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進化するプリント・オン・デマンド

「drupa2000」より,現在着実に成長を遂げているプリント・オン・デマンド市場をターゲットにしたザイコン社の製品を取り上げる。

デジタルプリンティングとは,必要なドキュメントを必要な場所で必要なときにプリントすると同時に,ターゲットユーザに合ったバリアブルコンテンツをプリント可能なシステムであるとザイコンは考えている。これにより,印刷物をローコストで提供できるだけでなく,ワンtoワンマーケティングへの活用に代表される,付加価値の高い印刷物の制作が可能になる。

プリント・オン・デマンドは市場の要求に応じて成長している。
CAP Venture社の調査では,1996年印刷産業の売上高は879億ドル,そのうち47%が5,000枚以下の印刷物である。商業印刷分野のプリント・オン・デマンドへの要求が高まることが予想される。また,情報印刷分野では投資関連報告書やダイレクトマーケティングなど,情報処理印刷のフルカラー化,高付加価値が求められている。産業印刷分野ではテストマーケティング用のラベル印刷,パッケージ印刷,壁紙,床材サンプル,家具,プラスチックカード等多岐にわたる需要がある。

このような状況のなか,ザイコンが新しく発表したXEIKON CSP320D/Chromapress CSiはザイコン初のカットシートプレス機である。CSPはColor Sheet-fed Press,CSiはColor Sheet-fed Intellistreamを意味する。

XEIKON CSP320D/Chromapress CSiの特長
1.One-Pass-Duplex(両面同時印刷)
CSP320D/Chromapress CSiは,枚葉タイプのデジタルカラー印刷機で,A3ノビサイズまでの用紙に対応し,両面同時印刷が可能となっている。印字方式はレーザビームによる電子写真方式で,OPC(有機光半導体)ベルトに転写されたイメージが,給紙部から搬送された用紙の両面に印刷される。OPCベルトに転写する各色トナーの濃度は,レーザビームの光量によって決まる。OPCベルトは用紙の表面と裏面に配置され,それぞれが4台の現像ユニット(CMYK)を通過する。2つのOPCベルト上をを用紙が通過し,その両面にイメージが転写される。
用紙に転写されたトナーは,定着ユニットで用紙に定着され標準の排紙トレーに排出される。またはオプションの各種フィニッシュ機器を通すことも可能となっている。
両面同時印刷方式の採用により,4版の見当精度だけでなく,表裏見当精度を高めた。またバリアブルデータプリント時の,表裏データの整合性が保証されている。

2.バリアブルデータ作成ソフトウエアの開発
Personalizer-X,Private-I,DetaMargeといった,エクステンションやアプリケーションの開発によりパーソナライズ印刷の生産性を向上。いずれもPPML対応となっている。

各モジュールの機能
1.給紙部
●トローリーユニット
各種サイズの用紙を供給するための装置。ユニットに用紙をセットし,台車になっているユニット全体を本体給紙部に装填する。
●パレットリフトモジュール
トローリーユニットの用紙パレット上の用紙を,搬送できる高さまで持ち上げ,用紙を1枚ずつ吸引し用紙アライナーユニットに向けて搬送する。
●用紙アライナーユニット
パレットリフトモジュールから供給された用紙を受け取り,用紙をイメージングセクション(上部ベルトドロワーユニット)に向けて搬送。このユニットの主な目的は用紙の搬送方向を正確に整えることにある。

2.印刷部
●補充ユニット
各補充ユニットには4つのトナー補充モジュールが搭載され,トナーを撹拌し現像モジュールに供給する働きをする。
●レーザ露光ユニット
2つのレーザビームを使って,ベルトドロワーユニットのOPCベルトに各色ごとの静電画像を書き込む。書き込み可能な最大サイズは長さ460mm,幅308mm。レーザビームはOPCベルト上イメージング可能な領域を1ラインごとスキャンする。
●デベロッパードロワーユニット
上下(表裏)にそれぞれ4台の現像モジュールがあり,各モジュールは磁気ブラシローラに均一な濃度でトナーを補給。トナーはベルトドロアーユニットのOPCベルトに転写される。
●ベルトドロアーユニット
レーザ露光ユニットによって潜像を書き込み,それを搬送する装置。OPCベルト上に形成された潜像は現像ユニット部に搬送され実際のイメージ形成となり,そのイメージは用紙に転写するセクションに搬送される。OPC(有機光半導体)ベルトは,光が当たるとその部分が導体になる。1枚のOPCベルト上に4色分の潜像が一つずつ形成されていく。潜像はOPCベルトに対向する位置にある現像モジュールによって,イメージとして現像される。その後,転写モジュールと連携して,現像後のイメージを用紙に転写する。
●クリーニングモジュール
イメージを転写し終えたOPCベルトに残留しているトナー粒子を取り除く装置。クリーニングブラシが,OPCベルトに直接機械的にコンタクトし,残留トナーを取り除く。

3.バッファリングと定着部
●バッファユニット
下部ベルトドロワーユニットから送られてきた用紙を,定着ユニットに搬送する装置。送られてくる用紙のスピードを,定着ユニットが要求するスピードまで落とす役割がある。
●定着ユニット
用紙の両面に転写されたトナーを熱によって融解し,用紙繊維内に溶け込み,固着される。定着ローラにトナーが付着して,それが再度用紙に転写されるのを防ぐために,ローラ表面は常にシリコンオイルでコーティングされている。
●ストリッパーモジュール
定着ユニットから排出される用紙を受け入れ,それをエアーによって冷却し,機外に排出する。用紙がストリッパーモジュールから排出される時点で,除電ブラシによって,用紙上に残った静電気が取り除かれる。

4.フロントエンド
XEIKON CSP320D/Chromapress CSiとも,PostScript対応RIPを標準装備する。
また,Chromapress CSiはIntellistream対応となっており,RIP後データの圧縮保存フォーマットであるインテリパックをサポートする。
バリアブルデータプリントに関しては,PPML(Personalized Print Markup language)に対応している。ジョブチケットによるワークフローの自動化によって,ネットワークプリンティングが可能となっている。簡便なカラーセッティングの調整,ジョブパラメータの保存,インスタントジョブスイッチ等,生産性向上のための機能を搭載。
イメージングの解像度は600×600dpiであるが,1ドット当たり16階調(4bps)をもち,175lpiのスクリーニングが可能(2400dpi相当)。

2000年9月29日Tech Seminer「プリントオンデマンドを見越した出力機器」より

2000/12/17 00:00:00


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