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大変革期を迎えた平版印刷技術の最新状況

技術の進歩は、まず基本的な機能の充足から始まり、次いで品質、操作性の向上に重点が置かれ、成熟段階では多様化に向う。この流れは、一つの大きな技術分野全体としても、その中の区切りとなるひとつひとつのフェーズ、あるいは個々の要素技術にもほぼ当てはまる原則であろう。平版印刷技術で見れば、1960年代のいわゆる印刷機の自動化という第一ステップから、品質向上、操作性向上、脱技能化という第二ステップを経てほぼ40年で印刷機械単体レベルの技術の完成に近づいた。それが統合印刷システムである。そして、枚葉機にしてもオフ輪にしても非常に多様な選択ができる技術体系が出来上がり、ひとつの大きなフェーズを完結しつつある。その中では、残された細部の技術的課題を詰めていく動きも見られる。その一方で、JDF/CIP4の利用が具体的な姿を現わし、プリプレス、印刷、後加工という3つの工程の統合という次の進化のフェーズが始まった。

完成に近づいた統合印刷システムの現状

今の印刷機は、各種機能を果たすコンピュータシステムがネットワークでつながり、データベースを有効に使って熟練作業の軽減と作業の効率化を実現する「統合印刷システム」になっている。
統合印刷システムでは印刷機集中制御装置を中心に、生産管理装置、色管理装置、プリプレスのコンピュータ、さらにはメーカー等のサービスセンターのコンピュータが繋がっている。
生産管理装置は、複数の印刷機をコントロールする群管理コンピュータで、営業が入力した受注伝票の情報の中から仕事1点毎の情報と印刷機への割振りおよびスケジューリング情報を各機械の印刷機集中制御装置に送る。
印刷準備作業において、インキ量調整は印刷機集中制御装置に組み込まれたエキスパートソフトウエアとプリプレスで作られたデータを受けとって処理するCIP3コンバータで自動的に調整する。CTPシステムで作られた刷版は刷版自動装着装置で印刷機に取り付けられ、見当、印圧、フィーダ、デリバリ、ローラ等の各部分の調整は印刷機集中制御装置からリモコンで行われる。

本刷り中、色調管理装置は印刷物を読み取って目標値と計測結果との差を求め、絵柄の面積率データと印刷機のインキ応答特性等を加味してインキ量補正データを演算、その結果を集中制御装置に送信してインキ供給量を自動補正する。
印刷機集中制御装置は、印刷機の印刷状態、エラー状態を常にモニタしており、それを生産管理装置に表示するとともに、電気的に検地可能な故障やトラブルで印刷機が停止したときには故障診断支援装置にその情報を送る。そこで調べられた原因と対処の手順、内容は印刷機集中制御装置のモニター画面上に示される。
印刷機械の状況を示すデータはメーカーのホストコンピュータに刻々送られ、機械停止のような異常情報を受け取ると、状況分析と履歴データのモニタリングで原因究明をして対策指示が出される。

印刷終了後、生産管理装置は各機械の稼動記録と仕事毎の機械の設定状況、印刷状態のデータをデータベース化して保管し、稼動分析あるいはリピートデータとして次の生産計画や機械設定に使う。
オペレータは印刷の開始、終了時に「開始」「終了」ボタンを押すが、この情報は生産管理装置に送られるので、この情報が営業部門のコンピュータに伝わるようにしておけば、営業担当者はいつでも自分の仕事の状況を知ることができる。

大型機並の機能を備える小型枚葉印刷機

以上が、現時点において平版印刷機が到達した統合印刷システムのひとつの姿だが、幅広い印刷市場の中でそれぞれの市場ニーズに応じて機能を選択、採用してこの技術の裾野を拡げてきている。JGAS2001 では、半裁以下の印刷機に最新の省力化、自動化機能がごく普通のものとして付加した多色機が出された。プロセス4色の仕事を受注はしても、設備価格や機能面から自社設備をせずに外注に回していたような中規模印刷企業が、DTPによるフルデジタル化とCTP化を組み合わせて外注を内製化する市場に向けられるものであろう。

篠原商事の菊半裁5色機両面印刷機「シノハラ75VP」はデジタルワークフローの中で「枚葉印刷機も出力機のひとつ」として対応できる製品と位置付けられ、CIP3対応のプレ・インキングシステム「SPIS」を装備している。その上に、表5色印刷から表4色裏1色印刷への仕事の切り替え迅速化や薄紙から厚紙までの対応力を備えている。
桜井グラフィックシステムズは、自動刷版交換装置,自動反転切り換え装置など多数の省力化機器とともに、CIP3/4対応のインターフェースを搭載した「菊半裁4色両面兼用機オリバー466SIP」を発表した。DDCPでの校正を念頭に置き、サーマルCTP「Dimension400」と組み合わせたシステムとして紹介した。
丸紅マシーナリーは、米国ABディック社が日本向けに開発したデジタルプレートマスターDPM2420とA3ワイド印刷機ABディックQP25/25Uを、中小印刷業の多色化対応向けのシステムとして発表した。

印刷業以外に広がるDI機

成熟化段階を迎えた平版印刷技術の多様化のひとつが印刷機に装着されたCTPを機上で製版し印刷するオンプレスCTP(DI印刷機あるいはデジタルオフセット印刷機)である。既に各メーカーからかなり出されてきたが、小森コーポレーションは、世界初の菊全版デジタルイメージングシステム搭載機ProjectDを発表、6色コーター付の機械のカナダでの納入制約がなされた。
リョービはA3サイズのデジタル印刷機 RYOBI3404DIを4000万円代の価格で発表、かなりの納入実績を上げているが、従来の印刷業とは異なる分野にその需要がありそうだ。 リュ―ビイマジクスは、2001年末までに売上高の20%をDI印刷機が占めるように努力すると表明した。
いままでの納入状況を見ると、印刷の47%、製版の18%以外に、企業内印刷、出力センター、出版がそれぞれ10%程度を占め、企画関係も5%になっているという。そして、最近では製版業による印刷サービスへの利用事例が増加傾向にあるという。水無し印刷によるスキルレス化によって、MacオペレータでもDI機のオペレーションができることが実証され、印刷機を使ってこなかった業種には魅力的な設備であろう。印刷の世界を新しい分野に広げていく役割を担うと期待される。

オフ輪の小ロット対応と後加工機能の多様化

オフ輪は、より大ロットの分野をカバーするとともに、小ロット化対応も推し進めてきた。そして、この1年では、枚葉印刷機が多様な後加工機能をインラインで持つ動きに対抗して後加工機能の多様化を狙う動きが見られ始めた。
主に小型オフ輪の分野で見られる動きで、単にシート出しができるだけではなく、たとえば、UVインキを使って4色を印刷、その後にOPニスのコーティングを行なってシート出をしたり、インラインでスリッター、シーター、三方断裁機,スタッカーを連結して多様な後加工をするようなシステムがPRINT01で見られた。

多用なメリットをもたらすシャフトレス

オフ輪の小ロット対応については、いままではコンピュターコントロールによる準備作業時間の短縮と刷り出し損紙の削減、あるいは4裁タイプのオフ輪の機能向上で対応してきた。しかし、この1,2年で出てきたシャフトレスという技術は、オフ輪の小ロット化対応に大きく貢献するものとして新製品の機軸になろうとしている。
シャフトレスの印刷機は、従来、メインモータの駆動力を、ラインシャフトを通して各ユニットに伝えていた構造を変えて、各ユニットに設けたサーボモータで直接それぞれのユニットを駆動するようにした機械である。

シャフトレス化による第一のメリットは、本刷り中に、使われていないユニットで次の仕事の準備が行なえることである。部分差し替えの印刷が必要な印刷物では、刷り出し以降、ノンストップで差し替え部分の印刷を変更しながら印刷することが可能になり、機械の運転時間率の大幅な向上が可能になる。ただし、差し替え部分のインキ量、湿し水コントロールあるいは見当合せが、刷り出しの1枚目から完全にできるという前提がある。
また、各ユニット毎に準備作業を分散して行なうことができるという特徴も、作業効率向上によって小ロット化対応に貢献するだろう。あるいは機械レイアウトが工場の状況に応じてかなり自由にでき,ユニットの増設,移動が容易であるというメリットもある。

自動化を進めるクローズドループコントロール

オフ輪分野では、クローズドループでのインキコントロールシステムがいろいろなメーカーから出された。印刷中のインキ濃度をリアルタイムで測定し自動的にインキ量コントロールを行なうものだが、準備作業段階でもその機能を活かして準備時間短縮に威力を発揮する。クローズドループのカラー制御とは,走行するウェブに印刷されたカラーバーを印刷機上で測定し,その濃度を基準値と比較し,このデータを元にインキキーを自動修正し,運転中のカラー濃度を一定に維持するものである。PRINT01では,4社から出展された。

GMIの カラークィックは,分光光度計によりカラーバーを測定する唯一のシステムである。それぞれのカラー測定目標に正確に位置合わせできる2本ビームの分光光度計で2mmの高さのカラーバーを測定する。分光光度計であるため,淡色や特色を含めた任意の8色を制御することができ,ICCベースのカラーマネジメントとリンクできる。毎分3000フィートまでの印刷速度に追従し,ドットゲイン,印刷コントラスト,トラッピング,ベタ濃度をモニターする。

ペレッタ・グラフィックスのダイナスキャンUは,CCDベースのビデオ濃度計で,毎分3000フィートを超えるスピードにも対応する。ウェブの両面を同時に連続的にインラインでスキャニング,2mm以下の高さのカラーバーを読み取ることができる。 CCDセンサは印刷されたパッチが不完全でも補正して分析でき濃度値の読みには影響を与えない。

QTIのカラーコントロールシステム(CCS)もビデオベースの濃度計によりスキャニングする。CCSは1.6mmのカラーバーを自動的に測定し,追跡する能力がある。毎分3500フィートの印刷速度に対応でき,ウェブが左右や前後に動いても,それに追従してインキキー修正の信号を出し,自動的に目標のカラー濃度を一定に保つ。また,インテリジェント・ピクセル処理により,ヒッキーなどにより生じたカラーバーの欠陥を認識し,不正確なデータを選択的に除去し,残りの完全なデータだけを転送する。

WPCは,ウェブの1つの面に1つのCCDセンサを装備したマイクロ濃度計をもったマイクロトラックCLCシステムを開発した。他社のカラー制御システムは1つのセンサでバーの位置を突き止め,もう1つのセンサで測定を行うが,CLCシステムは同じセンサで位置決めと測定を同時に行う。そのため,非常に高速でデータを捕えることができ、24個のキーをもつハイデルベルグのM-1000印刷機で24回転で全幅のカラー測定と修正ができる。

クローズドループカラー制御の利点

クローズドループのカラー制御システムを使えば,オペレータが何もせずに運転中ずっとインキ濃度が一定に維持される。しかも,目標濃度に短時間で自動的に到達するので,準備時間と損紙が大幅に減少する。CIP3のデジタルプリセットと併用することで,印刷開始からOKシートを得るまでの回転数は,通常3000回転以下あるいは,時にはそれより少なくなる。
このシステムはオペレータの主観的なカラーの解釈を排除し,数値による管理を可能にする。印刷中にオペレータはインキの濃度を追い続ける必要がなくなり,印刷全体を管理しミスを防止できるようになった。オペレータが折機に注意を集中し,印刷機の速度を上げることに成功した事例もある。
現在のシステムは,印刷紙面の余白に印刷されたカラーバーをセンサで読み取ることで成立しているが,現在各メーカーは測定のためのカラーバーを完全になくし,実際の画像そのものを読み取るシステムの開発に取り組んでいる。プリプレスのデジタルデータを活用することで原理的は可能であり,その実現が待たれている。

印刷機をプリンターのように使う時代

プリプレス工程がフルデジタル化されてCTP(Computer to plate)が普及し、さらに先述のような統合印刷システムが確立されることによって、印刷機は「プリンターのように使うこと」が求められるようになった。それは、色修正などはすべてプリプレス側で処理した上で,CTPで刷版を出力し、印刷機側では色は直さないで常に同じコンディションを保ち印刷するということである。そのためには、プリプレスのフルデジタル化、カラーマネージメントシステムの完成と運用、さらに常に一定の印刷再現ができるように印刷機をチューニングしておくことが不可欠である。そして、この1年、印刷機をカラーマネジメントするためのシステムがいろいろ出されてきた。

印刷のCMSは、カラーマネージメントの基本特許といわれるシュライバー・パテントの元になったと言われる大日本スクリーンの色技術がソフト製品となったLabProofと、東洋インキ製造の色技術が製品化したT-Colorの二大勢力がベースとして存在するが、全体としては簡易なソフトレベルのものから生産管理的な計測・測色ベースのツールに移った。 きもとが販売するGretagMacbeth社の各種製品ではデバイスプロファイル作成ツールProfileMakerが3.0にバージョンアップされたほか,ProfileMakerと測定装置をセットにして低価格にしたiProfile Bundle,CTPの品質管理のためCCDカメラで網点パーセントやドットサイズ・形状,線数などを計測するiCPlateなどがある。誠伸商事からは、最終印刷のための情報としてジャパンカラーのICCプロファイルを使い,プロファイル作成ソフトやカラープリンタなどで構成されているジャパンカラーに準拠したリモートプルーフシステムJ-Proofが出された。

プロファイル作成ソフトでは,大日本スクリーン製造からLabFitが発売され、わずか85色のパッチでICCプロファイルが作成できることと,作成したプロファイルを作業結果をモニタで確認しながら再編集できることが大きな特徴である。小森コーポレーションのK-ColorProfiler(中身はT-Color)にもいち早く対応し、通常の印刷物に3mm巾の85色パッチを焼き込んで、印刷機のプロファイルをその場で作成できるようになった。

CMSは,印刷会社にとって,校正,特に色校の合理化によるコスト・納期の大幅な改善が見込める数少ない分野の1つである。ネットワークの進展とカラー出力機の高性能・低価格化により,リモートプルーフもかなり現実味を帯びてきている。いずれにしてもカラーマネジメントの技術が前提となることはいうまでもない。

残された細部を詰める動き

印刷機械の生産性向上技術は、インキコントロールや刷版自動装着装置のような単位では当たり前になったので、より細部の課題を詰めていくような動きが見え始めた。
そのひとつは、枚葉印刷機に巻取紙を装着し、必要なサイズにシートカットしながら紙を送り込むロールツーシータである。ハイデルベルグの「カットスター」は国内1号機が納入され、ローランドもPRINT01で実演を行なった。ロールツーシータはすでにかなり前に紹介されていたが、その当時の問題が改善されての再登場である。
ロールツーシータの第一のメリットは、当然のことながら、紙積みという準備作業が大幅に軽減されることとフィーダトラブルの危険が相当に軽減されることである。また、カットオフ長については、コンピュータ制御で無段階調整ができ用紙の必要サイズぎりぎりでカットできるので、用紙コストの削減が期待できる。用紙のコストについていえば、ロール紙と枚葉紙の価格差の動向によっては大きなプラスを生み出すことができる。

環境対応と一石二鳥を狙うインキ供給システム

インキカートリッジを使うインキ供給システムは、環境問題対応が主眼だが、かなり細かな技術要素を詰めていく技術という点でも見逃せない。
同システムでは、インキ壷の中のインキ量を常に計測して壷中のインキ量を一定に保つように自動的にインキが供給される。したがって、インキ壷から出るインキ量が安定し、常に新しいインキが少しずつ供給されるので水戻りによるインキタックの変化が押さえられ、品質の安定化効果が期待される。さらに、パイピングによるインキ供給をしていない場合には、準備作業の軽減にもなる。
PRINT01においては、かなり多くの枚葉印刷機にインキカートリッジを使うインキ供給システムが取り付けられていた。

8色機の普及で伸びるか?高品位印刷

「高付加価値化」は、オフ輪の侵食とデジタル印刷システムからの脅威に何とか対抗したい枚葉印刷機の砦である。技術発展にともなう印刷システムの多様化は、枚葉印刷機にとっては、印刷の主役の位置を脅かされるマイナス要因になっている。
現時点では、インラインコーティングが、枚葉印刷機による印刷の高付加価値化の主流で、コーティングユニットをドライヤーとともに組み込んだ枚葉印刷機は珍しいものではなくなった。また、少し前まではパッケージ印刷分野が主体であったものが、商業印刷分野においても普及し始めている。そして、最近では、この流れが半裁クラスの印刷機にも広がり、インラインニスコーティング付き半裁5色機が出始めた。

「高付加価値化」のひとつの分野と考えられ、数年前に騒がれた4色以上の刷り色を使う高品位印刷は結局普及しなかった。そのひとつの理由は、プリプレス工程で実際に使えるソフトが出なかったことである。また、欧米とは異なり、プロセスカラーに2色の補色を入れる印刷用として4色以上の機械を持つ印刷会社が少ないことであった。高品位印刷だけのためにユニットを増やすことは採算面からためらわれた。しかし、両面4色印刷を狙って入れた8色機を高品位印刷にも使うとなればリスクは少なくなり、8色機を使ってCMYKの4色とRGBの3色を加えたスーパービジョン印刷をする会社も出始めた。

PRINT01では、クレオサイテックスが新しい高精細FMスクリーニングStaccatoをオプションとして使用するSQUAREspotサーマルイメージング採用のLotem 800 Quantumを展示した。Staccatoは,モアレの解消,高精細化を図っており,ドットゲインの調整を一度実施すれば,従来のAMスクリーニングから容易に移行でき,FMスクリーニングの実用化段階にきているとアピールしていた。

姿を現し始めたJDF/CIP4実用化

印刷業界の生産システム、管理システムは、今後統合化されオープン化されたものになる。JDFはその基本的な仕組みとして注目されてきたが、今年に入ってその利用の具体的な形がまだわずかな部分ではあるが見られ始めた。
ハイデルベルグはジョブチケットを活用したワークフローのネットワーク化を実現する「プリネクト」を発表した。「プリネクト」は、プリプレスからポストプレスまでに必要な印刷生産データと管理情報データを、ネットワークを通じて一体化することを目指したトータルシステムである。
トータルシステムの完成した姿は2004年のドルッパで示されることになるが、そのトータルシステムに組み込まれていく各種機能要素(ソフトウエアモジュール)が順次開発、提供されることになる。これらのソフトウエアモジュールは、当然のことながら、それ自体において生産性や品質向上の効果をもたらすと同時に、完成されるトータルシステムの一部を構成するものである。

JGAS2001では、新しいソフトウエアモジュールとして管理情報システム「プリナンス」が紹介された。さらに、デジタル面付けソフトウエア Signastation/Signapack、次世代PDF RIP・ワークステーションシステム MetaDimension、PDFワークフローサーバー Prinergy/Prinergy Powerpackといった製品も紹介され、例えば、折加工の生産/情報システムFCS100等と繋げたオペレーションによってJDF/CIP4の実用化の姿と今後の道筋を示した。

小森コーポレーションも、プリプレス工程で作られた印刷データやジョブ管理データをシームレスに印刷機械に渡すことを目的とする「DoNet」を発表した。JGAS2001では、インターネットを経由し、オンライン受発注、生産工程立案、スケジュール管理を行なうASPサービス「PICO」とDoNetwo結び、さらにカラーマネージメント機能も組み込だデジタルワークフローをデモした。
本刷用の全判4色機とカラーマッチングされた半裁4色機が、「PICO」からの生産指示、生産データを受けて校正刷りを行なう。その進捗情報は「PICO」に返されるとともに、全判4色機には本刷りの作業指示が生産データの送信とともに行なわれ、生産データに基づいてインキコントロールされた全判4色機が本刷りをするものである。

動きが急な環境対応

数年前から印刷現場の環境問題への対応策として導入が始まった大豆油インキは、この2年であっという間に普及した。しかし、いままで出されてきた大豆油インキにはVOCsが10%〜25%含まれている。一方、VOCsについては今後とも規制が厳しくなると予想されるので、2001年にはインキメーカー各社からVOCs含有ゼロのインキが発表された。同時に、VOCs含有ゼロのOPニス、水性インラインコーティングワニス、さらにはVOCsゼロの洗浄剤も発表された。
また、VOCs対策という観点から、UVインキやUVコーティングが注目され、油性インキ素材(樹脂、植物油)とUVインキ素材(UV樹脂、光開始剤)を複合化したハイブリッドインキも登場した。UVインキは、グリーン購入法、エコマーク認証の上では問題なしという判断になった。
ハイブリッドインキの特徴は、油性インキ並の作業適性と、油性インキの上にUVインラインコーティングを行なったときの光沢劣化,密着不良が改善される点にある。Print01展では,かなりの印刷機でUVあるいはハイブリッドインキでの印刷実演が行なわれたという。

年間640kgのインキを削減

先に紹介したインキカートリッジを使うインキ供給システムは、印刷工場から排出されるインキを最小限にすることを主眼に開発されたものである。
印刷インキをインキ缶から出して使うとき、乾燥皮膜を除去するのはヒッキ―防止の基本であった。環境問題が、大気汚染、水質汚染という範囲で問題にされており、印刷業の利益率も非常に高かった時代には、何の疑念を挟む余地もないことであった。また、使用済みのインキ缶の廃棄についても特別な処置を求められるようなことはなかった。

しかし、残留インキが付いたままのインキ缶の廃棄は、現在、印刷業界、特に小規模企業の大きな問題になっている。ハイデルベルグ社の試算によれば、乾燥皮膜除去作業で捨てられるインキと廃棄されるインキ缶に残留して捨てられるインキの量は、1キロ缶ベースで購入金額の約6%になり、枚葉4色機の場合には,年間640kg、金額で75万円の無駄になるという。ユニット数が少ない機械ほど、また、ロットが短い仕事ほどムダの比率が高いから、小規模企業ほどロス率は高いだろう。
インキカートリッジ式のインキ供給システムは、これからますます厳しくなる環境問題対応とともにコスト削減も可能にする。
ムダなものは使わない、できるだけ工場内部でリサイクルするという観点から、ブランケット洗浄液の回収・再生利用のシステムや湿し水クリーニング装置も出されている。

(出典:JAGAT発行 プリンターズサークル2002年2月号より)

2001/12/21 00:00:00


公益社団法人日本印刷技術協会