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環境問題の基本知識を習得する「eco検定」に注目

広がりを見せる「eco検定」

東京商工会議所が主催する「eco(エコ)検定」の第4回検定試験が7月20日に実施され、受験者数は過去最高の1万6400人となった。eco検定の正式名称は「環境社会検定試験」、環境に対する幅広い知識をもち、社会の中で率先して環境問題に取り組む「人作り」、そして環境と経済を両立させた「持続可能な社会」を目指す検定試験である。

東京商工会議所の公式テキストからの基礎知識と、最近の時事問題については「環境・循環型社会白書」などからも出題される。過去の問題は、京都議定書に関する知識を問うものがある一方で、食に関する知識など、幅広い内容となっている。

実受験者数は、2006年10月に行われた第1回試験が1万3767人、第2回が9817人、第3回が1万3691人、合格者は合計2万7545人(合格率73.9%)に達した。合格者の最年少は11歳、最高齢は86歳と、環境問題に対するすそ野の広がりがうかがえる。また、公式テキストの販売数は受験者数をかなり上回り、高校・大学などの環境学習用教材として利用されているだけでなく、一般社会人の環境問題に関する入門書としても利用されているようだ。

eco検定は資格ではないので就職や仕事に直接結び付くわけでないが、取得の意義として、「企業の社会的責任(CSR)対応や今後の環境ビジネスの展開に向けて、知識を活用できるようになる。また、取得する社員が増えることで企業のイメージアップにもつながる。ISO取得後の継続学習の一環として、社員の意識改革や自己啓発にも役立つ」としている。

また、商工会議所では、「幅広い環境問題に対する基本的な知識を有し、そこから生まれる問題意識を日常の行動に移そうとしている方々に対する敬意を込めた名称」として、eco検定合格者を「エコピープル」と呼び、エコピープルを支援するサイトも開設している。

「エコユニット」登録で対外的にアピール

中学校・高校が学校ぐるみで、製造業が工場単位でと、団体で受験するケースも珍しくない。そこで、2名以上の「エコピープル」が中心となって積極的に環境活動を行う仲間を募り、事業所、団体、サークルなどを「エコユニット」として登録することで、環境に対する取り組みを対外的にアピールしてもらう仕組みも2007年10月から開始した。

2008年5月にエコユニットに登録した日立インターメディックスは、全員参加でISO14001の環境マネジメントシステムを運用し、環境・CSR活動を実施してきた。近年、企業の環境への取り組みが注目されるようになり、同社も取り組みの一環として、エコユニット活動を開始した。今後もeco検定を取得する社員を増やすことで環境・CSRに対する意識を高めるとともに、実際のビジネスの場でも、クライアントである企業の環境コミュニケーション活動の支援に役立てることで、地球温暖化の防止に貢献していきたいと言う。

印刷業界に限らず、環境問題に対しては、製造現場や技術部門だけでなく、営業や事務部門など、全社的に取り組まなければならないことは言うまでもない。eco検定の受験者は企業の環境担当者などが中心だったが、最近の傾向としては、会社全体で環境教育や啓発の一環として受験する動きが見られる。物流や営業面などあらゆる企業活動の場面で、企業が環境に対してどのように取り組んでいるかが注目されている中で、地道な取り組みとしてeco検定を受検するケースが増えているようだ。

第5回検定試験は12月21日に、全国176のエリアで実施が予定されている。環境についての基礎的な幅広い知識をもつための第一歩という位置付けている。エコピープルの目標は100万人、「将来的にはエコ資格の共通1次試験に成長させたい」と言う。

『Jagat Info』2008年9月号より

2008/09/30 00:00:00


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