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DTPは印刷を変えた(6)−印刷100年の変革

色校正の問題は新しくて古い問題であり、プリプレス工程の合理化のキーポイントともいえる。最近やっと色校正に関する種々のソリューションが取り上げられているが、今まで真剣に取り上げられていないのが不思議なくらいである。

色校正に関する問題は、単に校正刷り作成の問題だけではなく、直しの問題が絡んでいるからだ。従来の方法では4色フィルムができた後に校正用の刷版を作成し、平台校正機を使って色校正刷りを行なっていた。

文字・画像統合のデジタル化が進み、また画像入力、画像編集、画像出力などのレベルが向上しても、チェック用の色校正が旧態然とした手作業では技術革新も中途半端なものになる。

そこで1990年頃からDDCPの実用化が始まったが、当初のDDCPは網点階調があるとはいえ色調は印刷物には程遠く、しかも高価であったため、カラー画質レベルもコスト的にも実用的とはいえなかった。

しかし年々メーカーの改善が見られ品質レベルは向上し、今から10年前の1992年秋の「シーボルト92」で発表されたDDCPの代表的なものとしては、

1.IRISグラフィックス社
「スマートジェット4012」──インクジェット方式

2.3M社
「デジタル・マッチプリント」──湿式電子写真方式

3.コダック社
「アプルーバル」──昇華型転写方式

4.ストーク社
「ストーク・システム」──湿式電子写真方式
などがある。

しかしいずれの展示会でもいえることであるが、元のカラー原稿や現物が見られないことが多いため、出力物だけ見ても原稿や色調の再現性についての判断は難しいものがある。

その後のDDCPは、カラー画像のシャープさや色階調、モアレなどについては大幅に改善が見られるようになってきたが、本機(印刷機)で印刷したときの色調と合うかどうかの問題は残っていた。

近年CTP(Computer To Plate)が話題になり、刷版がアナログ処理からデジタル処理に変化しつつあるなかで、ますます色校正の位置づけとその重要性は増加している。

上記のDDCPシステムは、1993年初頭の日本のCEPS展でも見慣れたもので、すでに日本のユーザーのなかでは納入済みで、クライアントとの間で上手く話し合いや調整をして、色校正として活用している実例は多い。

実際の印刷物は中質紙、上質紙、コート紙などいろいろな紙を使う。当時のDDCPの紙は専用紙を使っていたが、今では本紙が使えるDDCPも実用化されている。

欧米ではDDCPの色校正が校正用として十分実用的であるとして受け入れられている。色に寛容で合理的な欧米人に受け入れられても、色に厳しい日本人にはまだ実用的とは思われていない。

つまり印刷現場で、色校正刷り(校了紙)と実際の印刷物との色の違いが問題になるからである。しかし従来から平台校正機の色校正刷りが絶対のものという観念があったが、現実には平台校正刷りほど不安定なものはない。むしろデジタルプリンタの方が、正確に網点を再現している。

印刷機を使った本機校正刷りが一番本刷りに近い筈であるが、印刷機を校正刷りに使うことの経済性を考えると、高額の印刷機を使うことにためらいがあるわけだ。しかし欧米では本機校正が一般的になっている。日本でも製版業界では印刷機を導入し、色校正刷りをビジネスにするようになってきている。

その後DDCPは、日本でもCEPSの色校正出力として活用されていたが、近年のカラープリンタの技術的進歩により、過去の技術を継承してCMS(Color Management System)技術とともに活用されるであろう(つづく)。

他連載記事参照

2002/01/28 00:00:00


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