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DTP豆知識(200103)SCSI,解像度

本コーナーでは,DTPエキスパートを目指すうえで理解しておきたいことを模擬試験形式で解説します。JAGAT認証DTPエキスパート 田邊忠氏に,問題のポイントや重要点を解説していただきます。試験勉強のご参考に,またはDTPに必要な知識の確認にご活用ください。DTPエキスパート認証試験の詳細はDTPエキスパートのページをご覧ください。


問1 SCSI

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

 SCSIは小型コンピュータ用のインテリジェントなインタフェイスとして,ANSI(アメリカ規格協会)が1986年に制定した。

 当時,ハードディスクのデータ転送速度は1〜2MB/秒であり,SCSIは8ビットパラレルで最高5MB/秒の転送速度の規格であった。SCSIはハードディスクおよびホストインタフェイスのコントローラなどが独立して,互いにコマンド制御する方式で,データ転送の際にホスト側の負荷を減らすことができる。装置識別のIDは3ビットあるので,最大[A:(1)3 (2)5 (3)8 (4)9]台までの装置を一続きのケーブルで数珠つなぎできる。

 SCSIの高機能化と互換性を高め,またハードディスク以外に[B:(1)光ディスクやリムーバブルディスク (2)USB (3)FD (4)ビデオ機器]などを正式にサポートしたのが[C:(1)SCSI-1 (2)SCSI-2 (3)WideSCSI (4)IDE]であり,今日のほとんどのSCSI機器がこれに適合している。この規格は別名FastSCSIというように,最大転送速度を[D:(1)3MB (2)5MB (3)10MB (4)20MB]/秒に高めたが,さらに16ビットパラレルに送ることで,その倍の転送ができる[E:(1)SCSI-2 (2)WideSCSI (3)DoubleSCSI (4)QuadSCSI]もある。これはIDが4ビット分あり,最大で16台まで接続できる。

 近年ハードディスクが高速化し,8ビットでも10MB/秒以上のデータ転送ができるものが現れたので,UltraSCSI規格では最大転送速度を[F:(1)20MB (2)30MB (3)40MB (4)50MB]/秒に規定した。また,16ビットパラレルで転送速度をさらに倍にしたのが[G:(1)WideSCSI (2)Ultra2SCSI (3)UltraWideSCSI (4)SuperSCSI]である。

 高速化のためにはコンピュータの動作条件に有利な規格が必要となり,ケーブルの総長は[H:(1)30cm (2)1.5m (3)6m (4)12m]となった。またケーブルの品質も問題となり,厳しい使用条件になった。

 従来のSCSI機器と混在使用はできないが,ディファレンシャルという接続方法を使えば,ケーブル長などの条件を緩めることができる。これを応用したLVDというモードのSCSIは[I:(1)WideSCSI (2)Ultra2SCSI (3)UltraWideSCSI (4)SuperSCSI]と呼ばれ,最大80MB/秒の転送が可能である。

 これらを取り込んだSCSI-3には[J:(1)RS232C (2)セントロニクス (3)シリアルバス (4)イーサネット]なども含まれるようになる。

 SCSIの転送速度が上がっても,そのままハードディスクの速度が上がるわけではない。高速転送が有効なのは,同時に複数のハードディスクをアクセスする場合である。この方法に,2台のディスクを同時にアクセスして,1台の高速ディスクのように使う[K:(1)ストライピング (2)デュプレキシング (3)クラスタリング (4)OLT]がある。


    ■模範解答■
    A(3),B(1),C(2),D(3),E(2),F(1),G(3),H(2),I(2),J(3),K(1)

    ■出題のポイント■
     SCSI(Small Computer Systems Interface)規格はパーソナルコンピュータを周辺機器の間で,データ転送の方法と,その転送速度を決めている規格である。近年,コンピュータの処理速度と周辺機器のデータ書き込み,読み出し速度が向上するにつれて,SCSI規格もより転送速度の速い規格に進化してきた。その進化の過程でバージョンも増え,データ転送速度と,その規格などが複雑になってきている。


     ここでは,そのSCSI規格を整理して理解しておくこと。

    ■問題解説■
     SCSI規格はANSI(American National Standards Institute:アメリカ規格協会)が1986年に制定した小型コンピュータ用のインタフェイスである。当初,ハードディスクのデータ転送速度は1〜2MB/秒しかなく,SCSI規格は8ビットパラレルで最高5MB/秒の転送速度を実現する規格であった。その当時はSCSIも十分な高速データ転送速度であった。

     SCSI規格は,ハードディスクおよびホストインタフェイスのコントローラなどが独立して,互いにコマンド制御するインテリジェントな方式である。これにより,データ転送の際にホスト側の負担を減らすことを可能にした。装置識別のためのIDは3ビットで,最大8(=23)台までのコンピュータ本体と装置を,ケーブルで数珠つなぎ(ディージー・チェーン)にできる。

     その後,SCSI規格の高機能化と互換性の高度化が図られ,SCSI-2規格ではハードディスク以外に,光ディスクやリムーバブルディスクなどを正式にサポートした。現在,このSCSI-2規格にほとんどのSCSI装置が適合している。この規格はFastSCSI規格とも呼ばれ,最大データ転送速度は10MB/秒に高められている。さらに,高速なWideSCSI規格では16ビットパラレルのデータ転送を実現し,転送速度が2倍(20MB/秒)になった。Wide SCSI規格では装置識別のためのIDが4ビットなので,最大16(=24)台までの装置を接続できる。

     近年ではハードディスクが高速化し,8ビットで10MB/秒以上のデータ転送を可能とするものも現れた。そこで,UltraSCSI規格では最大データ転送速度を20MB/秒に規定している。また,16ビットパラレルのデータ転送を実現して,転送速度を2倍(40MB/秒)にしたのがUltraWideSCSI規格である。高速化のためには,コンピュータの動作条件に適合した規格が必要である。そのため,ケーブル総長は1.5mになり,ケーブルの品質も問題にするほどの厳しい使用条件になった。

     それに対し,ディファレンシャルという接続方式を使えば,ケーブル長などの条件を緩和できる。ただし,従来のSCSI機器との混在使用はできない。これを応用したのが,LVD(Low Voltage Differential)というモードのSCSI規格である。これはUltra2SCSI規格と呼ばれている。データ転送は最大80MB/秒が可能である。

     これらを取り込んだSCSI-3規格には,シリアルバスなども含まれる。SCSI-3規格にはUltraSCSI規格,Ultra2SCSI規格などのパラレルSCSI規格と,IEEE1394やファイバ・チャネルなどのシリアルSCSI規格が含まれる。ちなみに,現在,コンピュータと周辺機器の接続方式として採用されているUSB(Universal Serial Bus)は,シリアルSCSI規格である。

     これまでSCSI規格は,ハードディスクなどの周辺機器がデータ転送速度を向上させるのに合わせる形で,データ転送速度を上げてきた。しかし,SCSI規格のデータ転送速度が上がると,そのデータ転送速度を有効に使うため,逆にハードディスクも高速化する必要がある。

     そこで,高速化のために同時に複数のハードディスクにアクセスする方式が用いられている。この方式には,2台のディスクを同時にアクセスして,1台の高速ディスクと同じように使うストライピングがある。

問2 解像度

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

 デジタルの入力スキャナやラスター出力機であっても,装置固有の[A:(1)CPU (2)インタフェイス (3)光学系 (4)電源系]の性能により,実際の分解能である解像力をそれぞれがもっている。画像データを得る場合のサンプリング周波数やCCDの素子数はこれを基にして決められており,[B:(1)解像度は常に解像力を上回る (2)光学解像度とデータの解像度は等しい (3)解像力は常に解像度を上回る (4)解像力と解像度は関係しているが同一とは限らない]。

 スキャナで得られた画像データにソフトウエア的な補正をして,疑似的に解像度を上げたものが補間解像度で,補間[C:(1)によって画質は損なわれる (2)で解像度は高まり光学解像度は気にしなくて良い (3)解像度を下げて使うのが良い (4)方法により画質は異なる]。

 一般に,カラー原稿の拡大率を考慮して,出力線数の2倍の解像度でスキャンすると良いといわれている。しかし実際の適応を考えると,65線で出力するのに130dpiで入力するのは[D:(1)多すぎる (2)ちょうどよい (3)少なすぎる]し,300線で出力するのに600dpiで入力するのは[E:(1)多すぎる (2)ちょうどよい (3)少なすぎる]。

 必要以上の高解像度で入力しても,画質の向上には結び付かない場合がある。人間の目は,画像の解像度が[F:(1)65 (2)130 (3)300 (4)600]dpiを超えると,急に画質の差がわかりにくくなる。そのため,最終倍率を考慮した出力サイズで250〜300dpi程度になるようにし,そこから逆算して入力解像度を決める方法が適切である。一般的な線数である150〜175線で,倍率が原寸程度であれば,その[G:(1)1 (2)2 (3)3 (4)4]倍程度が適切なスキャン解像度となる。


    ■模範解答■
    A(3),B(4),C(4),D(3),E(1),F(3),G(2)

    ■出題のポイント■
     印刷のためには,データを入力する段階が重要である。画像入力の場合は,出力解像度に見合った解像度で入力しなければ,品質の高い印刷物は制作できない。ここでは,多様化した入力機器の特性と,出力解像度,入力解像度の関係を理解すること。

    ■問題解説■
     デジタルの入力スキャナやラスター出力機はそれぞれ,装置固有の光学系の性能により,実際の分解能である解像力をもっている。画像データを得る際のサンプリング周波数やCCD(Charge Coupled Device)の素子数は,この解像力をもとに決められている。ただし,解像力と解像度は関係しているが,同一とは限らない。

     連続的に濃度が変化するアナログ画像をコンピュータでデジタル化するには,その画像濃度を一定間隔で最小の単位(画素)に分割して,各区間内の平均濃度を求める。この操作をサンプリングという。また,サンプリング周波数とは,繰り返し行う一定間隔の区切りの細かさを示す数値である。サンプリング周波数の値が大きいほど,アナログ画像を細かく区切っている。

     解像力は写真画像,印刷画像の被写体の細部をどこまで再現できるかを示す。その程度を,互いに接近した2本の線を明確に区別できる最小の距離で表す。つまり,1インチにおいて何本の線を区別できるかを示す単位lpi(line per inch)を使う。一方,解像度は入力スキャナ,プリンタ,イメージセッタなどの入出力の精度を表す。一般に,1インチ当たりのドット数dpi(dot per inch)を使う。

     スキャナで得られた画像データにソフトウエアなどで補正を行い,擬似的に解像度を上げたものを補間解像度という。補間解像度が同じでもこの補間方法によって画質は異なる。

     スキャナ入力の際には,カラー原稿の拡大率を考慮する必要があり,出力線数の2倍の解像度でスキャンすれば良いとされている。しかし実際には,65線で出力するのに130dpiで入力するのは少なすぎるし,300線で出力するのに600dpiで入力するのは多すぎる。

     これは,人間の目では画像解像度が300dpiを超えた途端に,画質の差がわかりにくくなるためである。そのため,人間の目が鋭敏に画像を解析する300dpi未満の範囲では,入力解像度を出力線数の2倍以上に設定しなければならない。その意味で,65線で出力する場合に130dpiで入力するのでは少なすぎる。

     一方,人間の目が画質の差を見分けにくくなる300dpi以上では,入力解像度を出力線数の2倍以下に設定すれば良い。つまり,300線で出力する場合,600dpiの入力では多すぎることになる。

     一般的な線数は150〜175線である。倍率が原寸程度のケースでは,その2倍程度(300〜350dpi)のスキャン解像度が適切である。

(出典:月刊プリンターズサークル連載 2001年3月号記事より)

2001/03/10 00:00:00


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