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コダックの次世代高速インクジェット「STREAM」技術はオフセットレベルが狙い

コダックIPS本社がある米国オハイオ州デイトンで2008年3月26日〜28日の3日間、Kodak's Digital Print Open Houseが開かれ100人以上のVIPユーザーやジャーナリストが集う大きな催しとなった。
今回の最も重要な発表は、次世代のインクジェット技術である「STREAM」であり、drupa2008に向けてこのヘッドを搭載したハイブリッド印刷機「オハイオ」と、参考出品されるフルカラーのコンセプトプレス「ミシシッピー」である(注:「」内は社内の開発コード)。

次世代インクジェットプリンティング技術STREAM(参考出品)
高速型インクジェットプリンティング システムは、ダイレクトメール宛名印刷、面付け、バーコード印刷、新聞、パッケージ、書籍印刷、トランスプロモ(TransPromo)などいろいろな用途への利用が拡大してきた。 コダックではdrupa2008に次世代のインクジェット技術である、STREAMコンセプトプレスによるインクジェット技術を一般公開する。STREAMはコダックが得意とするコンティニアス方式のインクジェット技術が継承されているが、インク滴をコントロールする方法が従来の電界による方法から空気の流れによる方法に大きく変更されている。これによって、電気特性から水性染料インクに限定さていた制約を無くなり、オフセットインキに近い発色特性を持つ顔料インクが選択でき、さらに色インク用ヘッドの手前に配置された専用ヘッドから、ボンディングエージェントという下引き剤を印字することによって用紙の表面特性を改良し、通常のオフセット用紙に高品位な発色による印刷が実現している。
参考出品されるフルカラーのSTREAMコンセプトプレス「ミシシッピー」はA4(レターサイズ)を毎分2,500ページ印刷できる高速性能が大きな特徴であり、品質はオフセットレベルを標榜している。

ハイブリッド印刷機(参考出品)
drupa2008で「オハイオ」はミューラーマルティーニのオフセット輪転機に搭載されたSTREAMヘッド(1色)によってまずオフセット印刷部で通常のカラー印刷が行なわれ、次に可変データをSTREAMヘッドで印字するデモを印刷速度300m/分で行なう予定であり、品質はレーザープリンタレベルを標榜している。

コダックのコンティニアス方式インクジェット技術とは
開発の歴史は1967年のミード社の開発室で作られた130メートル・100dpiの5.12インチ幅のヘッドから出発している。1970年代の終わりには既に300m/分の高速化に対応していたが解像度はまだ120dipと低かった。1997年以降に開発されたのが、現行のバーサマークシリーズや組込み用途の単体ヘッドであるDシリーズに使われているヘッドで、600×600dpiの解像度と300m/分の性能を持っている。コンティニアス方式によるインクジェット技術によって高速出力の性能を持っているのが大きな特徴である。
デイトンのコダックIPS本社では高速インクジェット方式のデジタル印刷機であるバーサマークの開発・生産とヘッドのリファーム(分解修理)なども行なわれている。

Kodak Versamark Vシリーズの新製品
コダックのインクジェット方式で初めてDOD(ドロップ・オン・デマンド)方式を採用したのが、新製品のKodak Versamark VL2000印刷システムで、600×600dpi、A4(レターサイズ)を毎分1,090枚の印刷速度である。 請求書、口座明細書やダイレクトメールなどの業務、プロモーションおよびトランスプロモ(TransPromo)ドキュメントを月間100万枚以上処理する印刷会社の適するモデルになっている。 Kodak STREAMコンセプトプレスおよびVersamark VL2000プリンティング システムはコダックPODSグループの新型フロントエンドで稼働する。

電子写真システム Kodak NexPress
小ロットおよびバリアブルデータ印刷、白黒およびカラー、カットシートならびにロール紙に対応した、オフセット印刷に匹敵するソリューションが電子写真技術コーナーで展示される。 Kodak NexPress デジタル プロダクション カラープレスというSクラスの新シリーズ、S3000、S2500、S2100デジタル プロダクション カラープレスは、デジタル プロダクション カラー市場に新たなレベルのモジュール性を提供し、フレキシブルなフロントエンド オプション、入出力アクセサリ、ユニークなセキュリティアプリケーション機能やオンサイトのアップグレードを提供する。
比較的少ない仕事量で、小ロットのデジタルカラー印刷を行い、バリアブルデータおよびインライン加工の組み合わせが必要なときは、Kodak NexPress M700 デジタル カラープレス用の新しいアクセサリを選択できる。オプションには、フィーダ モジュール、フィニッシャー、中綴じ、パンフレット トリマー、パンチャー部、ドキュメント給紙部、大容量排紙構成が含まれる。

NexPressの新型フロントエンドシステムの拡張ラインアップ、Kodak NexPress V およびKodak NexPress Vpフロントエンドの新バージョン、新型NexPress Vcs フロントエンドも同時に展示される。 Adobe PDF Print Engineを使用したKodak NexPress V およびKodak NexPress Vp フロントエンドの新バージョンと、コダックのプリントオンデマンド ソリューション(PODS)グループのソフトウェアを使用したNexPress Vcs フロントエンドは、各種ワークフロー アプリケーションにシームレスに実装できる。
また、光沢、5色オプション、ソフトウェアおよび使用する紙への柔軟性により、NexPress はアニュアルレポート、写真集などの高い品質を要求される用途に適する。 NexPressは、コダックのUnified Workflowソリューション、さらに印刷会社が利益や生産性を最適化できる、オペレータ自身で交換可能なコンポーネント構成などの特徴を持っている。

Kodak Digimaster EX デジタルプロダクションシステム
枚葉モノクロ市場の印刷会社向けにモデルで、新型プリントプロダクションソフトはJDF機能をサポートするほか、Kodak Prinergyワークフローシステム5.0ワークフローの拡張サポートとの接続もできる。また、生産性を最適化しジョブを双方向で確認できるスマートリストが含まれる。 Digimaster EXシステムのパンフレット メーカーに追加されたWatkiss SpineMasterアクセサリによって無線綴じを追加コストなしに仕上げることができる。

コダックのデジタル印刷機製品群

2008/04/18 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会