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PrintCommerceの日本上陸

インターネットプリンティングソリューション Collabria社PrintCommerce

三井物産株式会社情報産業本部 プロジェクト室  鎌谷栄志/清水大介

 三井物産はさまざまな業界に対応するインターネットビジネスを立ち上げているが,印刷業界向けに今秋導入を目標に準備を進めているのが,インターネットプリンティングソリューション,米国Collabria社のPrintCommerce(TM)である。これは印刷制作用システム,印刷発注用システム,印刷生産サポート用システムをネット経由で提供するASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業である。
 使用する会社(印刷発注会社,広告代理店,印刷会社,デザイン会社など)はインターネットに接続する環境さえあれば,特別な設備投資を必要とせず,E-ビジネスがスタートできる。
 米国Gartner Groupによれば,自社でネットビジネスサイトを構築する費用は平均100万ドル(約1億円強),年間維持費としてその10%(約1000万円強)がかかるとされており,インターネットで印刷のビジネスを行う会社にとって,ASPを利用するメリットは大きい。

米国では印刷会社150社以上,発注会社500社以上が参加

 米国でPrintCommerceの開発・ASPサービスを運用しているCollabria社は現在,印刷会社・印刷リセラーで150社以上,印刷発注会社で500社以上との取引実績があり,同種の印刷ASPサービスでは全米No.1である。PrintCommerceを採用した企業の事例によると,プリプレスで最大70%,印刷全体では最大84%のコスト削減実績が上がっている。

 米国でのPrintCommerceの使用事例をいくつか紹介する。
 A印刷会社はPrintCommerceによるサービスがきっかけとなり,ある大手企業と新規契約することができた。PrintCommerceサービス開通から,4時間で182件(1時間当たり45件)の注文を受け付けることができた。A印刷会社は受注データをPrintCommerceサーバからダウンロードした後,CTPで出力することで,5日間で受注から納品まで行っている。
 B印刷会社は,世界中に支社・支店がある大手化学品メーカーの米国本社と取引をしていた。このメーカーはB社以外にも複数の印刷会社と取引を行っていたが,B社がPrintCommerceの提案を行った結果,世界中の全支社・支店からB社1社へすべての印刷物を一括受注することに成功した。その結果,同社の売上高は50%アップした。
 発注企業C社は全米に支社・支店が200店ほどある金融関連会社である。それまではすべての印刷注文をいったん本店に集め,そこから印刷会社に一括発注していた。本店の印刷発注担当の人員と労力は相当なものであったが,PrintCommerce導入後,印刷発注担当者は定期的に,PrintCommerceによるオーダー集計をプリントアウトするのみとなった。
 D大学では学内の印刷物を発注する正職員の担当者を3名おき,印刷会社とのやり取りを行っていた。PrintCommerce導入後,印刷発注者が画面での確認(校正)を行えるようになったため,現在では1名のアルバイトが発注業務をこなしている。
 これらの事例のとおり,単にPrintCommerceによるインターネット発注を提案するのではなく,顧客の現状問題点を洗い出し,何が顧客に最も喜ばれるかを考え,「顧客満足度の最大化」を狙った会社が成功を収めているといえるであろう。

(プリンターズサークル7月号「特集 E-コマースは印刷ビジネスを変えるか」より抜粋。詳しい内容は記事をご覧ください)

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2000/07/06 00:00:00


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