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印刷物の作り方から,印刷のトラブル,印刷関連団体・企業に関連して頻繁にJAGATにお問い合わせをいただく質問とその回答を紹介しています.


特殊印刷


Q女性誌などで使われている香りつきの広告はどうやって印刷しているのですか。また印刷できる業者を紹介してください。
A一般的には芳香インキを使っています。この印刷を香料印刷(マイクロセント)といっています。
芳香インキは、インキ組成中に直接香料を加え、浸透乾燥タイプとして凸版などで印刷するタイプと、マイクロカプセルに香料を封じこめたものをインキ化し、印刷物自体は芳香性がないが、印刷面を擦ると擦過作用でカプセルが破壊され、芳香効果が生ずるタイプのインキがあります。前者のタイプは保香性の問題などがあり今では殆ど使われておらず、後者が使われています。
芳香インキは、まず香料メーカーが臭いをつくり、カプセルメーカーがインキに混ぜるための香料カプセルを作ります。このカプセルが通常のインキの顔料に替わるものなので、インキメーカーでカプセルとワニスを混ぜ合わせでて香料インキを製造します。
通常インキメーカーでは数種類のカプセル(例えば、レモン、オレンジ、ラベンダー、等)を在庫しておりますが、印刷会社からの要望により独自の香りを作ることも可能です(もちろん限界はあります)。この場合、香料メーカーに特注しますので少し時間がかかります。
香料印刷は、平版、水無し平版、樹脂凸版、スルリーンで印刷されます。乾燥方式も光硬化型、酸化重合型、溶剤乾燥型、オフ輪の場合は熱乾燥型を使います。
当初、スクリーン印刷が用いられ今でも多く用いられています。これによるとインキの盛り発色がいいです。最近は平版や樹脂凸版での印刷も可能になっております。特に平版での印刷のメリットは大ロットの場合、コストを安くできるという点です。しかし、スクリーン印刷と比べインキの盛りが弱いという短所もあります。
芳香インキを使用できる印刷会社としては、商業印刷か出版印刷をやっているところでしたら、どこでも可能だと思います。


Q輪転式のスクリーン印刷機はどういうものに使われていて、どういう印刷会社でやってますか。
Aまず、輪転式のスクリーン印刷という言い方よりもロータリースクリーンという言い方をします。通常スクリーン印刷の場合は、平面の形をとっています。平面機械だと、XYの調節が簡単ですが、ロータリー式だとXY調整が難しいようです。いまは、ロータリー式の機械を使っているところは大手印刷会社以外はできません。
実際にやっているところでも、付加価値の高い仕事しかやっておらず、壁紙などの印刷に使われているようです。


Qフロッキー印刷とはどんな印刷ですか。
A植毛(フロッキー)とは、手で触ると絨毯の感触が得られる静電植毛技術の応用です。
0.5mm〜2.0mmくらいの短い繊維を静電気を利用して全体または部分に植え込み、手で表面を触ると、いかにも絨毯を敷き詰めた感じがよく表現されており、手にやさしい感触を与えることができます。金・銀を除く殆どの色が使えます。紙、プラスチック、木材、ガラス、金属のも応用可能です。
工業用では、自動車の内装に使われることもあります。出版関係では、動物の絵本や芝生の部分に用いると効果がありそうです。
製造方法
紙への植毛は、絵柄をオフセットで印刷し、植毛したい部分にスクリーンで「のり」を印刷してから、その「のり」の部分に短い繊維を静電気で付着させて植毛します。
立体物の場合は、植毛した部分のマスクを作り、「のり」をスプレーガンで吹き付け、その後短い繊維を静電気で付着して植毛します。


Q3Dについて教えてください。
A2D/3Dホログラムとは、平面画像と立体画像をまぜ、角度を変えると、虹色に変化するレインボータイプのホログラムで、平面上の画像と立体感を感じさせるバックの画像を組み合わせたものです。
ホログラムは転写箔とステッカーの2種類のタイプがあります。
例えば、その製造方法は、4倍の線画版下で入稿し、レーザー光を使って高解像力乾板に記録します。その後、メッキ方式で表面の微細な凹凸を金型原盤に再現します。ポリエステルフィルムの表面に金型原盤を用いて熱と圧力を加えてプレスした後、アルミ蒸着を施し、接着剤をコーティングすることによって転写箔またはシールを製造します。
なお、この場合の色は虹色のような分光であり、印刷方式ではないので、色指定や色の直し指示はできません。最大サイズは150×150mm。納期は2〜3ヶ月かかるので余裕をもって発注すべきでしょう。


Q 感熱印刷とはどういうものですか。
A感熱印刷とは、暖めたり冷やしたりすると、はじめの色が変わったり無くなったり、無色のところに色が現れたりする印刷物です。
陶器のマグカックや、ガラスコップの外側に刷ったり、ラベルを貼っておけば、お湯を入れた時に絵の色が変わるようになります。
製造方法は、オフセット印刷後、スクリーン印刷またはグラビア印刷で部分的に感熱専用のインキを使用して絵柄、文字、マーク等を印刷する。
被印刷物としては、紙、プラスチック、布などがあります。
耐熱、耐圧、耐光性が一般インキより低いので長期に使用するものには使えません。


Qあぶり出し印刷とはどういう印刷ですか。
Aあぶり出し印刷とは、室温では文字や絵は見えませんが、ドライヤーやアイロンなどで100℃程度に加熱すると、隠された文字や絵が現れてくる特殊インキの印刷物です。
現在では、不可逆性感温染料をインキ化してスクリーンで印刷します。隠し絵印刷のひとつですが、一度発色したら元にもどりません。
黄、赤、青、紫、橙、緑、ピンクなどの発色インキがありますが、いずれも印刷された状態では、ごくわずかに色が付いていますので、隠し絵部分には、一般インキで薄く地色を網版で印刷する必要があるでしょう。


Qゴルフボールにはメーカーのロゴマークが印刷されていますが、あのようなデコボコの曲面にどうやって印刷しているのでしょうか。
Aオフセット印刷やスクリーン印刷ではできない、デコボコ面、球体、曲面への印刷のことをパッド印刷とかタコ印刷と呼んでいます。
これは、凹版から球状の弾力性のあるシリコンパットに絵柄を移し、凹凸のある被印刷体へ転写する、いわゆる凹版オフセット印刷です。
一般には金属の凹版を使いますが、樹脂版(凹版)を使用することもあります。
具体的には、ゴルフボールやパソコンのキーボードへの印字、時計の文字盤、体温計の目盛りにも使われています。
あまり、大きいものへの印刷は難しく、最大面積はキーボードの全面(180×380mm)程度です。
あと、オフセット印刷といえば、普通はチラシ・書籍等への印刷といった平版は思い浮かべるかもしれません。しかし、オフセットには凹版もあるということをお忘れなく。
したがって、チラシ・書籍等への印刷は正確にいえば平版オフセット印刷、ゴルフボール等の曲面への印刷は凹版オフセット印刷となります。


Qアイロンで布に転写するというのはどのようなことをいうのですか。
A熱を加えると固体が気化する昇華性の染料を転写紙に印刷し、ポリエステル布た不織布に転写する方法のことで、これを昇華転写印刷といっています。
転写紙への印刷は、通常のものと左右逆の原版を使用います。オフセット印刷またはスクリーン印刷で昇華インキを用いて専用転写紙に印刷した後、約190℃の熱プレスやアイロンで転写します。
この場合、転写紙に印刷された色と布に転写された色とでは子と異なるので校正時点で確認することが必要でしょう。
実用例としては、キャンペーン用の旗・のぼり・垂れ幕などに利用されています。


Qバーコ印刷とはどんなものですか。
Aバーコとは、アメリカのバーコ社が開発した隆起効果を出す印刷です。熱によって膨らむパウダーを、印刷面の膨らませたい部分に付着させ、加熱することによりパウダーが溶解、膨張し立体的な印刷物ができます。
多色印刷の絵柄の一部を盛り上げる場合は、通常の印刷後、必要部分を別版にして印刷し、インキが乾かないうちにパウダー(樹脂粉末)を振りかけ、余分な粉末を取り除いてから加熱します。
絵柄の立体感を表現するために、色のパウダーや透明のパウダーを選ぶなど、効果とコストを考えて効率のよいデザインを考えなければなりません。
線が細かいと弱いので、太めの線画でパウダーの付着面積を増やすことが必要です。ただし、広範囲のベタは、あまり効果がなく厚みにムラがでやすいので注意が必要です。


Q点字印刷で新しい方法があるそうですが、どのような方法か教えて下さい。
A点字の印刷方法は、紙などの印刷物の裏から圧力をかける「エンボス加工」法が主流だですが、これだと駅の案内板のような硬い物にはエンボスできません。
新しい方式である「ミューズプリント」技術は、印刷したい面の上に紫外線で固まる特殊インキを0.4ミリ程度の厚さに盛り上げて点字にします。紙から金属、アクリルまで幅広い素材に印刷できる。透明インキを使えば、通常の活字などの上に直接点字をつけることも可能で点字用の特別なスペースを設ける必要はありません。


Qタイルやガラスなど住宅設備機器にデザイン印刷するにはどうしたらよいか教えて下さい。
A超厚盛りスクリーン方式による印刷で、刷版に磁性を帯びた金属製マスクを使い、インクが厚く盛られるようにしています。
印刷の仕組みは、磁性をもつ金属性のマスクを使用すると、磁力で版と被印刷物の密着度が高まります。このため、従来よりも厚い刷版が使え、インクも一層厚く盛りつけることができます。転写紙の上に、セラミックやガラスの粉をペースト上にしたものをインキと合わせて塗ります。転写紙をカップなどに付けて600〜100度の温度に熱した炉の中で焼くとできあがりです。


2000/07/11 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会