本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。

製本様式とノドあき−知って得する製本の知識(4)

●版面とノドあき寸法の調整

同じ判型の書籍や雑誌でも、製本様式により綴じ方が変われば企画、デザイン、レイア ウト段階で「ノドあき」寸法を調整する。

「糸綴じ」や「あじろ綴じ」の場合は正規のノドあき寸法でよいが、「平綴じ」の場合は 針金綴じの部分(余白)のために、ノドあきは約10mmを必要とする。

「無線綴じ」の場合は、ノド側約3mm削られる(ミーリング)ので、その分ノドあきを 確保することが必要になる。

また中綴じの場合は、仕上げ断裁後の内折と外折の左右寸法のつまりを考慮する必要が ある。外折から内折(芯ページ)になるにしたがって左右の仕上がり寸法が小さくなる。 したがって内折ページの版面をノド側に寄せるか、版面の左右寸法を小さくする。目安と して16ページ1台で、1mm程度小口の寸法を短くする。

用紙の厚さとページ数により差があるが、内折は外折より約6mm小口側の仕上がり線を 内側に設定することである(図参照)。


●左開きと右開き(天袋と地袋)

日本の本には縦組みと横組みがある。文字の組み方により綴じる位置が左右逆になる。 縦組みの場合は、折丁の袋の部分が地(下方)になるように折る。これを「地袋」といい、 本は右綴じで右開きになり、右ページが偶数ページになる(図参照)。


横組みの場合は、折丁の袋の部分が天(上方)になるように折る。これを天袋といい、 本は左綴じで左開きになり、左ページが偶数ページになる。このとき位置や天地方向を間 違えると製本段階で問題になる。

版下段階では、見開き2ページ単位でレイアウトするのが一般的であるが、左開き/右 開きは製本様式に基づいて面付けをする。

●背標と背丁

製本の作業上、刷本には「背丁」と「背標」が必要になる。「背丁」は書名と、1折から 最終折までの折丁の順序を示す数字を表す。これは各折の順序を識別するためと、折丁の 混入を防止する役割をする。

「背標」は、落丁や乱丁を防ぐために折丁に印刷された記号(四角ベタ)で、丁合いが 正しければ「背標」は階段状に並び、一目で落丁や乱丁が識別できる。

「落丁」とは折丁が脱落していることで、「乱丁」は折丁の順序が正しくないことを意味 する。この「背丁」と「折丁」は製本上不可欠な要素で、面付けの際に入れる。

●台割り

「台」とは、印刷機に組み付けられる版数の1単位のことをいい、ページ物印刷におけ る版面の数を表すことを「台数」という。

一度に印刷されるページ数に、総ページを分割することを「台割り」といい、面付け状 態により4ページ単位、8ページ単位、16ページ単位などに分割される。この台割りのペ ージ単位を表にしたものを「台割表」という。面付け作業は、この台割表に基づいて行わ れる。

*図版はいずれも小早川亨著「はじめて学ぶ印刷技術/印刷・製本加工編」(JAGAT)より転載

他連載記事参照

2001/01/06 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会