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中国におけるDTP制作サービス

中国におけるDTP制作サービスIT業界では、中国でのオフショア開発が浸透している。近年、印刷関連でもCADやCGなどの画像処理、写真切り抜き、DTPレイアウトなどのデータ加工を中国でおこなう例が増えている。
ITや日本語レベル、職業意識も高いことから、日本の高い要求品質をクリアすることが出来ているという。テキスト&グラフィックス研究会では、エコーインテック代表取締役の尾頭豊氏に中国におけるDTP制作サービスについて話を伺った。

DTP制作のネットワーク利用

エコーインテックは、日本の本社にDTPの営業部門を持ち、中国の大連で制作をおこなっている。ソフトウエアのオフショア開発のために1998年に創業したが、現在はDTP業務が中心である。
入力業務は専門の入力会社と提携し、その後自社で組版する分業制をとっている。制作センターは、大連の専門学校の中にある。産学協同でDTP要員を育成するため、学校の中に会社を置き、学生を使っている。

入力会社は2交替制で、ダブルで入力し、もう1組が校正する、3組によるベリファイ方式である。99.997%の正字率を誇っており、ほぼ100%に近い。大連では3組によるベリファイが一般的である。
写真の切り抜きもおこなっている。間取り図作成は、月間3万件を処理している。メイン業務は組版である。今まで学参物を相当数こなし、最近ではカタログ類、専門書、医学書等に広がってきた。その他にXMLデータベースと自動組版、スタイルシートの開発も大手出版社から依頼を受けている。

ネットワーク環境は、専用線を引くと月間70万円(年間1,000万円)の費用がかかるので、VPNを利用している。日本ほど環境はよくないが、写真の切り抜きなどを大量にやりとりすることがあってもそれほど影響はない。

組版の流れ(FAX入稿〜PDF出力)

入稿方法は3通りで、エコーインテックのサーバへのアップロードか、FAX入稿、あるいは客先へ訪問して原稿受取りである。入稿されたデータは複合機でスキャンする。複合機を使って高速でTIFF形式に変換し、サーバにアップすると、大連でもすぐに取り出すことができる。
大連で制作したものは顧客にPDFデータとして送る。そこでプリントし、赤入れしてもらったものを再度スキャンして戻すという繰り返しである。5校、6校の場合もあるが、ほとんどの顧客は、直接大連とやりとりしている。

間取り図を月3万件ほど制作している。原稿は大手不動産会社の出先やフランチャイズの営業マンが、FAXを使って入稿してくる。365日24時間の原稿受付で、当日入稿・当日納品という体制である。間取り図をできるだけ早くWebやチラシに掲載することが不動産会社の生命線であり、それに対応している。

FAX入稿の場合、最初にコンピュータがFAXデータをTIFFに自動変換する。そこでファイル名が自動設定される。発信元のFAX番号にマスターの顧客コードが対応付けされており、顧客コードを参照して一連のナンバーが振られ、画像を圧縮し、ファイル名が自動で付けられる。
オペレータは、ファイル名によってデータをプリントし、それを原稿として間取り図を制作する。間取り図は、顧客によってWeb用途と印刷用途がある。顧客によっては、JPEG、GIF等、いくつかのサイズ指定があり、4種類のファイルを生成するような依頼がある。
これをIllustratorの画面上で1種類ずつファイル生成を指示するのではなく、全部自動変換している。これらはシステム要員がおり、相談して工夫をしている。アップロードすれば、自動的に顧客に通知が行く。



(この続きはJAGAT Info 2008年1月号、テキスト&グラフィックス研究会会報誌 Text & Graphics No.262に掲載)

2008/01/19 00:00:00


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