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ニフティにおけるフルカラーオンデマンド印刷の用途展開

ニフティにおけるオンデマンド印刷の取り組みについて、印刷発注担当のISP事業本部 CS推進部 CS-ドキュメントチーム課長 河瀬祥子氏とISP事業本部 CS推進部 CS-ドキュメントチーム 高橋典子氏にお話を伺った。

従来の印刷物の問題点

ニフティでは、プロバイダ契約を申し込んだ会員に対して@niftyスタートキット一式を送付している。従来は、各印刷物を連続帳票で印刷し、A3サイズに断裁し二つ折りにして、バーコードで封入のマッチングを掛けていた。 さらに、仕様もデザインもバラバラであったのと、キャンペーンなどの追加情報があった場合には、そのつど会員ごとに異なる印刷物を追加する方式をとっていた。こうしたやり方では、個人のパスワードや料金など非常に重要な情報のほかに、入会時にすぐ必要ではない情報も混ざっていたことが問題であった。

そのため、会員にとって情報が分かりにくく、コールセンターに封入物に関する質問や問い合わせをもらうことが非常に多かった。 また、電話での問い合わせに対しても、会員ごとに異なる封入物をオペレーターが把握しなくてはならず、また、封入物の点数が追加されると電話での意思疎通が難しくなり、会員への印象も良くないという問題もあった。

カラーオンデマンド印刷による業務改善

そこで、封入する印刷物のうち、何を届けなくてはならないかを見直し、印刷物の構成そのものを全部見直した。そして、契約に絡んでずっと保管してもらうものとして情報集約して両面4つ折りの1枚もの(A4サイズ)にし、8面の印刷物に情報をまとめ、今年の4月にリニューアルした。

内容は、「契約内容とIDの案内」「申し込み内容」「キャンペーン案内」「支払い手続き申込書」「口座振替依頼書」「手続き方法」などである。 今までは、モノクロオンデマンドで印刷されていたが、カラーオンデマンドに切り替えたことにより、これまで雑多に見えた情報が整理されて見やすくなったことが改善点と言える。それには、テンプレートも識別しやすくし、文字も大きくする工夫も加えている。そのため、会員からは、料金の内訳のように具体的な内容の問い合わせが多くなり、以前と比べて内容を読んでもらっているという実感がある。

また、1枚ものにしたことにより、ばらばらであった情報をひと目で見てもらえるようになった。例えば、今までは預金口座振替用紙が印刷されていても、数点の印刷物と一緒になって見逃されてしまうことがあった。 コストについても従来と比べ、トータルにコストダウンになっている。今までは、ある程度の数量を印刷し、在庫を定期的に見直して処分しなくてはならなかった。しかし、現在の1枚ものに切り替えたことによって、そうした無駄がなくなり在庫レスが実現し、印刷物の在庫管理に要していた事務作業と保管場所が削減された。

(『プリンターズサークル』2008年8月号より一部抜粋)

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