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システムの改善はデータ管理から見直せ

DTPは印刷物制作に関わる人にとってデジタル入門的な役割を果たしたといわれているが、DTPはあくまで紙やフィルムという形で完成させれば用は済んでしまい、そのコンテンツのデータを使い捨てにしていて、再利用のためにどのように整理したらよいかということを考えてこなかった。これがDTPの仕事が他の電子メディアに発展していかなかった最大の理由である。

逆の言い方をすると、今日のコミュニケーションのシステムは、デジタルのデータを集めてきて編集・制作し、CTPであれWEBであれデジタルで出力するというように、すべてがデジタルデータの扱いになったので、データ管理の工夫が編集・制作の能力や効率に直接ひびいてくるのである。

PAGE2001ではデータ管理というトラックを設けて、コンテンツ管理、ドキュメント管理、DAM・アセッツ管理の3つのセッションで、この問題を考える。メディアの制作をする人にとっては、管理システムと直結させてコンテンツの生成から制作,再利用という環を統合して設計しなおさなければならない段階にきているのである。

コンテンツ管理

2月9日のA4セッションは、「コンテンツ管理」がテーマである。データがデジタル化されたことにより,コンテンツごとに管理するシステムが必要になり,コンテンツ生成〜制作〜再利用という環を統合したシステムが必要となった今,表現メディア・出力媒体の制作と,コンテンツの生成・管理がどのように分けられるのかを議論する。

モレデータは,富士ゼロックス(株) ニュービジネスセンター ブックパークプロジャクト リーダ 軒野仁孝氏。セッション内容は,以下を予定している。

従来のコンテンツ管理は作り手側の側面で,「ストック」として考えられてきた。しかし,経営資源としてのコンテンツの活用,マルチプルメディア化(複合メディア化),受け手側とのインタラクティブな環境の整備等のことを考えると,これからは使い手を中心とした「アセット」としてコンテンツを扱う必要がある。
ネットコンテンツへの対応事例としては,コンテンツを商いとしている出版社が,一般企業を含めての指針となるだろう。またその先駆者の体験している現状の課題・問題点から,今後一般企業が対応すべき方向性を見出す。

その具体的技術プロバイダーとして,マイクロソフト(株) 製品マーケティング本部 シナリオマーケティンググループ グループマネジャ 小柳津(おやいづ)篤氏より,技術的事例,マイクロソフトが既に構築した公表可能な事例,さらにはその構築経験からの課題などを伺い,今後の方向性を見出す。
コンテンツ(経営資源)と経営との関係については,(株)コラム 代表  紺野登氏より,ナレッジマネジメントの側面からの考慮しなければならない事項などについて、レクチャーを受け、上記事例と課題の重要性と方向性を確認する。

パネルディスカションは,上記の3人でアセットとして仕組み・技術・社内取り組みと,マルチプルな方向性への仕組み・技術・取り組みについて熱い議論が交わされる予定。

ドキュメント管理

2月9日のA5セッション ドキュメント管理である。社内ドキュメントを管理するような文書管理というテーマは,かなり古くからあるテーマである。また,印刷物になったものをスキャンしてファイリングする時代があり,デジタル化されたドキュメントで管理するシステムに変わってきたが,なかなか普及したシステムにはなっていない。
ここでは,今Eビジネス時代となっていく中で,ビジネスの流れの中でドキュメント処理がどう変わってきているのか,また情報提供のオンデマンド化が進む中で,ドキュメントマネージメントの方向を検討する。

ドキュメント交換のオープン化を考える上で,XMLを利用したドキュメント管理が出始めており,このセッションでは,(株)フジミックの大坂哲司様にはXML利用によるドキュメント処理についてお伺い致します。
また企業では,膨大のドキュメントを抱えてドキュメント管理を行うには費用がかかり過ぎるということで,進んでいない企業も多い。このような背景の中で,ネットワーク時代ということからドキュメント管理をネットワークを通じてアウトソーシングで受け持つようなEビジネスが登場してきている。このようなドキュメント管理ASPサービスについては,新日本製鐵(株)の笠井正之様からお話を伺います。
ドキュメント管理もこれからは,Eビジネスになる時代に,ECを支えるのもドキュメント管理が必要となてくる。このような現在のドキュメント管理の背景について,サイトロック(株)の佐々木雅志様にモデレータをお願いしてこのセッションを行います。

DAM,アセッツ管理

2月9日のA6セッションで取り上げるデジタルアセッツマネージメントは,デジタル素材をデータベースで管理する仕組みであるが,ただ部品をデータベースで管理するだけでは何のためにかがはっきりせず,効果が不明である。最近は,デジタルアセッツマネジメントという表現が裏に隠れてきており,利用目的を意識したシステムに変化してきている。

このセッションでは,デジタルアセッツマネージメントのポイントについて,いろいろな応用分野ごとにどのようなポイントがあるのかを,そえぞれのスピーカから伺います。

情報を発信する出版社,新聞社にとって,デジタルアセッツとは,どのように管理すべきか。
デジタル放送の時代になり,デジタルコンテンツは映像産業のみではなく,一般企業においてもマーケティングのための情報ととして注目される時代になってきている。
また,Web環境におけるeビジネスも,デジタルコンテンツ無しでは,成りたたない。
また,印刷物制作上でも,一カ所で制作工程がすべて進むわけではない時代になってきている。このような環境には,どのようなデジタルアセッツの管理機能が必要かなどが,テーマです。

まず出版分野,新聞分野を対象とするにはという視点でソリューションを提供している富士通(株)の窪田伸一様にモデレータにお願いしてあります。デジタル放送も始まり,映像のデジタル化を中心にソニー(株)の相川晃一様に映像情報の活用についてお話を伺います。またEビジネスに関連する部分については,凸版印刷(株)の千田明穂様からお話をうかがいます。また印刷会社に一番なじみの多い,印刷物を制作することを主に支援するシステムについては,ハイデルベルグ・ジャパン(株)の武口豊様から伺います。

印刷ビジネスのIT戦略

2月8日のD3セッションは印刷ビジネスのIT戦略である。印刷会社のデジタル化は,制作システムではほとんどでき上げってきている。しかし製造部門以外のシステム化はというと,経理は経理,管理部は管理部でということで,別々にシステム化が行われている。しかし今印刷ビジネスも,顧客満足ということが非常に言われており,コスト,納期だけではなく,仕事の流れの透明性など顧客満足度を向上させるための仕組みを検討する必要がある。

このセッションでは,印刷ビジネスを行っていく上で,営業部門の改革,顧客との間の改革,社内管理をERPの発想で統合化していくなどが,これからの印刷会社のデジタル化の課題というテーマで行います。

顧客情報をはじめ,戦略的な営業を行うための社内情報活用について,「ナレッジのデータベース化による営業業務の生産性向上」というテーマで,大東印刷工業(株)佐竹一郎様から伺います。

また社内の管理をジャストインタムでいかに管理し,社外へどう展開していくのかということでは,「社内から社外へのネットワーク戦略」というテーマで不二印刷(株)井戸剛様からお話を伺います。

また社内はERP的な管理を行った上で,次のステップは顧客との関係ということで,顧客との間をいかにデジタル化し,サービス化を行うのかというアプローチについて,「受託加工業からシステム供給業への転換」というテーマで(株)広告製版社の伊東三男様からお話を伺います。

PAGE2001コンファレンス

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2001/01/23 00:00:00


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