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製本工程と様式−知って得する製本の知識(2)

●製本工程の流れ

前回で丁合い工程までを説明したが、その後の工程は製本様式による。並製本の場合は 「綴じ」→「くるみ」→「三方断裁=仕上げ断裁」で完成するが、上製本の場合は「糸か がり」→「背ならし」→「下固め」→「本文断裁=三方断ち」→「背の丸み出し=パッキ ング」→「背固め」の順になる。

上製本では、この工程とは別に「表紙貼り」した表紙と「表紙つけ」を行い、「筋入れ」 「カバー掛け」をして完成する。その他に「表紙折り」「箱貼り」などの作業や、ハガキな どを折丁に貼り付ける作業、栞つけ、帯びかけ、ケース入れ、箔押しなどの付随作業が製 本加工工程に含まれる。

製本加工に関する多くの付随作業はほとんど手作業であり、機械化や自動化が望まれる ところであるが、部分的な自動化は可能であっても、トータル的な自動化は困難が伴って いる。しかし逆に考えれば、機械化できないから希少価値があるともいえるであろう。

●製本様式の種類

製本とは、印刷して紙葉を順序にしたがってまとめ、読み易いように、いろいろな方法 で互いに接合することをいう。用途により事務用と出版物に分けられ、また造本形態によ り上製本と並製本などに分類される。

製本は「折」と「綴」で決まるといえるが、本の形態により綴じ方の種類には「無線綴じ」 「針金綴じ」「糸綴じ」の3種類がある。

(1)針金綴じ

針金綴じには「中綴じ」と「平綴じ」の2種類がある。中綴じは、一般週刊誌やパンフ レットなどに用いられる製本様式で、背の部分を針金で綴じる方式である。平綴じはノド の近くを側面から表紙とともに針金で綴じる方式で、ページ数が多いマンガ雑誌に使われ ている。この様式は綴じ代が約10mm必要で、しかも雑誌がノドまで開かないという欠点が ある(下図参照)。

(2)無線綴じ

無線綴じは丁合いされた折丁の背を、接着剤を使って接合する方式をいう。背の部分を 約3mm切断して引っかき(ミーリング)、そこに接着剤を塗布し表紙を貼り付ける。

無線綴じには「一般無線綴じ」と「アジロ綴じ」の2種類があるが、「アジロ綴じ」は折丁 の背の部分を削らずに、切り込みを入れて接着剤を塗布する方式である(下図参照)。文庫本・ カタログ・月刊誌などに使われる。この方式は、欧米では「パーフェクトバインディング」 と呼ばれている。

(3)糸綴じ

糸綴じは一般に「かがり綴じ」と呼ばれ、折丁を一折ごとに糸で綴じ合わせた方式で、 並製本や上製本に用いられる。

以上(1)(2)(3)の使い分けは、書籍の使用途とコストに関係している。刷本の折りまでは共通であるが、後の作業工程が異なるため時間とコストに影響するからだ(つづく)。


他連載記事参照

2000/12/03 00:00:00


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