に発注できる便利さからである。オンデマンドというビジネスモデルは間に人間が介在するとパフォーマンスが落ちるので、なるべくeBusiness化しないと双方にメリットが出難いだろう。
ベルトコンベアで小ロット生産する場合に、コンベヤにいろいろな仕様をバラバラ流す場合もあるが、同じものを何点かまとめて流すほうが効率が良い。ブックオンデマンドでも実際には最低ロットを決めて作って在庫する場合がある。このような人間的な見計らいが工程の間に必要になると、システムが分断されるし、在庫管理という新たな仕事も発生する。今後のビジネスの展開を考えるとコストだけの視点ではなく、むしろeBusinessとしての発展の可能性を視点にしたほうがよいだろう。
バリアブルプリントでOneToOneをするとしても、従来なら個人情報をまず溜め込んでデータマイニングするとかCRMベースの方法を考えがちだが、eBusiness的には個人データには依拠しないで、商品ごとに匿名の人の行動パターンという情報を付与する方法もある。CRMは過去の顧客データなので、今流動的な消費者には当てはまらないことも出てきてしまう。むしろ今日活動している人のデータを最大限に活したほうがよい。
Webショッピングでの「お勧め」では購買パターンを統計的に割り出して、人の関心事と結びつけて、ユーザを類型化したマスカスタマイズによってOneToOne風なサービスをすることがある。個人情報ベースの場合にいくら購買情報が正確でも、男が女物を買うなど他人に代わって注文をすることもあるので、むしろ商品間の関係をベースに「お勧め」をした方が、正確にはOneToOneでなくても理屈にあった結果になるだろう。OneToOneもオンデマンドもクロスメディアも、eBusinessとしてのシナリオに位置づけて、個々には試行錯誤があろうともトータルでビジネスが進化していくような戦略が必要だ。
テキスト&グラフィックス研究会 会報 Text&Graphics 2007年8月号より
2007/10/31 00:00:00