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「DTPエキスパート」お客様の一歩先を行くために

◆株式会社大熊整美堂 営業部一課課長 小澤勇二

 
入社時期〜
私が会社に入社したころは、まだ割付け用紙や写植・版下、レタッチ・オペーク作業・集版と、アナログ(製版)の世界でした。社内ではトンボや見当、ヤレ紙や紙積み時の風入れなど、業界用語や意味に慣れるまで時間が掛かりました。しばらくは先輩営業マンに随行し、打ち合わせから納品までの流れを少しずつ把握していきました。そして、ある程度仕事を一人で任されるようになり、やっと慣れてきたころ「DTP」という聞き慣れない言葉をよく耳にするようになり、また、業界紙や書店などでも頻繁に見掛けるようになっていきました。当初はこのコンピュータが製版作業に取って代わるなどと言われても想像ができず、とても信じられませんでした。が、時間が経過するにつれて徐々にではありますが活字や書体がフォントに、写植・電算などの組版がPageMakerやIllustrator、またはQuarkXPressに取って代わり、分解作業・画像調整がPhotoshopにと代わっていきました。アナログからデジタルへ急速に変化していき、それに伴い社内設備や環境も次々と変わっていきました。そして、いつの間にか製版がプリプレスと呼び方まで代わってしまいました。営業活動をとおしてだんだんとプリプレス用語が増えていき、聞き慣れない横文字が多くなってきました。当然のごとくオペレーターほど用語や操作、設備に詳しくなく、当初はお客様とのやり取りの中で必要最低限の知識しかありませんでした。お客様との会話も次第に変わり、DTP用語が頻繁に使われるようになっていきました。社内にて、DTPワークフローや、用語解説・注意事項など簡単な講習会なども行いましたが、業務に追われなかなか受講できませんでした。今思えば、時にお客様からの問い合わせに、本当の意味も分からず軽く返事をしてしまい、後からDTPの本を読んで確認したり、詳しいオペレーターに聞いたりして、誤り(謝り)の電話を掛け直したことも何度かありました。知ったかぶりをして、いらぬ恥をかいたことも何回かあったように思います。

最初の試験
そうしたことを経て、当社が最初にDTPエキスパート試験に挑戦したのは4年前の第18期、当時社長が「これからはますますデジタルの進歩が早くなるから、DTPエキスパートはもっていて当たり前」という一言から始まりました。初挑戦ということもあって、会社行事で強制的というよりは、自主的に希望者を募り、営業・プリプレス・生産管理・刷版と、なかには総務の人間も加わり総勢15名が集まりました。多少の他薦があったようですが、当初予定していた人数よりも多くの人たちがチャレンジすることになりました。最初は私もどちらかと言うと、プリプレスのオペレーターが一番取得するには最適であり、営業ではあまり必要がないのではないかと思っていました。しかし、当時の自分の立ち位置、レベル測定だと思い受講することにしました。外部より講師を招き、テキストと、徹底して過去問題・模擬試験の繰り返しを約3カ月間行いました。実際は通常業務との並行であり、時間調整にかなり苦労したことを覚えています。また、久しぶりの試験という試験でしたので、最後の1週間は、テキストを頭に詰め込めるだけ詰め込んで試験に挑んだことも思い出しました。そうしたかいあってか結果は11名合格と7割を超える合格率でした。しかも残り4名は合格まで1〜5点差という、もう1〜3問合っていれば、全員合格という快挙もあり得た成績でした。

合格後
DTPエキスパート試験に受かったことにより、まず合格者全員の名刺に認証とID番号が印刷されました。名刺交換の時、お客様からの反応も、知っている人は「取ったんだ、すごいねぇ!」と言ってくれる人や、同業者とも意見交換や情報交換などの、今までにないコミュニケーションも生まれました。また、知らない人は「DTPエキスパートって何ですか?」と反応があり、そこから話題に入れたことも何度かありました。後、実際資格をもっていることを頼りに、いろいろな質問をしてくる(してくれる?)新人のお客様もいらっしゃいました。そういう意味では重要なコミュニケーションツールの一つになっていると感じています。そして、資格をもっていることによる良い意味でのプレッシャーもあり、知識的・技術的に常にお客様よりも一歩先を行く営業展開をしようと考えるようになりました。DTPエキスパートの資格をもっているという自覚もあり、恥ずかしくない営業マンになるよう日々努力をし、業界動向や新技術の発表、ソフトなどのバージョン情報・新作など、以前よりも気にすることが多くなりました。

営業マンとして
個人的な意見ですが、営業マンとして大切なことは何事にも興味をもち、常に向上心を失わないこと、そしてそれを経験とし、チャレンジし、営業活動に生かし、いかに効率良く営業展開をしていくか!ということだと思っています。良いことも悪いことも、やはり何事も経験に勝るものはないと思います。そういう意味では私にとってDTPエキスパート試験は良い経験であり、今後大いに役立てようと思っています。会社にいる後輩たちやこれから入社してくる後輩たちに、「DTPエキスパート」取得の大切さを継承していこうと思います。きっと何かが見つかるはずです。

今後〜
さらにこれからの印刷業界を考えた時、単に印刷会社という物作りのためのDTPエキスパートではなく、クロスメディアにあるように、メディア(媒体方法)の一つという捉え方のほうが強くなってくるのではないでしょうか? 今まではDTPの中にカテゴリーがありましたが、これからは、DTPそのものがカテゴリーの一つになっていくのが現実ではないでしょうか。インターネットやモバイルなど印刷・広告を取り巻く環境も刻一刻と変化していき、お客様のニーズの多様化など、広い範囲での知識や経験が必要になってきて、またそれらを取得していき、初めてお客様にご提案やサービスができ、そして選ばれる企業になっていくのではないでしょうか。また、これからの営業に問われるものは、十言われたことを百をもって十返すのではなく、十言われたことを二百から三百をもって十以上のものを返す能力が必要になってくるのではないでしょうか?そういう意味ではあくまでも「DTPエキスパート」取得は手段であって、決して目的ではないように思います。そして前記した二百から三百の、いや、これからはそれ以上の知識や経験へのステップとして捉えるべきではないでしょうか。

2006年の試験
そして、2006年第26期、前回より4年の歳月を経て、当社にとっての「第2回DTPエキスパート認証試験取得会」が企画されました。今回は営業を中心に全体で14名がチャレンジすることになりました。前回同様専門の講師をお招きし、8月最終日曜日に向け約3カ月に及ぶ講習会が毎週行われました。今回私の役目は講習会会場作りと電話番でした。みんなが受けている講習を遠くから見つめながら、自分自身2回目となる更新問題に頭を悩ませる日々が過ぎていきました。更新試験でも分かるように、以前よりますます範囲が広がり、受講者の話を聞いていても、既に聞き慣れない言葉もありました。しかし、課員も何名か受講しており、私が経験してきたこと、そして今後の営業活動のこと、DTPエキスパート取得を機に「お客様の一歩先をいく」営業展開を考えていきたいと思います。

 

 

 
JAGAT info 2007年4月号

 
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2007/11/24 00:00:00


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