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DTP豆知識(200106)インキと色,XML

本コーナーでは,DTPエキスパートを目指すうえで理解しておきたいことを模擬試験形式で解説します。JAGAT認証DTPエキスパート 田邊忠氏に,問題のポイントや重要点を解説していただきます。試験勉強のご参考に,またはDTPに必要な知識の確認にご活用ください。DTPエキスパート認証試験の詳細はDTPエキスパートのページをご覧ください。


問1 インキと色

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

 インキを2色以上刷り重ねて色を出すには,例えば「Y30+M80」のように各色の[A:@CIExyz値 A濃度 B網パーセント Cインキの顔料]を指定する。

 従来の製版では文字や線画,地色などの色指定に対して,製版工程で平網(ひらあみ)フィルムを張り込んでいた。平網とは[B:@濃淡をもつフィルム Aガラス上の格子縞 B均一な網点のあるフィルム C網点印刷物]で,このことを網伏せと呼んだ。一般に[C:@1% A5% B10% C15%]単位で用意され,色見本としてその組み合わせを印刷していた。

 手作業による平網の張り込みでは,[D:@この組み合わせの色しか出せない Aレタッチによって色を変えていた]。しかし,イメージセッタから直接分色フィルムを出力する際には,[E:@従来と同じ単位の平網のみ使える A任意の網パーセントの指定ができる]。

 プロセスカラーの掛け合わせによる色表現には限界があるので,より鮮やかな色や正確な発色を求める場合は,「特色」や「補色」の版を作って印刷する。印刷分野における特色は[F:@プロセスインキを薄めて Aプロセスインキのバランスを変えて B特別にインキを調合して]作る。用途は標準4色にさらに色を加える場合,特定の色が必要な場合,あるいは3色以下の印刷などである。

 また,印刷における補色は色彩理論でいう補色とは異なり,[G:@プロセスカラーにはない色 A標準プロセスカラーの色調を補う色]の意味であり,一般に濃度を落としたプロセスインキを使う。


    ■模範解答■
    A(3),B(3),C(3),D(1),E(2),F(3),G(2)

    ■出題のポイント■
     印刷における,基本的な色指定の方法に関する問題である。カラー印刷での色指定は,従来の製版フィルムを使う印刷方式と深い関連がある。
     ここでは色指定の方法とカラー製版の仕組みを理解する。

    ■問題解説■
     インキを2色以上重ねて色を出す場合,例えば「Y30+M80」のように,それぞれの色の網パーセントを指定する。「Y30+M80」とは,Y版上の網点濃度が30%,M版上の網点濃度が80%という意味である。ここで表現される色は,Y版の網点濃度を30%に,M版の網点濃度を80%にして,Y版とM版を重ね刷りした色である。

     3色の色指定は「Y30+M80+C50」,4色を色指定する場合は「Y30+M80+C50+K20」のように表現する。
     このように色を指定するのは,従来の製版方式と深い関連がある。従来の製版では文字,線画,地色などの色指定に対し,それぞれの色濃度を表現した平網(ひらあみ)フィルムを張り込んで処理していた。平網とは均一な網点のあるフィルムのことである。また,このような処理を網伏せと呼んでいた。この平網フィルムは10%単位で用意され,その組み合わせを色見本として印刷していた。

     このような手作業による平網の張り込みでは,10%単位で用意された平網フィルムしかないので,基本的にはこの組み合わせの色しか出せない。これが平網による色表現の限界である。
     しかし,イメージセッタから直接,分色フィルムを出力する場合は,任意の網パーセントの指定ができる。

     イメージセッタから出力された分色フィルムを使う製版でも,分色フィルムから印刷用の刷版を製作する際に,光学的に網点が大きくなる。これをドットゲインという。網点が大きくなるため,イメージセッタで1%までの網点を分色フィルム上に正確に出力しても,製版段階で網点濃度が不正確になることがよくあった。

     もちろん,CTP(Comupter To Plate)ではこのようなドットゲインはなく,1%までの網点濃度が正確に再現される。
     プロセスカラーの掛け合わせによる色表現には限界がある。より鮮やかな色や正確な発色を求める場合は,「特色」や「補色」の版を作って印刷する。

     この特色は,特別にインキを配合して作る。標準4色にさらに色を加える際,特定の色が必要な際,または3色以下の印刷などで使われる。ちなみに,会社のロゴマークを印刷する場合に使う特定の色や,金や銀などの色を再現する場合には特色版を使う。

     印刷における補色とは,色彩理論でいう補色とは異なる。標準プロセスカラーの色調を補う色という意味である。
     補色には濃度を落としたプロセスインキを使うことが一般的である。

     一般に,フィルムを使った従来方式の印刷では,Y版,M版,C版,K版で指定される。しかし,網点濃度の合計が350%を超える場合には,紙にインキがのり過ぎて正確な色が再現できない。そこで,Y版,M版,C版,K版の合計が350%に近づくと,Y版,M版,C版をY版に置き換えて印刷を行う。この処理をグレイ置換GCR(Gray Component Replacement)という。

問2 XML

次の文の[ ]の中の正しいものを選びなさい。

 XMLはSGMLのサブセットであるが,オンラインシステムに適合する各種の機能を備え,文書/データ両方のデジタルコンテンツに対応する。SGMLと同様に,XML宣言/[A:(1)入力情報 (2)言語仕様 (3)出力情報 C文書型定義]/文書実体の3つの部分から構成される。XML文書においては,DTDを省略した文書形式も可能である。

 データの資産性を高めるためには,データが公的な標準に基づき,プラットフォームやアプリケーションから独立している必要がある。XML文書はテキストのみで構成されるため,永続的な利用に耐える。

 XML宣言ではXMLに使われる[B:(1)コマンド (2)文字コード (3)言語仕様 C出力情報]が定義され,文字コードの違いによるデータの互換性の問題は最小限に抑えられる。Unicodeを基本としているが,XML宣言でシフトJISを指定すれば,パソコン上の通常のエディタで作成できる。

 XML文書に図やマルチメディア要素を挿入する場合は,外部実体参照を利用するのが一般的である。構成データをリンクにより[C:(1)内部 (2)外部]にもつことで,一連のプレゼンテーションを作成する時にも個別のオーサリング作業をしなくても良い。

 XMLでは,紙媒体/オンライン媒体で統一したデータモデルをワンソース・マルチユースのために適用することができる。各メディアに依存する表現形式であるレイアウト情報は,[D:(1)XSL (2)XPD (3)DSL (4)PDF]によって生成/変換するようになっている。すなわち,内容と表現を分離することによって,汎用的なデータモデルを実現する。


    ■模範解答■
    A(4),B(2),C(2),D(1)

    ■出題のポイント■
     XMLは,最新のブラウザでサポートされている言語であり,インターネットでの活用が注目されている。ここではXMLの機能を理解して,それがどのように成り立っているかを理解すること。

    ■問題解説■
     XML(eXtensible Markup Language)は,インターネット向きに開発された言語である。XMLの仕様は,W3C(World Wide Web Consortium)という団体が決めている。

     このW3Cは,インターネットを支えているさまざまな規格を決めている団体である。XML言語はデータベース分野で活用された言語SGML(Standard Generalized Markup Language)と,インターネットでホームページを制作するために使われる簡便な言語HTML(HyperText Markup Language)の利点を併せもつ。

     SGMLはドキュメントを構造的に管理できるので,データベース分野ではSGMLの能力が高く評価されている。SGMLはDTD(Document Type Definition)が文書の型式を管理しているので,DTDを定義すれば,文書の内容(コンテンツ)とともにその形式(レイアウト)も管理できる。その反面,DTDの制作は厄介な面があるので,SGML活用の制限にもなっている。これがSGMLの普及を妨げている原因といっても良い。

     一方,HTMLはインターネットHP(Home Page)が急速に普及していることからもわかるように,非常に習得しやすく,活用度が高い言語である。しかし,HTMLの欠点は,表現方式をブラウザに任せているため,それを表示するブラウザによって,表現方式が異なることである。

     そこで,W3CはXMLをSGMLのサブセットとして開発している。その特長はオンラインシステムに適合する各種の機能を備え,文書/データ両方のデジタルコンテンツに対応していることである(表参照)。

    表 ドキュメントタイプ比較表
    文書書式 文書のオープン性 文書の自由度 wwwへの適合性
    XML
    HTML
    SGML
    ドキュメント
    (ワープロで制作した文書)
    × ×
    テキスト ×


     XMLはSGMLと同様に,XML宣言/文書型定義/文書実体の3つの部分から構成されている。また,XMLはDTDの扱いを柔軟にしており,XML文書においてはDTDを省略した文書形式も可能である。

     データの資産性を高めるためには,データが公的な標準に基づき,それを使うプラットフォームやアプリケーションから独立している必要がある。その点,XML文書はテキストのみで構成されているので,永続的な利用ができる(図1,図2参照)。





     XML宣言ではXMLに使われる文字コードが定義され,文字コードの違いによって起きるデータ互換性の問題は最小限に抑えられる。XMLに使われる文字コードはUnicodeを基本としているが,XML宣言でシフトJISを指定すれば,パソコン上のエディタでXMLを制作できる。これもXMLが使いやすくなるために,企画されたポイントである。

     XML文書に図やマルチメディア要素を挿入する時には,一般的に外部実体参照を利用する。構成データをリンクにより外部にもつことによって,一連のプレゼンテーションを作成する際,個別のオーサリング作業をしなくても良い。

     XMLでは,紙媒体/オンライン媒体で統一したデータモデルを,ワンソース・マルチユースのために適合させられる。レイアウト情報は各メディアに依存する表現方式であるが,XSL(eXtensible Stylesheet Language)によって,生成/表現することになる。つまり,内容と表現を分離することで汎用データモデルを実現する。

(出典:月刊プリンターズサークル連載 2001年6月号記事より)

2001/08/04 00:00:00


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