高まるカラープリンタ/複写機利用
ここ数年でパソコンが一般家庭に普及し,それに伴い,インクジェットプリンタの性能が飛躍的に向上してきた。
印刷業界も例外ではなく,ここ何年かでパソコンが導入され,DTP化が大きく進んでいる。元はMacintoshで始まった印刷業界のDTP化だが,最近ではWindowsマシンを用いてのDTPも一般にみられるようになってきた。
DTPによって,印刷業界でのデジタル化が加速され,これまでアナログで行ってきた各工程が,だんだんとデジタルに置き換わっている。また,パソコンを使用した編集によって,急速に進化してきたパソコン用のカラープリンタを校正に使うことができるようになった。
プリンタの高性能化により,従来ではあまり考えられなかったカラーによる校正も行われるようになってきた。
現在,さまざまなカラープリンタが発売され,各種カラープリンタを使ったさまざまな校正方法が試されている。
カラープリンタを校正に使うに当たっては,入出力デバイス間の色表現を統一するためにカラーマネジメントを行う必要がある。
通常は各デバイスのICCプロファイルを作成し,それを利用してデバイス間の色の調整を行う。ただし,カラーマネジメントとは,色を管理するシステムのことを指し,色を合わせるカラーマッチングとは別である。
カラープリンタを使った色校正については,リモートプルーフやCTPワークフローの導入が進むことによって,その重要性は,いっそう増してくるだろう。さらに,ワンtoワンを狙ったPOD(プリントオンデマンド)でも,重要な要素となってくる。
ソフトウエアRIP
プリンタの性能が上がって高画質の印字が可能になっても,そこに送るデータが良くなければ,きれいなプリントアウトは望めない。また,モニタや印刷機などとのカラーマッチングがとれていなければ,意味がなくなってしまう。
そのため,ICCプロファイルを扱えるソフトウエアRIPを使い,カラーマッチングを行いつつ,プルーフィングを行うことが必要である。
ソフトウエアRIPは,イメーションのMatch print Color RIPや,きもとのO.R.I.S Color Tuner,TooのScriptAxes・Studio,ブラザー販売のDS Magic Pro2,サカタインクスのBEST Color,二樹エレクトロニクスのサイナライズ,トランステックのImageJetなど,各社からさまざまな製品が発売されている。
また,各デバイスのICCプロファイル作成については,それぞれのメーカーから支給されているものを使用する。
それ以外にも,日本クレオサイテックスのPro file Wizardや,ハイデルベルグ・ジャパンのColoropenシリーズなどを用いて作成することも可能である。
このようなRIPを使用し,きちんとしたカラーマネジメントをすることによって,今まではあまり実用的ではなかった遠隔地における通信でのリモートプルーフが,よりいっそう現実味を帯びてくることとなる。
また,実際にリモートプルーフを行うには,Vio,WAM!NET,GTRAXといったネットワークサービスを利用して,印刷用の高解像度データを高速で処理する必要がある。
プリンタ選び
現在,カラープリンタと呼ばれるものは,その原理によっていくつかの種類に分かれる。レーザやインクジェット,およびハイエンドDDCPなどで採用されている昇華転写方式などである。
以下に,簡単な各方式の説明と,各方式の代表的なものを取り上げてみる。これらはあくまでも代表的なものであり,すべてを網羅しているわけではないことをあらかじめお断りしておく。
1.レーザプリンタ方式
レーザ光でドラム表面を走査する方式で,レーザ光のオン・オフによって画像を形成する。オン・オフの間隔とレーザ光の走査との同期や,ドラムの回転機構に正確さを要求される方式である。原理としては,ドラムの回転する割合によって解像度が変化する。
現在,レーザプリンタ方式の主な製品としては,キヤノン販売のLBP-2260PS2や,エプソン販売のLP-8500CPD,リコーのIPSiO color4100などが挙げられる。
カラーレーザプリンタであれば,今まで使用していたモノクロレーザプリンタと扱い方は何も変わらないので,導入しやすいはずである。さらに新製品が開発され,高速で高画質な印字が可能になり,本体も安価になってきている。
2.LEDプリンタ方式
最近,発売された沖データのMICROLINE 9055 Cが挙げられる。
このカテゴリーのプリンタは,モノクロタイプのものは既に印刷業界に広く普及しており,校正用のプリンタとしては非常に標準的なものとして定着している。
MICROLINE 9055Cでは,4連Digital LEDヘッドを採用し,A3ノビ用紙の使用が可能である。解像度はTrue1200dpiを実現し,印字スピードもカラー21ppm/モノクロ26ppm*の高速印刷が可能である。ドラムとカートリッジは各色1つずつ必要になる。
フルカラー電子写真方式なので,方式としては後述するプリント・オンデマンドの部類に入るが,プリント・オンデマンドの機械とは使用形態が異なるので,あえて独立した分類とした。
3.インクジェット方式
インクジェット方式には,コンティニュアスフロー型とオンデマンド型がある。基本的には,小さなノズルからインクを噴き出して定着させる方式であり,ノズルを備えたヘッドが横方向に動いて印字する。ひとつのラインの印字が終わると用紙を縦に送り,次の部分に同じように印字をする。これを繰り返して1枚の用紙に印字を行う。
コンティニュアスフロー型は,ノズルから常にインクを噴いている方式で,オンデマンド方式は,そのつどノズルからインクを吐き出す方式である。コンティニュアスフロー型は,その仕組みから小型化するのが難しい。代表的なものとして,イメーションのレインボープロモデル4700や,日本クレオサイテックスのIrisなどがある。
また,オンデマンド方式は,さらにサーマル方式とピエゾ方式に分かれる。
・サーマル方式
熱によりインク中に泡を作り,その泡の圧力によりインクを吹き出す方式で,代表的なものはキヤノンのバブルジェットである。製品によっては,リアル1800dpi相当まで印字できるものや,カートリッジを替えることによって,スキャナとしても利用できるものもある。
基本的に,ノズルの密度によってプリンタの解像度が決定される。インク滴を超極小サイズ化し,レギュラーインクの約1/6に当たる低濃度のフォトインクを採用することによって,視覚上のドットサイズを変更し,解像度に換算して約1800dpi相当の描写が可能になっている。
・ピエゾ方式
電圧によって変形するピエゾ素子を利用し,その変形した際の圧力によりインクを押し出す方式である。インク滴の形状とサイズ,スピードは,ピエゾ素子にかける電圧を精密にコントロールすることによって,調整が可能である。
代表的なものには,セイコーエプソンのPM・MCシリーズや,日本ヒューレット・パッカードのDeskJetシリーズなどが挙げられる。
セイコーエプソンでは,インク滴の微小化と精密な制御のほかに,ドットをプリントモードに合わせてミクロ単位で打ち分けるMSDTにより,超写真高画質を実現している。
日本ヒューレット・パッカードでは,独自のPhotoREtV技術と微小化されたインクドロップにより,2400dpiの超写真高画質を実現している。
その他のカラーインクジェットプリンタの特徴としては,大判の製品が発売されていることが挙げられる。
以前の大判プリンタは,主にCADの図面出力に使用されていたが,カラー化と高画質化,DTPの普及により,最近ではグラフィックの分野でも活用されている。CTPの普及により,ポスターなどのサイン関係だけでなく,高精細な出力を生かして面付けしたデータの色校正にも使われている。
武藤工業やセイコーエプソン,セイコーインスツルメンツ,ミマキエンジニアリング,キヤノン販売,ローランド ディー.ジー.などでは,従来からあるCMYKの4色のほかに,ライトシアンやライトマゼンタ,またはオレンジとグリーンを加えた6色のインクを使い,美しい印字物を作成している。
また,イメーションでは,自社のRIPと組み合わせて,カラープルーフィングシステムとして活用している。さらに,セイコーインスツルメンツでは油性のインクを使用し,高速に印字できるモデルも用意している。
4.その他
・溶融型熱転写方式
アルプス電気のMD-5500が採用している方式で,専用のRIPを通して出力したものには,実際のオフセット印刷に近い印刷方式を採用している。網点の再現性も良く,デザイナーなどに好まれて使われることが多い。ただし,出力に時間がかかる難点がある。
・昇華型熱転写方式
セイコーインスツルメンツや,イメーションの製品が採用している方式で,固形のインクを熱し,気体にして印字する。温度調整により,気体にするインク量をコントロールできるので,銀塩に近い画質が実現できる。
・プリントオンデマンド
現在の印刷の仕組みは,どうしても小ロット/多品種・短納期には向かない傾向がある。それは刷版を作る関係で,細かく内容を変更するのは手間がかかり苦手だからである。
そこで,富士ゼロックスのColor DocuTech60やザイコンジャパンのDCP/Chromapressシリーズ・CPS/CSiシリーズ,東洋インキのUltra Stream/Publisherシリーズといった,プリントオンデマンドや,ワンtoワンのニーズにもこたえられるような,カラーのデジタル印刷機が用意されている。
これらの製品は主に電子写真方式を取り入れ,コンシューマ向けのインクジェットプリンタや,レーザプリンタでは,まかないきれないような枚数の出力でも可能にしている。
Color DocuTech60では,中間転写ベルトを用いることによって,従来製品から大幅に精度を上げている。さらに給紙トレイにダクトを設けることによって,密着性の高いコート紙などでも張り付くことが少なくなるので,印刷の効率が大幅に向上する。
また,ザイコンジャパンの製品も,第三世代のトナーカートリッジやデベロッパーを用いることによって,印刷物の色再現域の拡張と印字品質の向上,さらに耐光性の向上を図っている。
これらの製品では,バリアブルなデータの出力も可能なので,今までのデータベースを活用して,顧客ごとにDMを出力することができる。つまりワンtoワン出力が可能ということである。
しかし,ワンtoワンを行うには,出力機を用意するだけでなく,きちんとしたワークフローやポリシーをもつことが不可欠である。
(月刊プリンターズサークル2000年11月号より)
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2001/01/28 00:00:00