3DCGの映画は珍しくなくなったが、人間をリアルに描くことはタブーとされていた。日本でも先駆けて制作された映画があったが、技術を動員して「大根役者を作った」といわれて、興行的にはうまくいかなかった。昨年暮れに公開されたワーナー映画の ベオウルフ は、女優さんの金粉ヌードシーンがCGだということで評判を呼んだ。女優さんの動きをモーションキャプチャして、CGをエキストラのようにしたのだろう。この映画は見ていないが予告編はYouTubeで見ることができる。
ベオウルフのCGのことがBlogなどにもいろいろ書かれていたが、どの部分がCGでどの部分が実写であるか、いろいろな意見がある。CGの部分は表情が堅いとかいう人もいる。しかし日本のCGの権威の人が書いていたものでは、全部CGで俳優は映っていないという。すべてモーションキャプチャだというのだ。そうする理由はいろいろあろうが、特撮というだけではなく、素材の表現(例えば炎、水)、ライティングなどが微妙にコントロールできるから、CGの方が表現がやりやすいという人もいる。
YouTubeの映像をみると、なるほどゲームの中に俳優さんがいるようにも見える。静止画なら撮影したあとでレタッチができるが、映像を実写して手を加えることは困難なもので、それならばいっそCGをベースに登場人物を置いたほうがよいと考えつくのでハイブリッド映画ができる。暗いシーンの絶妙なライティングなどはCGでなければできないだろう。またセットの小道具や背景もCGで使いまわすことが次第に効率的になってくる。
CGによるビジュアライゼーションは一体、今日どこまで進んでいるのだろうか? すでにデジタルシネマの上映館は町のあちらこちらにできつつあるし、その中でも3Dのものが増えている。これらがアミューズメントやエンタテイメントとして身近な映像技術にデジタレがなっていくのと、そういった技術を活かして面白いコンテンツを作り出すのとは、両輪のようになって進み始めたことをベオウルフは示しているのではないだろうか?
PAGE2008基調講演では国立天文台の3DCGの新しい話がある。CGに加えて3Dの立体視も新たな技術が登場してさらに身近なものとなっていくだろう。それにともなって画像コンテンツの作り方もCGが主流になると考えられる。表現はCGが王道で実写はサンプリングに過ぎず、という時代に向かっているといえる。
2008/02/04 00:00:00