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「うたう未来へ!コラボレーション絵本」i-ehonの展開

(株)第一興商と共同印刷(株)は、パーソナル絵本i-ehon(アイエホン)の「うたの国 ダンスの城〜ぼく(わたし)のうたと不思議な旅〜」を共同で制作し、2008年1月23日(水)よりi-ehonサイトで販売を開始するとともに2月よりプレゼントキャンペーン展開を行った。

i-ehonとは、共同印刷が提供するサービスで、注文時に登録した名前や誕生日、友達の名前などの属性情報を絵本の文章やイラストに反映させてプリントオンデマンドで印刷する「世界でたった1冊のパーソナル絵本」である。そして、i-ehonとしては、初めての企業コラボレーションによる絵本が実現した。 今回はプリントオンデマンドの利用方法の事例として、第一興商のビジネスにおけるi-ehonの展開を紹介する。取材にあたっては、社長室 次長 関森英雄氏より第一興商のビジネスとこうしたサービスを手掛けた理由などについても伺った。

企業コラボレーションによるパーソナル絵本i-ehonについて

発注者が指定する名前と同名の主人公が大活躍する「i-ehon」を通じて子供の夢を後押ししたいと考える共同印刷と、テレビCMなどをとおして企業コンセプトである「うたう未来へ。」を発信している第一興商が、「歌の素晴らしさを伝えたい」という思いで一致し、企業コラボレーション絵本が完成した。

この絵本は歌手の早見優さんが監修する小学生向け完全オリジナル絵本で、音楽に触れると幸せな気分になるという主人公が歌手になるという夢に向かって歩き始めるまでの物語である。早見優さんを監修に起用したのは、小学生の子供がいて歌手であること、また、絵本の翻訳を手掛けていることなどが理由であった。実際に絵本のコンセプト作りに参画いただき会社のメッセージをうまく盛り込むことができたとのことである。

コラボレーション絵本による効果

第一興商では、コーポレートイメージを伝える方法として、テレビCMを始めたが、よりリアルに訴えられるメディアを検討していたところ、プリントオンデマンドであれば一人ひとりのユーザーに提供できると考え、このサービスをPR展開の一環として始めた。 カラオケ店舗のビッグエコーのコアターゲットは、20歳代中盤の女性であり、絵本の読者層である小学校に入るあたりの子供がいる20歳代中盤から後半の女性をターゲットとした。

絵本の使い道は、子供の父母、祖父母からプレゼントされるというのが主であるが、同社ではこのことを、歌で家族と子供のきずなをつなぐ橋渡しの役割と考えている。 CSRの一環として取り組んでいるため、絵本を使って販促を仕掛けるようなことはしていなかったが、企業イメージの向上には役立ったようである。カラオケボックス利用者の中心である若年層を開拓するには、第一興商がどういう会社かを分かってもらうことも必要だったとのこと。メディアからの問い合わせや取材を受けることが増えるなど、企業広報的には大いに役立っていると言える。また間接的には、カラオケ利用者の子供という将来的なターゲット層へのイメージ訴求にも役立ったようである。

今後取り組みたいオンデマンドメディア

カラオケも音楽産業の一つであるため、同社では、レコード会社も傘下にしているが、今後は、いい音楽作りをグループ一丸となって取り組みたいとのことである。歌う行為をどれだけ楽しいものにするかということで言えば、ユーザーのオーディションを受けられたり、審査を受けたり、カラオケ画面にも歌手本人が出てくるということを行っており、音楽のコンテンツを持つプロダクション、歌手などともコラボレーションを組んで音楽ビジネスとしての拡大を狙っている。

ユーザーへのメディア展開は、テレビCMを使ってダイレクトに伝えているが、そうしたことの補完として、今回の絵本のようなオンデマンド・パーソナルメディアを同時に使って行きたいと考えている。また、カラオケボックスでは、お客様が歌った歌をCDに焼けるサービスもあるので、そのCDジャケットをお客様個人に合わせたデザインで制作して届けるようなことも行ってみたいとのことである。

(「プリンターズサークル」2008年7月号より一部抜粋)

2008/07/18 00:00:00


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