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今、PDFはどこにいる?

〜PAGE2001セミナー2/7「PDF Day」〜

電子文書配信のフォーマットとして登場したPDFは今やカタログ、マニュアル等製品情報の配信、企業内ドキュメント管理、電子書籍の配信、そして印刷ワークフローなど様々な分野で活用がなされている。

過去のPAGEでもPDFに関しては多角的に取り上げてきたが、フォーマットとして注目するだけでなく、営業戦略的にクライアント支援の視点に立ち、ビジネスソリューションの中でPDFをどう位置付けるかがより重要となってきたと云えるだろう。

■PDFでのビジネスチャンスはどこにある?
Webでの情報配信を考えてみた時、印刷用に作ったDTPデータを元にカタログをPDFにしてアップロードすることを必ずしもクライアントが望んでいるとは限らない。クライアントの顧客が必ずしも全員PDFを簡単に見れる環境であるとは限らないし、アクセスのしやすさや情報更新のスピードを考えれば、HTMLを選択するかもしれない。しかし一方でセキュリティ面、レイアウト、フォーマットが決まっている等の理由から企業の財務情報などの公開にはPDFが選択されるケースが多い。つまりPDFは確かに印刷の世界と非常に密接なフォーマットであり印刷側には提案がしやすい部分はあるが、それがクライアントのニーズに必ずしも合致するわけではない。発信するコンテンツによって制作方法や表現を変え、適切なフォーマットを選択する必要がある。

また最近ではそれをシステム的に行う仕組みが様々な業種で採用されつつある。中間ファイルフォーマットとしてXMLでデータベースを構築し、Webではパソコン上でHTML、携帯電話にCHTMLなど、そして印刷用データにPDFといったように必要な時に多様な端末に最適なメディアにスイッチさせるという考え方である。

IT技術の発展の中で、メディア間の境界はどんどん弱いものとなっている。メディアのソリューション全体の中でPDFを始めとするフォーマットの特性や限界を理解し、それらをどう位置付け連携させるかが重要なのである。

PAGE2001セミナー「PDF Day-ビジネストレンド」(講師/グローバルデザイン株式会社 白旗保則氏)では、クライアントの情報の配信や管理、そして印刷ワークフロー等の中で、今PDFがおかれているポジション、限界、そして今後のビジネス展開の考え方などを事例を上げながら様々な角度から探る。

■PDFとセキュリティ/文書管理
イントラ/インターネット双方で情報発信・文書配信/管理が日常化してくると、一方で重要となってくるのが改竄・複製・認証・文書のバージョン管理などのセキュリティ問題である。そもそもPDF自体がセキュリティを考慮した設計となっており、前述した財務情報の配信や社内文書管理などでは、
 1.Mac/Win/UNIXなどのプラットフォームを選ばない
 2.単一アプリケーションによるソリューションの実現で管理コストが低減出来る
などの理由も含めPDFが有効とされている。

文書管理の問題点として株式会社ディアイティ山田英史氏は昨年JAGATセミナーの中で
・コピーをどうやって防ぐのか。例えば社外秘文書も、配布した時点で既に複製され持ち出される可能性を覚悟しなくてはならない。
・バージョン管理が煩雑になる。ひとつのドキュメントでも、相手により見せるページを制限したい場合などは見られては困る部分を黒塗りにしたり、ページを間引きしたりする。しかしこの方法ではドキュメントのバリエーションが増え、ドキュメントのバージョン管理が難しくなる。
・配布後のドキュメントがコントロールできない。例えばバージョンが上がったので先に配布したドキュメントを廃止したいと思っても、手元を離れたものを制御することは不可能である。ある人は第1版を見ながら、別の人は第2版を見ながらミーティングしていることも起こりかねない。また、配布後に問題を発見した、あるいは取引を終了した場合、相手から配布したドキュメントを回収したいと思ってもほとんど不可能である。
と3項目を挙げていた。いかにしてPDFのメリットを活かしながらシステム的にセキュリティ問題をクリアするか?山田氏にもご登場いただくPAGE2001セミナー「PDF Day-文書配信とセキュリティ」(講師は他にグローバルデザイン株式会社 白旗保則氏)では、様々な業種業態での文書配信/管理での問題点を挙げながらセキュリティの考え方、技術紹介、導入事例などをトータルに解説する。

■印刷ワークフローに営業戦略的にPDFを位置付ける
印刷ワークフローにおいてPDFをどう位置付け、クライアント側のメリットも提示しつつ如何に活用するかというのは最も大きな関心のひとつだろう。

印刷側からすれば、安定した出力やフローの簡略化、Mac/Win間のデータの親和性の高さなどのメリットが期待され、一方で効率的な生産手段や技術の提案はクライアントが望むものでもある。印刷フォーマットとしてまさに現実的に活用がされ始め、かつWebとの相性の高さから校正などのシーンでコミュニケーションツールとしてPDFを活用するなど今後もより大きな可能性を持ってPDFと印刷はさらに身近なものとなることが予想される。

PAGE2001セミナー「PDF Day-印刷ワークフロー活用」(講師/日本プロセス株式会社 足立仁氏 他)では早くからPDFを印刷フォーマットとして活用し、現在ではネットワークを活用した印刷会社−クライアント間のPDFによるインクジェットプリンタ校正の運用にまで領域を広げ実績を挙げている講師にその内実と開発の経緯等を伺う。

以上、PAGE2001セミナーでは2/7に「PDF Day」と題し「ビジネストレンド」「印刷ワークフロー活用」「文書配信とセキュリティ」の3つのテーマでPDFをビジネスにするのではなく、ビジネスにPDFを位置付けるヒントをお届けする。 ご期待下さい。


【詳細は・・・】
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2001/01/19 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会