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新しいテクノロジーをビジネスに生かす

DTPと言う単語が広まり始めてからはや10年余り。この publishing,printing の世界への入り口がDTPであった若い人も多くいて,その人々もそろそろ中年にさしかかっている。いつまでも若僧のママで居ることはできないのである。DTPそのものにこれはあてはまり,新たなDTPのアプリを世に出せば人が飛びつくこともない。現在はパソコンを用いての編集作業はあたりまえになり,当たり前の道具としての洗練さが求められつつあるのと同時に,DTPを取り巻くデジタル環境が発達したが故に,その環境とのマッチングが求められる。

つまり,DTPをスタンドアロン利用するとか紙への出力に使う範囲ではデジタル化は一段落したが,ネットワークやXMLなどIT,ECという文脈で大きく変貌しつつある情報環境に適合させるためには,今まで築いてきたモデルを進化させ,再構築しなければならない時代に入った。そこで企業自身のERPから制作局面のツールまで,何を見直さなければならないかを考えるのが,PAGE2001テクノロジートラック(D1〜D6)である。

とりわけDTP関連の作業にとっては,XML対応でホームページを制作する準備をしたり,インターネット環境に合わせたフローの再構築が急務である。すでに印刷業界の多くが印刷物をそのままWebへ展開することを手がけているが,これをもっと高度化して活用するような案件が確実に増えている。また,データのやり取りがネットワークを通してできるようになると,そこから新たな目でシステム全体を考えなければならないことになる。後者はネットワークプリントの問題である。

まだ現場に目を向けると,確かにパソコンによるネットワークのインフラは構築されつつありかつサーバも設置されてはいるが,実際にはサーバはただの物入れで,収納されたデータは活用されていない例も多い。新しいテクノロジーをビジネスに活かすために,今までのDTPで染み着いた固定観念を払ってみようではないか。

2/9(金)の9:00-11:00に開催されるD4はワークフローからサーバ/DBと題し,(株)ディジタルメディアシステム 江本 博治氏をモデレータに,現在有効活用されていないデータの扱いを見直し,それに伴うワークフローの再構築についてを(株)朝日学生新聞社様への実際のシステム導入事例を交えて考える。現状のフローのどこが悪いのか,どのように見直さなければならないかを考え,来るべきインターネットパブリッシングに備える基礎とする。

DTPの利用により印刷物制作のデジタル化は急速に促進されたが,対話処理をベースとしたDTPにおける自動組版は,長い間QuarkXTentionなどを使用して行われてきた。しかしながら,ネットワークインフラの整備や情報共有化の進展などにともない,データベースとの双方向の連携,XMLへの対応,紙・Web・CD-ROM・eBOOKなどクロスメディアへの対応など,新たな環境に対応した自動組版への模索が始まっている。
そこで今回のD5セッションでは,
(1)XML/SGMLを利用した情報システムに組み込まれて自動組版処理を行うもの。
(2)CTSなどプロ用の組版システムを出発点とし,データベース連携やXMLなどに対応しようとするもの。
(3)W3Cが勧告案をまとめているXSL-FOを利用して,XMLドキュメントを組版出力するもの。
を取り上げ,新たな環境に対応する自動組版にはなにが求められ,どのような対応をしているかまた,今後の自動組版にはどのような機能が必要となるかを考えてゆく。

D6のネットワークプリントでは,松下電送システム(株)の小町 祐史氏をモデレータに迎え,インターネット印刷プロトコル(IPP)を中心とした,ネットワーク対応のプリントプロトコルについてを考える。
モデレータの小町氏によるIPPを中心としたプロトコルの解説から始まり,キヤノン(株)による実装例とBMLinkSといった具体的な利用事例を紹介し,最後に富士ゼロックス(株)ISCによる活用のためのソリューションを紹介する。最近のプリンタでは実装されていることが多いIPPも,こういった基礎知識を学ぶことによって,新しいビジネスへの大きなヒントになることは間違いないであろう。

PAGE2001コンファレンス

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2001/01/31 00:00:00


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