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世界のデジタル印刷事情:2008年7月

ホスピタリティ産業は、トランスプロモの有力分野

請求書に広告を掲載するトランスプロモはかなり一般的になったが、今後、ホスピタリティ産業での利用は有力な分野である。例えばホテルの請求明細にCRMデータベースにある過去の購買履歴に基づく広告を入れることができる。チェックイン時に、顧客の最も喜びそうなホテルサービスの優待ポイント、優待クーポンを付けて鍵を渡すことが出来る。ビジネスセンター、ゴルフ場あるいはスパに関してこのようなサービス情報を提供できれば、顧客側の利用が増加し、結果として売上とともに顧客満足度も上げることが出来る。
印刷、Web、Email等を結び付けたさまざまなキャンペーンを統合的に顧客に提供することでより多くのデータを得ることができるし、その反応を追跡することでどのようメディアがより多くのレスポンスを得ることができるかを知ることも出来る。印刷会社がこのような仕組みに対する支援をすればクライアントのメリットになり、ひいては印刷需要にもプラスになる。

コンソリデイティッド・グラフィクス、写真集用に36台のインディゴを導入

コンソリデイティッド・グラフィクスは、ヒューレッド・パッカードからインディゴ・デジタルプレス36台を購入する契約を結んだ。実際の導入はこの6月から始まるが、最初の設置は、チェコのプラハにある工場、およびオレゴン州のメドフォードにある工場になる。コンソリデイティッド・グラフィックスは現在70の印刷会社を傘下に治め、グループ全体の売上は約12億ドルである。同グループは、昨年25億ドルをデジタル印刷機とそれに関連する技術に投資した。新型インディゴ7000デジタル印刷機を含む今回の新設設備の大半は写真集の印刷に向けられるが、6台はダイレクト・マーケティング用に使われる予定である。

雑誌分野にPODサービスを拡大するHP

HPは,新たな事業として、従来のプリント・オン・デマンド・サービスを雑誌の分野にまで拡大した。カリフォルニアのパロ・アルトにある同社のラボで開発されすでに運用に入っているもので、雑誌社はコンテンツのPDFファイルをオンラインでMagCloud に送り、本文と広告ページを組み上げる。印刷はアメリカ国内にある同社とネットワークを組んでいる印刷企業で行なうことになる。

アマゾンのPOD企業との争いが法廷に

アマゾンが同社サイトで販売する本のPOD出版社に対して、その印刷をアマゾン傘下のPOD企業であるブックサージ社に発注するよう各社に要請した件について、小規模POD出版のブックロッカー・コム社はこれをアンチトラスト法で告訴した。アマゾンは、以前、ブックサージ社を通して全ての印刷を行なうことで利用者の印刷物製作の効率化に貢献するとの見解を発表したが、それが違法かどうかの確認していないとしている。

競合他社を引き離すステイプル社

Staples.ink.,は、4ヶ月の交渉の末、Corporate Express NVを270億ドルで買収した。この買収によって同社の売上は270億ドルになり、同社のライバル企業であるOffice Depot とOffice Maxの年商合計246億ドルを引き離すことになる。市場としてはCorporate Express NVが強みとして持っていた規模の大きな企業顧客のマーケットを拡大することができる。

(グラフィック・コミュニケーション・ワールド2008年6月2日、16日、7月21日号)

(2008年7月)

2008/07/25 00:00:00


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