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DTPとWebの架け橋を目指して

◆武本 望

現在の職場に勤務して今年で4年目になります。その間たくさんのことがありましたが、もう4年も経ったのかといまだに実感の湧かないことがあります。
私は高校生の時デザイン科に在籍していました。当時私はアナログの作業よりもデジタル機器を使用した作業にがぜん興味があり、とにかくパソコンを使ってできるだけデザインの近くに携わることができる進路を考えていました。専門学校も考えましたが先生の薦めもあり、現在の職場へと無事就職することができました。

事前に見学へは行っていたもののやはり作業は考えていた内容とは違いました。初めはスキャナを扱うオペレータでした。私は、てっきりDTPのオペレータへ配属されると思っていたので少し驚きました。しかしどちらにせよ初めて行う作業に代わりはないですし、その時はあまり気にせず「仕事」に携わることを心待ちにしていました。
しかし、そこで社会は厳しいということを痛感します。全く業務をこなすことができなかったからです。新入社員としても確かに未熟な面がありましたが、特にスキャナに関することについてはさまざまなことを注意される日々が続きました。がんばる気持ちばかりせいてしまってうまくいかず空回り……そんな自分がくやしくて落ち込む日が続きました。
いっそ会社を辞めてしまおうか。
そう思わなかったかと言えば嘘になります。ただこのまま辞めてしまうのは、せっかく親身になって教えてくださった先輩方にあまりにも失礼だと思いました。そんな私を察してか、部長は意見を聴いてくれた上でDTPオペレータへと配属してくださいました。
気持ちを新たにDTPオペレータになってからは、ようやく仕事を少しずつこなすことができるようになりました。特に細かい確認が必要な文字校正や、出力見本との確認は成果を上げることができたと思います。

就職してから3年目を迎えたある時、DTPエキスパート認証試験の話が伝えられました。既に社内では何人かの方が受験し合格していましたが、会社の方針として認証取得が奨励されることになりました。私はその話が持ちあがる前からDTPエキスパートの存在を知っていましたが、今回の話を機会にDTPエキスパート認証試験を受験することにしました。勉強は合格した方からアドバイスを受け、社内で一緒に受ける人たちと覚えたことを共有したり確かめることができました。そのかいあってか、何と初めて受けた試験で結果は全員合格でした。勉強ももちろんがんばったとはいえ、私は周りの方たちの協力なしにはとても合格できなかったと思います。

そして今、DTPオペレータからWeb制作へと移ることになりました。もともとWebの分野には強く興味があったので、その話をいただきとてもうれしかったです。
これまでと同じく基礎から始めることとなりましたが、新しい分野での知識に加えてWebでは絶えず新しいものが生み出されています。
印刷物との違いにWebには「ユーザが操作できる」という利点があり、例えば文字のサイズ指定はあくまで目安に過ぎません。そしてあらゆる人に情報を確実に伝えることが最も重要とされます。デザインや見た目ももちろん大切ですが、上記のことから常にだれしもが同じ状態を閲覧しているとは言えないのです。
もちろん、DTPの経験が全く役に立たないわけではありません。文字の読みやすさや注視されやすい場所など、これまでに経験した仕事やDTPエキスパートで取得した知識を生かすことができるはずです。

印刷業界の伸び悩みが言われる昨今、印刷以外のサービスを抱き合わせるなどさまざまな試みが行われています。今回私が携わることになったWeb制作も、いずれ印刷との連動ができることを目指しています。そして、私は爆発的な普及を見せつつもいまだ誤った扱いをされることがあるWebと、これからのDTPの架け橋になることができればと思います。
まだ始まって間もないクロスメディアエキスパートも視野に入れて、4年目の今年も新しい気持ちで頑張っています。

月刊プリンターズサークル連載 「DTPエキスパート仕事の現場」2008年8月号


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2008/09/13 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会