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「DTPエキスパート」で得た自信

◆福田 貴典

 

私がこの業界に入ったのは、2年半前のちょうどゴールデンウィークの前です。中途採用で現在の会社に入社しました。もともと学生時代から漫画や雑誌が好きで、本や雑誌に関わる仕事をしたいと漠然と思っていました。

大学での就職活動でも出版社関係を数社受けたのですが、見事に撃沈。やむを得ず、取りあえず受かった会社に1年間勤めました。そのため、転職を機会に「やはりやりたい仕事に就きたい」と思い、この業界に入りました。

正直、知識や技術、経験は全くない素人でした。DTPという言葉を初めて知ったのも、入社してから2週間ほどの研修期間の中でのことです。本当に右も左も分からない状態でのスタートでした。
「DTPエキスパート」という資格があることを知ったのもそのころでした。これからこの業界で生きていく上では必須の資格であると確信したことと、またちょうど会社にも「DTPエキスパート」の資格を取る上でのサポート体制があったことから、約1年後の試験を受けようと決心しました。しかし、いざ参考書を開いてみると意味が全く分からない言葉だらけで衝撃を受け、とても不安な気持ちになりました。


毎週、仕事の後に会社で講習会(勉強会)が行われたのですが、仕事の関係上なかなか時間が取れなく、毎回は参加することができませんでした。徐々に自分だけ取り残されたようなあせりも出てきて、勉強も思うようにはかどりませんでした。そんなこんなであっと言う間に試験当日。私は直前講習にも参加したのですが、とても不安な気持ちで試験に臨みました。正直手ごたえは全くと言っていいほどなかったです。そして課題にもとても苦労しました。仕事の終わった後や、休みの日などにも会社で作成し、何とか締め切りギリギリで仕上げ、後は発表を待つのみとなりました。

そして発表日当日。インターネットで確認したのですが、一瞬自分の目を疑いました。結果は見事合格。これでやっとスタートラインに立つことができると、とてもうれしく思いました。

現在私は、製版・印刷会社の営業として働いています。主に書籍や漫画雑誌などの仕事です。お客様と一緒に考え提案していく上で、DTPエキスパートの知識がとても重要になっていると毎日実感しています。この仕事で自分が面白いなと思うところは、お客様と一緒になっていろいろ打ち合わせをしながら、一つの良いものを作ることができることです。専門用語などを時には交えながら……進行の打ち合わせをする時など、自分でもちょっとかっこいいなと思います。

最近では、携帯などのデジタル関係の話もよく耳にするようになってきました。出版業界全体でも、とても力を入れてきていると思われます。自分の会社としても力を入れている分野です。本がなかなか売れなくなってきている現在、紙に代わって携帯、パソコンなどのデジタル関連がとても重要な位置を占めてきていると実感しています。私はまだ、そのようなデジタルの知識は、正直ゼロに近い状態です。ただ、これからますます間違いなく伸びていくものであると思います。自分としては、これからデジタル方面のことも勉強して、紙にもデジタルにも強い営業になっていきたいと考えています。

DTPも日々進歩しています。現状に満足していたのでは、あっと言う間に時代遅れになってしまいます。満足することなく、どん欲に新しい情報を吸収し、知識を高めていこうと思っています。

今後の自分の目標は、お客様に「こうすればもっと良くなるのではないか」「こういうものを作ってみたらどうか?」というように、いつも提案(発案)できる営業になりたいと思います。クライアントからはもちろんのこと、社内の現場の人間にも期待、信頼されるようになっていきたいです。

現在私は会社の営業の中で一番年下なのですが、今後後輩たちが入社してきた時、私が得たものを伝えていけるようにしていきたいと思います。「DTPエキスパート」の試験は、私にとってとても有意義なものでした。これから先、つまずいた時でもこの経験を生かし、糧にして自信につなげてがんばっていきたいと思います。

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2008年1月号


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2008/01/20 00:00:00


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