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身に着けた知識でDTP海域を航海する

◆ 岡本 亜美

私は学生時代からず〜っと本が好きで、就職をするなら絶対に本を作る会社!と決めてこの業界に入りました。配属された「制作課」で、初めてMac DTPに出合ったのですが、漠然と「本を作る会社に入りたい」と思っていただけの私は当然DTPなど知るはずもなく、ましてやMacなんて触ったこともありませんでした。


配属されたばかりのころは、文字打ちの練習と校正記号の暗記などの基礎的な勉強ばかりで、「本を作るのって意外と地味だよ」などと友人に話していたのですが、今思うと顔から火が出そうです。
それでも、次第に再版物の修正や、作図などを任せられるようになるにつれDTPの面白さ、奥深さを理解できるようになってきました。そして半年後、初めて新規組版を任された時は本当にうれしくて、でき上がった本を書店に探しに行ってしまいました(この業界にいたら、皆さんも一度は経験がありますよね?)。

DTPの基礎を1年半掛けてたたき込まれた後、制作管理課に異動となり、協力会社への制作(DTP)の依頼、入稿からフィルム下版までの進捗管理、品質チェック(内校、下版チェック)、トラブル対応などの業務を担当することになりました(ノンブル貼り、版下修正などのアナログちっくな作業も……)。
初めのうちは制作課で得た知識を元に、順調に業務をこなしていけたのですが、次工程である刷版や印刷のことがよく分かっていない私は、折丁や付け合わせの指示ミスを何度も繰り返すようになってしまいました。「このままではいけない」と分かっていてもどうやって勉強すればいいのかも分からず、途方にくれていた時、追い討ちを掛けるかのように、新しくInDesignが発売されたのです。当社でもInDesignの入稿が始まり、営業からの質問も増え始めると、ますます「このままじゃいけない!」という思いが強くなっていきました。

そんな時、偶然にもDTPエキスパートを「会社の方針として取得していこう」という動きが出てきました。それからほどなくして、毎週土曜日に講師の先生をお招きし、DTPエキスパート受験のための勉強会が始まりました。私は2年目に参加させていただいたのですが、1年目(第24期)では制作部の8名中、7名が合格という成績を残していたこともあって、かなりのプレッシャーを感じながらの受講となりました。

初めて問題集を見た時は「こんなにも出題範囲が広くて、出題数も多いのか」と驚いたのですが、普段関わりのない部署のことまで勉強でき、苦戦しながらも楽しく勉強させていただきました。
実は、InDesignを使ったのはエキスパートの課題制作が初めてでした。現場からマニュアルを山ほど借りてきて、本とにらめっこしながら課題制作に挑んだのですが、QuarkXPress やIllustratorに比べて機能がかなり増えていることに驚きました。手探りでの作業でしたが、課題が満足にできた時は充実感でいっぱいになり、今ではInDesignの入稿もちっとも怖くなくなりました(ちなみにこの年、制作部の人間は13名全員合格することができました)。

DTPがない時代は文字を1文字1文字切って、版下を修正したり、ページが増えたら以降のノンブルを貼り直したり……といった話を先輩方からよく聞きます。昔は1時間掛かっていた作業を、今ではものの数分でできるような時代になりました。PhotoshopCS3では3Dも作成できるという話です。すごい速さで進化していくDTPの世界で「私はどこまで付いていけるのだろうか」と不安になることもありますが、一人で初めて本を作った時の気持ちは忘れることができません。これからも私はこのDTPという船から振り落とされないようがんばっていこうと、気持ちを新たにしているところです。

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2007年12月号


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2007/12/15 00:00:00


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