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XML抜きに語れない情報交換

インターネットによるネットワークインフラの急速な進展,自動車業界や金融業界をはじめとした国境を越えた企業提携や合併の急増,半導体・電子部品・化学製品・鉄鋼などの世界的な電子市場の設立など国際的なビジネスの枠組み,等々,今や産業界はIT(Information Technology:情報技術)をベースとした大きな変革の波に直面している。

このような状況のなかで,業務プロセスの標準化や自動化,異機種情報システム間のデータ交換における中間フォーマット,データ形式変更への柔軟な対応など,企業間ビジネスにおける業務の合理化・自動化に貢献するデータフォーマットとして注目を集めているのが,XML(Extensible Markup Language)である。
このXMLは,産業界ばかりでなく報道業界ではニュース配信やデジタル放送に,官公庁では2003年の電子政府実現に向けた関連法案の整備,省庁間の情報共有,申請・届出など手続きの電子化などを推進する中で,それぞれ蓄積や交換する情報のフォーマットとして利用しようとしている。

XMLでは,開始タグと終了タグの間にデータを挟むことを基本とした構文規則を決めているだけで,それをどのように使うかは規定していない。従って,その構文規則を使用して,どのようにコミュニケーションするかは自分たちで決めなければならない。また,その決めたことに基づいて処理するシステムも,自分たちで作らなければならない。
このため,XMLの利用局面に合わせて,同一業界や同一業務フローに関わる団体などで,標準的な業務プロセス,タグセット,記述基準などを決める活動が展開されている。

PAGE2001では,このように広範な分野で応用が進んでいるXMLについて,コンファレンスの「XMLトラック」や「関連セッション」,セミナーの「XML/SGML利用事例」セッション,ジョイントイベント(併設イベント)における関連専門団体イベント,展示会の関連展示ブースとITソリューションパートナーコーナー「XMLゾーン」などで,いろいろな角度から取り上げる。

コンファレンスのXMLトラック

XMLトラックは,2月8日(木)サンシャインシティプリンスホテル2F「飛魚」で開催され,「XML関連標準化動向」,「XMLのツール活用」,「XMLシステムの構築」の3つのセッションがある。
(1)B1「XML関連標準化動向」(2月8日 9:00〜11:00)
このセッションでは,XMLの利用・応用をめぐる各種の要求に対し,W3C(World Wide Web Consortium)や各種団体が取り組んでいる最新の状況を要約し,今後どのような方向に進展してゆくかを考える。
モデレータのW3Cメンバーで慶應義塾大学湘南藤沢キャンバスSFC研究所プロジェクト助教授北川和裕氏が「W3CとXML標準化」をテーマに,W3Cが取り組んでいる各種仕様類の概要や勧告に向けた最新情報を,スピーカーの毎日新聞社総合メディア事業局技術開発部副部長小野寺尚希氏が「報道業界での標準化動向」をテーマに,ニュース配信用のNewsMLやデジタル放送用のBMLの最新情報や利用事例などを,(株)日本ユニテック企画部技術調査担当奥井康弘氏が「XML2000での発表に見る業界標準化動向」をテーマに,2000年12月ワシントンで開催されたXML2000の講演から,OASISやIDEAllianceなど各種専門団体が取り組んでいる標準化の概要と最新情報を,それぞれの立場から要約した後,モデレータ,スピーカー,セッション参加者によるディスカッションで今後どのような方向にW3Cや各種の業界の標準化が進展するかを考える。

(2)B2「XMLのツール活用」(2月8日 12:00〜14:00)
広範な分野での応用が進むXMLの世界では,各種の応用分野を想定してさまざまなツールが開発されている。XMLを利用したメリットを最大限に引き出すためには,自社の業務に最適なツールを選択することが重要である。
モデレータの(有)トライデントシステム代表取締役鶴岡仁志氏が「XMLのツール活用」をテーマに,いろいろな業務の局面に対応するためにツールに求められるものは何か,どのようにツールを選択するかなどを,スピーカーのアルテック(株)ソフトウエア事業部XMLソリューション推進部プロダクトマネージャー岡崎勝氏が,「ブラウザ・エディタXML-SquareとeXcelonの事例」をテーマに Webベースのドキュメント処理ツールの世界を,(株)日立システムアンドサービス事業企画部主任技師竹内成明氏が「XMLによる電子書式とデータ格納」をテーマにXMLによるデータベースと連携ツールの世界を,それぞれデモを交えて紹介しながら,電子文書の切り口で各種の業務に最適なツールを選択する基準,ツールの本来あるべき姿,これからの方向などを考える。

(3)B3「XMLシステムの構築」(2月8日 15:00〜17:00)
現在最も熱くそして注目されているXMLの応用分野は,BtoB(Business to Business:企業間電子商取引)である。既存の自社システムと国際的なビジネスの枠組みや企業間ビジネスの枠組みとをどのように連携させるか,XMLの特徴を活かしたシステムをどのように作るかなど,これから多くなるXMLの取り組みに備えて解決すべき課題も多い。
モデレータの(株)イー・ブリッジ取締役コンサルティング本部長岡部惠造氏が,2000年12月始めに実施された米国視察XML2000ツアーでの話を交えながらB2BI(Business to Business Integration:企業間統合)における標準化動向や事例などを,スピーカーのインフォテリア(株)代表取締役社長平野洋一郎氏が,まもなく出荷が開始される同社のXMLネイティブのBtoBサーバーAsteria(アステリア)を含めたBtoBシステムの構築方法を,日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所インターネット・テクノロジ担当マネージャー丸山宏氏が,WebサービスとUDDI(Universal Description, Discovery, and Integration),そしてそれらが作り出す新しいBtoBの世界を,それぞれデモを交えた紹介の後,セッション参加者を交えてXMLを活かしたシステム化を行うに際しての要点を検討する。

コンファレンスの関連セッション

XMLトラック以外にもコンファレンスには,XMLに関連したセッションがある。
(1)C3「工程間のデータフロー」(2月8日 15:00〜17:00)
プリプレスと印刷及び後工程側から印刷ECまで射程に入れて急浮上しているJDF/CIP4を取り上げる。JDF/CIP4はXMLを応用しており,スピーカーは大日本スクリーン製造(株)グラフィックアーツ事業本部第二製造部技術三課担当課長木谷孝則氏,(株)小森コーポレーション電装システム部設計1課課長吉川武志氏,富士写真フイルム(株)宮台技術開発センター主任研究員宮川正氏である。

(2)D3「自動組版の方向」(2月9日 12:00〜14:00)
XMLによるデータベースとの双方向連携,DSSSL,XSLT,XSL-FOへの対応など,新たな環境の中における自動組版の取り組みを取り上げ,これからの自動組版に必要な機能について考える。スピーカーは,ネクストソリューション(株)営業部部長藤島雅宏氏,(株)ページコンプ研究所取締役高沢通氏,アンテナハウス(株)代表取締役小林徳滋氏の各氏である。

セミナー

サンシャインシティ文化会館5Fで行われるセミナーでも,2月9日9:00〜11:00のE7「XML/SGML利用事例」セッションで,第一法規出版(株)営業局営業促進第一部係長平林宏章氏,(株)アイ・ビー・エス代表取締役桜井恵三氏,(株)図研クライアントサポートサービス事業部クライアントソリューション部クライアントソリューション課瀬戸宏氏が,インターネットを利用した例規集全文検索データベースサービス,Webコンテンツや印刷物作成,文書とCAD図面データの有効活用など,XML/SGMLの利用事例について紹介する。

ジョイントイベント(併設イベント)

PAGEは,狭い意味の印刷ではなくグラフィックアーツを包括的にとらえており,この分野で活躍しておられる多くの専門機関がPAGEとジョイントでイベントを行う。XML関連イベントには,(1)情報知識学会,(2)XMLコンソーシアム日本電子出版協会XKP漢字処理技術協議会(共同開催),(3)W3C(World Wide Web Consortium)(4)関西SGMLビジネス懇談会(KSB)がある。XML関連のジョイントイベント情報はこちらを参照。

展示会・ITソリューションパートナーコーナー

展示会に出展している企業の中にも,XMLを利用したクロスメディアコンテンツ制作ツールや自動組版ソフト,ビジネスソリューション提案,XMLドキュメント制作,データベースとの連携,BtoBシステム構築,XMLシステムコンサルティングなどに関する製品やソリューションの出品がある。展示会でのXML関連情報はこちらを参照。

PAGE2001概要夢から現実へ:革命から進化へ

2001/01/11 00:00:00


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