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「プリントシティー」はワークフローを具現化して提案

(JAGATのドルッパ情報はここへ)

本日はdrupa2000の2日目であるが、初日から時々小雨という天気でだいぶ涼しくなっている。朝夕はシャツ1枚では少々寒いぐらいだ。ところが、会場に入ると金曜日ということもあるだろが、打って変わって熱気にあふれている。

印刷の日々の業務をこなしていくのにインターネットやデータベースなどのデジタル技術が無くてはならないものというなる、というのはここヨーロッパでも同じである。デジタル・オンライン・マルチメディアなどの新技術と従来技術が、サラダボールの中でかき混ぜられ、溶け合って融合しつつあるのだという。

durpa2000では、新たなB to B ビジネスの新しい形である、POD(プリントオンデマンド)、ブック・オンデマンド、リモート印刷などに関連する提案が各社から出されている。オンデマンドへのビジネスモデルの提案、PDF/XML/JDFなどオープンデータフォーマットへの積極的な参加など、アドビ、クォーク、ゼロックスそしてゼロックスなどが提供するツールやビジネス提案などに印刷業界も気づき、その方向への助走を始めたのがdrupa2000であると言える。

これを具現化して見せてくれるのが、ホール6の「プリントシティー」である。プリントシティー・コミッティー(アグフアとローランドが発起人)に呼びかけに応じて66社の印刷関連ベンダーが結集し、PDF〜CIP3へのオープンな「デジタルワークフロー」を、実際にプリプレスシステム、印刷機、後加工機になどに流し込んで、見せている。「能力の結集」をモットーにしており、日本からは篠原商事が参加しており、アップル、アドビも一員である。ここでは参加各社が協調して次の8つの工程を再現している。

(1)商業印刷(プリントシティー・カタログ)  
アグフア・アポジー(PDF)からCTP出力→CIP3データをローランド・PECOM(印刷管理システム)経由でR-700(5色+5色オフ機)→ホーレンベルグ・断裁機→バウマン・用紙搬送機→MBO・折り機などで加工

(2)商業印刷(スポーツ・カタログ)
アートワークシステム・頁レイアウト→(2種類のプルーフ出力)→クラウゼ・CTP→ローランドPECOMからR-305(5/0、4/2、2/3色オフ機)→(同様に製本加工)

(3)商業印刷(ハガキ)
アグフア・アポジー(PDF)からCTO→CIP3データをローランド・R-506LV(ハガキ対応オフ機)→(同様に製本加工)

(4)商業印刷(新聞折込み)
アグフア・アポジー(PDF)からCTP出力→CIP3データをローランド・PECOM(印刷管理システム)経由でR-ロトマン(オフ輪)→ゲメラー・断裁機/パレタイザ

(5)出版印刷(雑誌)
アグフア・アポジー(PDF)からCTP出力→CIP3データをローランド・PECOM(印刷管理システム)経由でR-ロトマン(オフ輪)→ゲメラー・パレタイザ→Honer・綴じ機/仕上げ断裁機

(6)新聞印刷
PPI(プロダクション設計・ページ見本・ページ組み)→アグフア・アポジー(PDF)からCTP出力/クラウゼCTP出力→CIP3データをローランド・PECOM(印刷管理システム)経由でR-レジオマン(新聞オフ輪)→Schur・仕上げ

(7)紙器印刷(35ミリフィルムケース、時計の小箱)
アートワークArtPro・デザイン→クラウゼCT BoxマネージメントからCTP出力→ローランドPECOMからR-906(オフ機)→Jagenberg・ダイカッタ/ホルダー・グルアー/パレタイザ

(8)デジタル印刷(出版)
PostScript/PDF入稿→Oce(インターネット経由でPDFなどとジョブチケット入稿)→Oce(ジョブプレパレーション/PIPなど)→Oce(デマンドステーション8090プリンタ)→MBO・折り機→ホーレンベルグ仕上げ断裁機

しかし実際にホール6を訪れて、この流れを実感しようとするのは中々難しい。第一に人が多い、また特に加工機の各メーカーは自社製品の特徴が分かりやすいサンプル加工のデモに力が入ってしまう。もちろん、良く捜せば「PrintCity」マークの印刷物を見つけることができるが、もっと分かりやすい展示に目を奪われてしまう。コンピュータの展示会でも同じであるが、ソリューションやワークフローなどを展示会で見せる工夫は大変である。ただ、今後の大事な方向を示す試みには賛同できる。
(2000.5.19 drupa2000より)

2000/05/20 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会