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大村あつし氏

ITライターから作家に転進した大村あつし氏は、クロスメディア時代の「作家2.0」を自認している。これからの作家は、作品を仕上げて編集者に渡すだけではダメで、自らもコンテンツ(作品)をどのように生かしていくのかを考えていくべきであるという。

15万部のベストセラーになった『エブリ リトル シング』は、もともと紙ベースでの小説である。中に収録されている「クワガタと少年」は、それだけ抜き出し、絵本として制作されている。
それだけでなく、朗読したコンテンツを携帯電話でも視聴することができる。

もともと紙の本として、上梓されたものが、携帯小説として読めるようにもなっているし、音声も聴くことができる。通常の携帯小説が本になるのとは逆の形態である。

携帯小説が流行る背景には、ネットや携帯であらかじめふるいにかけられることがあるという。そこでたとえばPVや滞在時間を稼いでいるとコンピュータによる裏づけがなされ、出版社としてもリスクを回避できる。

しかしこの流れは、小説にとどまらず、やがてビジネス書にも広がるのではないか、この数年の間にその流れがあるのではないかと思っている、という。

(2008年1月)

プロフィール
大村 あつし 作家 ITライター 静岡県富士市出身。静岡大学人文学部経済学科卒。映像化を念頭に小説を執筆するメディアミックスの作家2.0。中学時代から天声人語を欠かさずにノートに書き写していたその筆力に支えられ、「過去10年でもっとも成功したITライター」と評価される売り上げを記録。同時に、自ら起業したIT企業を静岡県でも有数の会社に育てるも、2004年に代表取締役を退任し、2007年に満を持して『エブリ リトル シング』で小説デビュー。15万部のベストセラーを記録。斬新な着想、すべての伏線が一本の線につながる集点的な結末。こうした作風から「意外性の魔術師」と称されている。他の小説に『無限ループ』(幻冬舎)がある。

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大村 あつし

(2008年1月)

2008/01/15 00:00:00


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