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2001:製本・紙工の動向

広がるインライン化,プリセット化

小ロット物を視野に入れながら,汎用性を持たせたオフ輪印刷と製本のインラインシステムとして,刷り本のプリントロール化と製本機までのマテハン自動化を組み合わせる方式が実用化されている。英国SHM社のVariquikシステムでは,公称切り替え・段取り時間5分,刷り出し損紙50〜60枚といわれている。

上製本の分野でも,各工程設備の能力バランスを考えた構成とした上に,工程の一部が停止した場合の対応,全体管理システムによるトラブル時の早期復旧など,実効生産性に関しても十分配慮した完全インライン化システムが実用化されている。このシステムでは,無線とじ本との兼用など,いろいろなバリエーションが可能だという。

以上のように,製本工程のライン化もかなり進んできているが,製本加工仕様は非常に多様であり,ひとつのラインで多様な製本加工仕様に対応しようとして機能を汎用化すると設備が大がかりになり,採算が取りにくくなるという傾向がある。

したがって,小ロットの製本システムでは,個別的な改善で対応せざるを得ず,段取り・切り替え準備作業時間のプリセット化,周辺作業の合理化を主体とした設備改善の実用化が進んでいる。システムの形態としてもインラインがベストとも限らない。

製本におけるプリセットシステムでは,印刷物の状態によってあらかじめ決められた数字を入力するのでは不十分で,現物を自動測定・自動プリセットする方法も必要とされる。日本国内においては学習教材用のブックインライン設備として実用化しているという。

パーソナル化への対応

ある折丁部分を個別の顧客ごとに変えて製本するセレクティブ・バインディング,顧客の属性に応じて封入する印刷物の種類を変えるセレクティブ・パッキング,文書の一部に顧客の名前や個別データを印刷するパーソナライズド印刷などが注目されている。

いずれにしても,印刷物の宛て先と印刷物の内容が完全に一致しなければならないから,その生産システムは,印刷あるいは製本設備と宛名印字システムがインライン化されていなければなければならない。パーソナライズド印刷には,BF加工機とインキジェットプリンタを組み合わせたシステムや高速ページプリンタなどが使われる。
セレクティブバインディングシステムとしては,ミューラー・マルティニ ジャパンのプリマセレクティブ中綴機などの専用のシステムがある。

ただし,以上のような印刷物制作は,いずれにおいてもデータベースの取扱い能力から品質保証ができる印刷,後工程システムを組み上げるエンジニアリング力があって初めて達成できるもので,メーカーから設備を調達すればできるというものではない。

オンデマンド化への対応

200部,300部までの小ロットの印刷物,とくにページ物印刷物は,デジタル印刷機による生産が増加すると見られる分野である。デジタル印刷機によるページ物印刷のメリットのひとつは,丁合いが人手を介さず間違いなく行われる点にある。ページ物印刷における丁合い品質は非常に大きな要素である。したがって,このメリットを生かすためには,デジタル印刷機と連結した製本システムが重要である。

ホリゾンは,アルゴテクノス21のD-PressU,ゼロックスのドキュテック,ドキュカラーと連結して,カラーの表紙をくるみ製本,あるいは中綴じ製本し三方断裁して完成品として仕上げるBook On Demandシステムを出している。

先に触れたように,製本仕様は非常に多様なので,自動化,ライン化をするにしても,対応できる仕様の範囲をある程度限定し,設備価格と機能のバランスをとったシステム化が求められる。ぺラ物であったり,部数が数十枚といった仕事の場合には,自動化システムではなく道具のレベルが最も適する場合もあるだろう。

ホリゾンでは,それぞれの市場用途に合わせたそれぞれの方式で商品のラインアップが進んでいくと予想しているし,そのような予測の元で自社の商品化を進めていくとしている。

尽きない環境変化への対応

最近では,パッケージングされたCDやサンプルを内蔵した出版物やカタログが増加しており,パッケージングと貼り込み機能を有した設備や製本機への自動供給装置などの周辺機器の開発がなされている。さらに, PL法に対応したケガ防止対策としての逆中綴じの採用,ダイオキシン対策としての脱塩ビ化,非金具化による安全性と無公害性を目的としたエコ・カレンダーなど,印刷物の安全性や環境問題対応の動きも活発に行われている。

品質保証への取組みとしてはISO9000シリーズの認証取得も活発化し,それにともなって,製造工程での品質検査機器の信頼性向上への再認識から,CCDカメラによる印刷物の検査器が実用されてきた。

既存の一般的な製本加工技術に大きな改革をもたらすようなことではないとしても,世の中のさまざまな変化に対応してビジネスチャンスを広げる可能性はいつでもあるということが,製本分野における以上のようなさまざまな動きから感じられるのではないだろうか。

2000/08/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会