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変わりつつあるプリント・オン・デマンド

オンデマンド印刷には広範で未開拓な応用分野があり、将来爆発的に伸びるといわれてきたものの、それで稼げるのは今のところ一部のニッチな業者だけで、印刷業界一般に広がるものではない。結局オンデマンドの出力機だけあっても、その機能を活かすような前処理ができる会社が限られていたからである。ところがちょうどその逆のことも起っていて、現状の印刷業界の中で着実に実績を伸ばしているのが、データプリントの分野である。これは取引/決済がオンラインに移行するに従って、そのエビデンスを出力することに新たな意味が発生するようになったからである。

プリント・オン・デマンドという言葉自体は以前から存在し,発行部数の限られるコンピュータのマニュアルや取扱説明書などといったもので利用されていた。これはDocuTechのような専用装置で始まり、それがネットワークを介した文書管理になり、オンサイト印刷へと移行している。
また商業印刷にはOne to Oneがついてまわり,二つでワンセットのように扱われるケースが多いが,本来はそれぞれが別のものである。当初はOneToOneの処理機能は自分で開発するしかなかったが、PAGEFLEX・personaなどパッケージ化されたものも現れるようになった。この分野の標準化活動として、PAGEFLEXを下敷きにPPMLという規約作りも進んでいる。このようにプリント・オンデマンドの環境は整いつつあり、最初に掲げた能書きに1歩近づいた感がある。

さらに,製作のDTP化が進み,組版をデジタルで行うようになった現在,そういった需要にもデータベースとデジタルの版下を組み合わせた簡易なプリント・オン・デマンドが可能になった。これには事務用のコピーの分野から発達してきたカラーの出力機がフィットする。それによって今まで非常に手間がかかっている,もしくは不可能であった安いオンデマンド印刷が可能になる。

このように、データプリント、OneToOne、簡易システムが揃ったので、今度は、このような新たな環境にあわせて、またその先を見越して、オンデマンド印刷の出力機がどのような展開を考えているのかが改めて問われる。顧客の要求を充分に解析し,用途やコストの問題を考えて、次世代のプリント・オン・デマンドの提案がdrupa2000でも話題になった。
今回のdrupaでは,オンデマンドの出力機はカラーのものが多数出品されていた。モノクロの製品の技術の進歩と共にカラーの製品の進歩も目を見張るものがある。製品の出力方式では,インクジェットや電子写真方式などさまざまな方式はあるが,着実に出力環境が強化されつつある。

利用者側もこれらへの対応を検討すれば,今後の展開が有利に持ち込めるはずである。そのためには現在プリント・オン・デマンドの環境がどのように動き,メーカーがどのように考えどのような製品を作り出しているのかをきちんと把握しておきたい。

関連情報:プリント・オン・デマンドを見越した出力機器

2000/09/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会