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技術戦略マップ

前回報告のように、本年版の技術戦略マップ2008が経済産業省から発表された(4月18日)。

今回の見直し点は、分野が29と広範囲になった事、また「国際競争ポジション」が追加されている事が前回との大きな差異である。また中堅・中小企業にも積極的に配布する方針との事で、6月上旬から経産省にて印刷物が配布される。また応用物理学会、日本化学会や機械学会等が作成したアカデミック・ロードマップは一部学会では公表していないが、5月中頃には経産省のホームページに掲載する予定との事である。但し検索サービス(KAMOME)は現時点(4月末)で2008年版には対応していない。近々に利用可能となると思われる。

一方、これに先行する形で「平成17年度超微細技術開発産業発掘戦略調査」が経済産業省の委託調査として実施され、H18年3月に終了した。この調査では、微細技術を使用する新規産業分野の市場規模が見積もられている。印刷に関連した分野を例として紹介すると、有機ELが2020年に1200億円市場に、電子ペーパが同じく1200億円、産業用IJプリンタが450億円、RFIDタグが1000億円と見積もられている。今回発表された技術マップと併用して参考にすると面白いかもしれない。また以下ではこの実現性を感じ取っていただくために現在の技術の進捗度合いを一部紹介してみたい。まず電子ペーパであるが、「紙」のどの特性を実現するかで開発の方向性が異なる。静止画表示という点で新聞と本の例を紹介すると


上:毎日新聞社 新聞電子配信実験
(ブリジストンの電子粉流体技術を使用)

上:Amazonの電子BOOK
(E-Inkのマイクロカプセル技術を使用)


電子ブックについては既に米国市場で他社分も合せ数万台出荷されているようである。また先日発表されたセイコーエプソン社のコントローラを用いると、下記の様にペン入力・消去等が可能となる。


(セイコーエプソン社S1D13521をE-Ink技術と組み合せて使用)

また紙のもつフレキシブル性に注目すると、フレキシブルディスプレイが出てくる事になる。


PlasticLogic社

産業用IJプリンタについては、既に、液晶の配向膜塗布や基板のパターニング試作等に利用されているが、太陽電池や、有機半導体等への応用も今後期待される。金属ナノインクを用いてIJやスクリーン印刷で回路パターンを作成した事例として、下記がある。


ハリマ化成株式会社

以上の様に、印刷/プリント技術は、大量かつ安く生産できる点に着目され、紙への印刷に限らず他分野に活用されつつある。特に塗布やパターニング技術の応用を考えておられる方にとっては、本技術マップは事業戦略策定/修正に当たっての有用な資料となるはずである。また、検討を進める際のコミュニケーションツールとしても使い勝手があると思われる。各学会のアカデミック・ロードマップと併せ、今後の技術開発の全体像が今回整理・整合されたと考えて良いであろう。今後は産業界での活用を進める段階となるが、これらのデータは、応用物理学会では2年に1回、技術戦略マップは毎年継続して見直しが行われる予定である。

さてこのように、紙以外の分野で着々と各種の技術開発が進められている。中でも表示技術の開発状況が当業界として気になる所であるが,どのような技術が出てきてもコミュニケーションツールとして紙の「伝える力」に磨きをかけておく事は必要であろう。前稿に記載したが、特に、米国で一人当たりの印刷筆記用紙の消費量が横ばいになり、日本でも印刷情報用紙の一人当たりの消費量の伸びが鈍化している現在、この伝える力の強化は紙文化に携わる人間として必須のようにおもわれるがいかがであろうか?伝えるためにはコンテンツそのもの、伝える時の形態・表現やタイミング、紙そのものの工夫等、人間のエモーショナルな部分への共感という点も見逃せない。

昨年末から、プリンタブルエレクトロニクス、アカデミック・ロードマップ、欧米の広告費、変化する紙消費量、について5回に分けて最近の動向を述べて来た。印刷業界の周辺情報として参考になれば幸いである。

以上

(2008年4月・文責 松縄 正彦)


プリンタブルエレクトロニクスへ〜記録技術最近の動向(その1)
プリンタブルエレクトロニクスへ〜記録技術最近の動向(その2)
アカデミック・ロードマップ
欧米の広告費
変化する紙消費量

2008/04/28 00:00:00


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