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ワークフローはコラボレーションに至る PAGE2000より

PAGE2000のワークフロー管理のD6セッションは、テックデザインの斎藤和弘氏をモデレータに、プロ・バンクの庄司正幸氏、田宮印刷の森文夫氏、オープンマジックの柏正巳氏が、それぞれの経験を通したワークフロー管理のツボを話した。

斉藤和弘氏は、ワークフローの管理とは複数の工程にまたがる仕事が円滑に進むように,その仕事に関連する担当者間で受け渡すデータがスムースに流れるように管理することと話した。ワークフローの管理によって仕事のスピードアップとミスの防止,進捗の把握が可能になる。現状の抱える問題としては対データ量のネットワーク能力の不足や標準化の未整備,さらにDTP対応のグループウエアの不足があげられる。さらに,きちんとしたワークフローの管理をすることがCTPなどの導入を成功させると話した。

プロ・バンクの庄司正幸氏は、ワークフロー管理における3要素としては材料・品質・工程の管理をあげた。素材管理はフォーマット問題があり、品質ではColor Managementが、工程管理としてはネットワーク構築の必要性を説いた。オープンマジックはJRの雑誌WEDGEをDTP化を例に、進みやすいところと進み難いところの話しがあった。

田宮印刷の森文夫氏は、チラシ作成の効率を上げるためにクライアントからデータベース化による合理化を勧められ、その後のシステムの変遷と開発の経験を話した。写研、WAVE、MacDTP、Renatusなどにまたがるワークフローで苦労した結果、CD-ROMチェンジャとCumlusを組み合わせた画像データベースを運用した。

しかし既存のソフトでは煩雑になるため、商品データベースにアクセスのgeney、画像管理にKDDテクノロジーのデータベースを使い、DTP作業はFounderFITに一本化し、また発注者用の簡易レイアウトソフトを開発して、素材の管理とワークフローの整理をした。得意先にDTPを持ち込むのではなく、クライアントと一緒に仕事をする環境を作った。

田宮印刷はこの開発を通して次のようなことを学んだという。つまり、DBシステムとDTPシステムをクライアントに無償貸与して、更にはオペレータまで派遣してクライアントの囲い込みを行うのは良い方法ではない。なぜなら、クライアントにとっては、自らの業務改善やコストダウンが目的であり、印刷・製版会社と同じシステムを社内に持つことは、負担になる。印刷・製版会社にとっても囲い込みは一時的で、派遣スタッフの問題や将来のバージョンアップの経費を考えると、結果として利益に結びつくのか疑わしい。

さらに、田宮印刷にとって必要なことは、単純にクライアントからいただいた原稿を指定通りに清書することではなく、クライアントの業務自体を良く知ることで、一緒にクライアントの商品の販促活動を組み立てていくことだという。これまで開発を通して、クライアントと一緒にソリューションを考えることで、単純な取引の主従関係から更に踏み込んだ関係(コラボレーション)を作れたと感じているという。

2000/04/19 00:00:00


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