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DTPは印刷を変えた(5)−印刷100年の変革

●カラーDTPとCEPSとの融合化

DTPの定義は今でも定かではないが、次のような特徴は存在する。

1.ワープロは文書を作成する人のためのツールである。
2.DTPは読む人のことを考えた、印刷物を作成するツールである。
3.DTPは校了権をもつ人が使うと有効である。

1990年頃のカラーDTPは実用的に発展したが、カラー品質に限界があった。そのためスタンドアロン的な使われ方からCEPSとの関連が深まってきた。

CEPS(Color Electronic Prepress System=セプス)とは画像処理専用システムのことで、印刷製版業界で使われているレイアウトスキャナ・システムに代表される商業印刷カラー画像処理システムである。

つまり画像処理だけで、文字版は別処理である。そこで文字・画像処理が可能で小回りがきくDTPをリンクさせたわけだ。

この専用システムとカラーDTPの間のインターフェイスは、PostScriptに対応しながら各メーカーの特色を出している。カラーDTPのカラー表現については、モニタと実際の色調のズレや、カラー校正、4色分版フィルムの品質などいろいろな技術的課題を抱えていて、商業印刷レベルには程遠かった。

1990年代に入りCEPSメーカーは、PostScriptに対応しながら競ってカラーDTPとの接続を図っている。カラーDTPとCEPSとのデータ交換で、しかもそれぞれの一方通行ではなく、両方向にデータ交換が可能というシステムを構築していた。つまり、

1.CEPSはカラー画像処理専用であるから、DTPで処理した文字・画像データをCEPSに取込み、高精細カラーデータとして出力する。
2.CEPSの高精細カラー画像データを低解像度に間引いてDTPに渡し、DTP側で文字・カラー画像を再レイアウトしてCEPSに戻す。

というシステムである。これはカラーDTPが、CEPSのワークステーション化したことを意味する。これらのシステムは価格的にも運用技術においても汎用システムとはいえず、専用システムのカラープリプレス・システムである。その代表的なものに、

1.ヘルシステム
2.クロスフィールド・システム
3.サイテックス・システム
4.大日本スクリーン・システム

などがある。しかしこの方式は長くは続かず、パソコンのダウンサイジングとハード/ソフトの性能向上、そして低価格化により1990年代中頃になるとCEPSの影が薄くなり、「DTPとCEPSの連結型」は姿を消していった。

カラーDTPが普及しても、またCEPSとの融合化が実現しても、カラー校正刷りに関しては相変わらず平台校正機を使って印刷している状況であった。そこでDDCPの実用化が始まった。

DDCP(Direct Digital Color Proofing)とは、CEPSで処理したカラー・デジタルデータを、網点階調で紙に直接校正出力するシステムのことである。当時カラープリンタは実用化されていたが、RGBの3色出力で網点がない出力物であるから、カラー画像の印刷用色校正刷りの代替えにはならないという問題があった(つづく)。

他連載記事参照

2002/01/12 00:00:00


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