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デジタル広告と取引EDIの進展 PAGE2000より

PAGE2000で2/4の電子受発注トラックの中のB6セッションでは、スピーカーに電通の猪瀬洋一氏と朝日新聞社の菅野信之氏、モデレータにメディアテクノスの井上秋男氏をむかえ、広告分野で進むEDIの取り組みについて紹介した。
 厳しい経済状況の中で、日本の広告市場を活性化させるひとつの解決策として、広告EDIが着実に構築されつつある。広告EDIとは広告情報の電子的交換を行う仕組みで、大きく「取引EDI」と「送稿EDI」のふたつの柱で構成される。
 日本の広告費は2年連続で減少し、特に新聞広告が広告費に占める割合が低下している。しかし、一方で1999年のインターネット関連の広告費は、規模は小さいながらも伸び率は1998年の2.1倍に達した。そこで、日本新聞協会、日本広告業界、新聞広告電子送稿コンソーシアムという3つの団体が連携し、業界をあげて新聞広告EDIをすすめている。EDIの実現により、新聞メディアの広告取引の効率化と媒体価値の向上を目指しているのである。

 セッションではまず始めに、モデレータの井上秋男氏が日本の広告EDIの動向をはじめ、米国の広告EDIの話題について紹介した。米国ではAP通信のAdSENDサービスが普及しており、雑誌ではタイム社が中心にとりくんでいる。雑誌でデジタル入稿が進んだ背景には、タイム社がタイム・デジタル・パートナーシップ・プログラムというマニュアルを作り、広告主にデジタル化の協力を要請したからだという。日本の現状については、広告EDIは着実に進んでいるが、企業の規模やシステムの差が大きなネックになっていると指摘する。今後の課題はこれを相互にうまく連携させていくことだという。

新聞広告のデジタル送稿
 (株)電通 猪瀬洋一氏は、広告代理店としての新聞広告のデジタル送稿の取り組みや新聞広告電子送稿コンソーシアムについて紹介した。
 日本の広告費の新聞広告の占める割合の低下と、急激なメディア環境の変化の中で、電通をはじめとする広告代理店は、デジタル送稿への対応が急務となっている。もともと新聞は信頼性の高いメディアである。これに、速報性を高めることにより、媒体としての価値の向上を高めようというねらいがある。さらに、デジタル送稿を導入することにより、制作コストの軽減、クオリティの確保、原稿に対する安全性などのメリットが期待されているという。

 1999年2月に発足した新聞広告電子送稿コンソーシアムは、広告のデジタル送稿の安全性を確保するための最適ワークフローを検討した。日本新聞協会や日本広告業界が推進している広告EDIの業界標準の実現にも貢献してきた。新聞広告電子送稿コンソーシアムは、1999年末にデジタル送稿に関する実証実験を終え、2000年1月26日にその報告会が行われた。この1年でデジタル送稿に対する技術が発展し、業界における啓蒙も進んだという。

広告取り引きEDI
 朝日新聞社 菅野信之氏は日本新聞協会の広告取引小委員会のワーキンググループに参加して取引EDIの標準化について進めており、朝日新聞社では社内の取引EDIシステムを構築した。

 EDI(エレクトロニック・データ・インターチェンジ)とは、異なる組織間で、取引のためのメッセージを通信回線を介して、標準的な規約を用いてコンピュータ間で交換することと、CII(情報産業化推進センター)で定義している。広告取引EDIで交換される情報は、サイズ情報などのほか、広告の申込みや割り付け、送稿、請求、支払いなど広告をだすまでの一連の情報である。特に、新聞社と広告会社の間でこれらの情報のやりとりをスムーズに行うことで、情報伝達の効率化や省力化、省資源化への対応を実現することができる。
 取引EDIの標準化は、1993年に日本新聞協会が「新聞広告の電子入力に関する研究会」を発足したのを始めとして、現在にいたるまで日本広告業協会、各委員会などと連携してデータ交換のルールの策定や実証実験が進められてきた。

 現在、広告取引EDIを導入している新聞社は、朝日新聞社のほかに、日本経済新聞社、読売新聞社、中日新聞社などがある。朝日新聞社では、EDIで標準化されている申込み、割り付け、送稿、請求の中で、現在申込みと請求の部分をEDI化したという。

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 印刷業界は身近な問題としてついデジタル送稿ばかりに注目してしまうが、一部だけのデジタル化では根本的な改善は実現しない。取引EDIでやりとりされる原稿の情報は、デジタル資産管理にも関連してくる。
 猪瀬氏は、広告原稿と広告の取引データを、荷物と荷札の関係に例えた。広告原稿を送る場合、その情報を記載した伝票を添付するが、原稿がデジタルになった際にその情報もデジタルにしないと、デジタル送稿の意味が薄れてしまう。荷物と荷札、つまり広告のデジタル原稿と取引EDI情報が、常にリンクがとれている状態で新聞社に送ることが重要だと語った。

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2000/03/01 00:00:00


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