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10年後〜ン十年後の自社の姿は?

マイクロプロセッサが生まれて30年近い月日が流れた今日、コンピュータは電球やモータ並に至るところで使われるようになった。その結果、インターネットやiモードのような応用が身の回りに出現したのだが、このような状況を10年前に予想した人は誰もいなかった。いや、ちょっとくらいはいたかもしれない。実現時期を別にすれば、20数年前にごく一部の人は予想していたともいえる。

今のPCやインターネットや、まだない電子ペーパーまでも、これを成り立たせているアイディアの多くは、1970年代の Xerox社PaloAlto研究所で生まれた話は有名である。その頃 Apple のスティーブ・ジョブズはPaloAlto研究所に見学に行き、後にMacが生まれたし、多くの人がそれらに触発されて、1980年代の開発努力がなされた。しかし1970〜80年代に上り調子であったミニコンのDECのケン・オルセンは当時、「自分の家にコンピュータを持とうとする者はいない」と断言した。

結局DECはCompaqに吸収された。未来への想像力というのは、今のビジネスがうまくいっているかどうかとは関係ないのである。逆に想像力がなければ、今はうまくいっていても、先はないのである。技術変化が速いといわれたPCでも20年以上の月日を経て、社会に広く行きわたったのだから、最低20年は持ちこたえるビジョンがなければならない。今のITの技術体系は、もう解法が明らかな問題を解くようなものであるが、さて皆さんはその先について、ン十年先にこうなったらいいな、という次ぎのビジョンをお持ちだろうか?

21世紀のスタートである2001年の正月の話題は、バイオ、ロボットなど、ITは通り越して、今まさに科学技術が加速し始めた分野に焦点があたった。これらが身近な問題となるのはまだ先のことであるが、マイクロプロセッサやPCがウォームアップに20〜30年要したように、ある時期になれば急速に開花するとも考えられる。我々はどのようにものごとを考えればよいのか? JAGATでは、2050年はどうなっているか、を考えるプロジェクトを準備している。PAGE2001コンファレンスでは、JAGAT副会長の和久井孝太郎が、基調講演の「2050年のグラフィックアーツを想像する」において、その提言をおこなう。

『デジタル革命』によって、時代の変化はどんどん速度を増してきている。あたかも一般道路から高速道路へ進入した自動車に似ている。自動車の速度を上げれば、運転者は前後左右に気を配ると共に、できるだけ遠くまでを見通さなければ安全運転できない。私たちは、目先の課題を追かけるだけでなく、21世紀のできるだけ遠くまでを想像する必要がある。この想像は、「みずみずしい直感力」に基づいて個々人が自己の責任で行うべきものである。権力の予言や予測をあてにしてはならない。 =i和久井孝太郎「デジタル革命とメディアのプロ」、社団法人日本印刷技術協会、2000年)、という視点で、それぞれの2050年を考えてみようではないか。その手がかりとして、ぜひPAGE2001基調講演にご参加いただきたい。

参考に、和久井孝太郎の 科学・技術の想像を中心とした2050未来年表 を掲載しておく。

2001年:

・1月6日、日本では旧環境庁が環境省に昇格した
・米国DEKA社ディーン・カーメンの「ジンジャー(Ginger)」企業化が成功、近未来の都市デザインを変え、'必要(欲求)が発明の母'を実証するか?

2005年:

・IMT2000次世代携帯電話でモバイルが本格化する
・日本がIT大国になる?
・本格的な電子地図の時代が到来する
・ヒトゲノム等の遺伝子地図データベース構築が急ピッチで進む
・燃料電池で動く車の実用化が進む
・日本の工業用ロボットが120万台を超す

2010年:

・ISDBが本格化する[第1次デジタル革命の収束]
・植物・動物の遺伝子操作が広範囲に拡大する(食料・資源エネルギー・ 環境問題で大きく貢献できるか? 反作用は?)
・多言語翻訳携帯電話の実用化
・高性能な各種ペットロボットが普及する
・1exaFLOPSの超高速スーパーコンピュータが開発される

2015年:

・先進国はすべての人間がID番号を持つことになる[どこでも通用する 個人番号](セキュリティー・プライバシーの確保が進む?)
・中国、インドが経済発展を遂げ、国連は食料・資源エネルギー・環境問 題に関連して各国税制の抜本改革を指令
・この頃までにロボットが少しずつ知的になり,地上最大の産業になる
・ナノテクノロジー(*1) が進歩して個々の原子を工業的に操作できるよう になる。これまでにない特性を持った物質が生産される
・ナノテクノロジーで作った玩具が登場する
・高速道路での自動車の自動運転システムが本格的に稼働する
・化石燃料を使う自動車の走行が制限される
・人間が空を飛ぶためのコンパクトな装置が実用化される
〜[第2次デジタル革命の勃興]〜
〜[文化や生物の多様性維持問題がクローズアップされる]〜

2020年:

・個人のDNA塩基配列が電子カルテに記載されるようになる
・この頃までにシリコンチップ技術は限界まで進む
・ナノテクノロジーへ転換が起こり、1TB/1平方cm の密度を持つ分子 メモリーが開発される
・自動複製を実行するナノマシーンの実用化が見えてくる
・室温で超電導性を示す物質が実用化される
・環境モニターにバイオやナノテクノロジー、ロボットなどの最新技術が 応用され環境問題への対策が格段に強化される
・介護・家事へのロボット導入が進む
・高性能・高機能・低価格な電子ペーパーの実用化
・省エネ・大型ホログラムディスプレーの実用化

2025年:

・普遍的量子コンピュータが実用化される
・機械の知識が人間の知識を上回る[囲碁や将棋で名人が負ける]
・いろいろな人工臓器が一般的になる
・人間行動について遺伝子学・生理学・心理学の共同解析進む

2030年:

・人間とロボット・チームのワールドサッカーが行われる

2050年:

・私のパートナー・ロボットが情報を集め,整理するようになる
・「日本人の総中流意識」が歴史の語り種になる
・日本人値平均寿命が男女ともに100歳を超える
・依然として環境問題が課題として残る
・この頃までに相対性理論と量子論が統一される
・心の問題を科学的に理解する人が増える
〜[人間観・宗教観の大改革が起こる]〜
〜[歴史のデジタル革命→すべての『もの』の歴史の集合が真の歴史である]〜*私自身のためには電子仏壇を用意する

' 人 間 と 鉄 腕 ア ト ム の ル ネ ッ サ ン ス '

(*1) ナノテクノロジー(nanotechnology)
 1990年にIBMの研究者たちが初めて個々の原子を操りIBMのロゴマークを作った。ナノメーターは10億分の1メーターの原子サイズの寸法である。原子メモリーやDNA電子回路、量子コンピュータへの利用、そして有用な機能を持った超分子は環境やエネルギー問題への利用や人工臓器への利用など多彩な発展が期待されているが、ナノテクノロジーの最も画期的な側面のひとつは自己増殖の可能性である。ナノテクノロジーの成功は物質や製造業を変えるだろう。2000年、米国政府は500億円の支出を決めた。日本政府も研究助成に本腰を入れ始めた。

●皆さんへの提案:自分自身で2050年を想像して下さい

「2050年のグラフィックアーツを想像する」についてはPAGE2001基調講演をご参考下さい。

コンファレンスの解説はPAGE2001特別連載もご覧下さい。

2001/02/01 00:00:00


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