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ワークフローにおけるRIPの役割

PAGE2001コンファレンスのC1「RIP/出力のワークフロー」セッション(2月8日(木)9時〜11時)は、出力ワークフローにおけるRIPの今後の役割を考えてみようというもので、モデレータに富士ゼロックス(株)嶋田和成氏、スピーカーに日本アグフア・ゲバルト(株)国井忠男氏、イー・エフ・アイ(株)田中和宏氏を迎えて行った。

モデレータの嶋田氏はRIPの歴史と今後のRIPの姿を概観した。
PostScriptレベル1からレベル2への進化にともなってRIPもハードRIPからソフトRIPへと変遷し,すべての出力デバイスにRIPが搭載されるようになった。PostScriptはさらにPS3となり,Extremeというワークフローの登場によって,出力の速さを競う出力演算装置という位置付けから,インテリジェントな処理能力を備えた出力ワークフローの中心的存在へとその意味を変えつつある。
デバイスごとにRIPがあるとその管理効率が低下し,標準化や自動化が難しくなる。これに対し,PDFワークフローの登場以後のRIPは,デバイスごとの個別RIPからOne RIPとなり,また従来のブラックボックスRIPの中がオープンになって分散処理を行うように変化している。このため,RIPはボトルネックではなく逆にワークフロー構築の中心になっている。今後はインターネット・ビジネスの活用や,マスからワンツーワンへのマーケティングの変化,およびグローバリゼーションの流れの中でRIPに要求されることもさらに多様化していくだろう。私は今後のRIPをアウトプットアプリケーションサーバと呼びたい。

国井氏はApogeeシリーズを例にRIPの新しいワークフローを概観した。途中過程が見えないブラックボックスだったRIPがPDFワークフローの登場によってインタプリット,ラスタライズ,スクリーニングという中身が見えるようになり,オープンなワークフローが考えられるようになった。将来はマルチRIPによるマルチレンダリングを行うようになり,またJDFによる生産工程管理も実現するだろう。

イー・エフ・アイの田中氏はとくにプリントオンデマンド(POD)に焦点をあて,PODにおけるRIPの役割を概観した。多品種・少部数というニーズの増大とデジタルワークフローの確立などによってPODの需要が増している。PODに必要なのはカラーの再現性や,面付けや製本機能,データ管理などであり,RIPも出力装置のオプション機能と連動したり,ICCプロファイルの活用や大容量ファイルの分散処理によって,これに対応する動きが出ている。

PAGE2001報告記事

2001/03/03 00:00:00


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